#640 ドラマ感想「かぞかぞ」/大丈夫じゃないけど
2024.9.17.
今日の夕方、全てのことが嫌になった。
いい歳してSNSで失敗して朝から落ち込んでいたし、めざまし占いはパッとしないし、トイレで事件があって1時間ほぼ掃除していたし、引き継いだはずの仕事がブーメランのように戻ってきて所見と成績の期日が迫ってきているし、初授業を控えた仲間の手伝いもしたいし…その辺の仕事はどれもこれも時間外(前回の記事)!おまけに、お急ぎ便で頼んだ荷物はいつまで経っても発送連絡が来ない。
気分的には、こんな感じだ。
だが、私は真っ当な人間としての側面も多分に持ち合わせているので、みんな転べばいいと思いつつも、そんなことを口に出してはいけない…このムシャクシャした気持ちを誰かにぶつけてはいけない…という自制心が働く。
こうして、大人になると人は周りに迷惑をかけたりしなくなっていくのだ。
自分の黒い気持ちとうまく折り合いをつけるようになっていく。でも、周りに散らさなくなっただけで、自分の中の思いが消えるわけではない。ある意味、当たり散らす子どもより厄介かもしれない。
日本橋高島屋を颯爽と横切りながら、周りの誰も彼もがちゃんと働いていて、裕福で、幸せそうに見えてくる。みんな私みたいに、ムシャクシャしたり不安になったりしているんだろうか。
私、大丈夫だろうか???
少し前から、気になっていたドラマがある。それが「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」、通称「かぞかぞ」だ。
以前BSで一度放送されていて、今はNHK総合の方で火曜夜10時から放送されている。全10話で、今日は第9話。
前からすごく気になっていたのに、総合テレビでやっていることに気付いたのは5話あたり。最初から全部見たいー!
調べてみると、どうやらNHKオンデマンドに登録するしか全てを見るチャンスがないことが分かってきた。
ちなみにNHKオンデマンドは月額990円で、コンテンツが見放題(急な宣伝感)。しかもそれは登録してから1か月というカウントではなく、登録月の1日〜その月の間だそうだ。見る方法を検索していたのが8月30日とかだったので、何も調べずすぐ登録していたら大変なことになっていた。ということで、9月1日に満を辞して登録。そこから、1〜2日に1話くらいのペースで見始めた。
このお話、作家の岸田奈美さんのエッセイをもとに作られている。
前も一度記事を紹介したことがあるのだが、この方の文章は本当ーーーに面白い!常に大爆笑、そして号泣。
家族を取り巻く様々な出来事。「家族の死、障害、不治の病。どれかひとつでもあれば、どこぞの映画監督が世界を泣かせてくれそうなもの。それ全部、うちの家に起きてますけど」。こんなモノローグが1話の最後に流れる。
「家族」をテーマに、辛いのも面白いのも苦しいのも切ないのも楽しいのも悲しいのもしんどいのも混ざって、岸田奈美さんの人生が進んでいく。NHKのHPの文言が流石なのだが、「笑えて泣けて考えさせられて、心がじんわり温かくなる」、まさにそんな感じ。
ここでちょこちょこ、私のこのドラマの好きポイントをご紹介。(以下、いろいろとネタバレします。)
★素晴らしい俳優陣
主役の岸田奈美さん(役名は岸本七実)を演じるのは河合優実さん。この方、「不適切にも程がある」で阿部サダヲさんの娘のジュンコを演じた方だ!
一見気怠そうで、芯があって、なんというか…雰囲気のある役者さんだなあと素人目ながらに思う。
周りを固めるキャストも、母役に坂井真紀さん、父役に錦戸亮さん、祖母役に美保純さん、弟役に吉田葵さん…みんな本当にいい味を出している。
★私は2話が好き
毎回いろんな感情がてんこ盛りではあるのだが、私の一番は2話である。
病気で歩けなくなってしまった母のために、自分ができることは…と、夢を見つけようとして、「ニューヨークで大道芸人になる」と突き進み始めた七実。
母が「こんなに辛いんだったら死んだほうがよかった」と言っているのを聞いてしまったり。教室に佇む暇そうな担任(英語教師)を捕まえて英語の猛特訓を始めたり。外出許可が出て母と2人で街に繰り出したら、たくさんの困難があることに気付いてしまったり。
それらが合わさって、2話の最後には、一つの道が開ける。
母の言葉も、英語の勉強も、ぶち当たった困難にも意味はあって…なんだか人生なのである。
カフェのシーンでは、ハンカチ必須。
★岸田奈美さんのフィールドはnote!
それまでしていた仕事でどん底に落ちた岸田奈美さん。弟と一緒にジェットコースターに乗った話を、昔使っていたブログに載せてみる。「ここはもう見られていないので、こっちのサイトに載せるといい」というコメントから、とある投稿サイトにコピペした文章が…どえらくバズった。
ALL WRITEというサイト名になっているのだが…これnote!名前だけ変えてあって、めっちゃnote!
実際に、岸田さんはnoteから誕生した作家さんなのだが、この見慣れた仕様はnoterさんたちにとってはちょっとした嬉しいポイントに違いない。
★おもろいは最強
死んだお父さん役の錦戸亮さん。回想や見守ってる父として出てくるのだが、口癖が「それ、おもろいんか?」である。
なんか最近、それ忘れてたな!!!ってなった言葉だ。
何かを始めるとき、選択するとき、皆さんは何を基準にするだろうか。
コスパがいいとか、自分にとって良い経験になるとか、いろんな視点があると思うが、「楽しい」「面白い」って、私にとってはすごく重要なことだったはず。保護者会でひと笑い取ってやるぞとかいつも言ってたもん。それを、お父ちゃんが今一度声に出して思い出させてくれたように思う。
それに、岸田さんのエッセイも、このドラマも、伝えたいことはいろいろあるだろうが、笑いに昇華しきれるところが心底すごいところだと思う。
逃げ恥ではみくりさんが「可愛いは最強」と豪語していたが、私に言わせてみれば「面白いは最強」だ。
なんか面白いことしようぜー。
★びじゅチューン出てくるよ!
さすが「NHKなんで!」と言うべきだろうか。ドラマ内でついているテレビに、あのびじゅチューンが出てくるのだ。
しかもしかも、びじゅチューンで音楽やアニメを作っている井上涼さんもドラマに出演している!ぜひ探してみていただきたい。私は、声ですぐ分かった。
全話見てみて…
岸田奈美さんの類稀なる文才に驚かされて。
いろんな壁にぶち当たっても、進んでいく姿に勇気づけられて。
表面だけを見れば、ただただすごい人だなあと思うのだが、ドラマの中では「全然大丈夫じゃない!」という姿が描かれている。第5話に出てくるお風呂場のシーンはその代表格で、胸を締め付けられるような、自分も叫び出したくなるような気持ちになった。
私、まだうまく理解し切れていないのだけれど、最終話では七実が「私も、大丈夫やない。だから頑張ってる。」と言う場面がある。
世の中には、本当に大丈夫な人もいて。
大丈夫そうに見えて大丈夫でない人も大勢いて。
きっと、私は大丈夫じゃない。
だから私も頑張る。
なーんてことを感じた、「かぞかぞ」。
大丈夫じゃない人も、とりあえず大丈夫じゃないまま進んでてもいいぞって思えるドラマ。
来週、総合テレビで最終回!ぜひ(1週間で9話まで追いかけて)ご覧いただきたい。
岸田奈美さんに背中を押されて、珍しくドラマ紹介に3000文字以上使ってしまった。私の書く文章はまだまだ、修行が必要だな!
#教員エッセイではない
#ドラマ紹介
#家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった
#かぞかぞ
#なぜかかぞかぞと打つと課題解決と変換される
#みゃーと打つと紫いもと変換される
#PCバグってる
#岸田奈美
#河合優実