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梅棒EXTRAシリーズ『ウチの親父が最強』

梅棒EXTRAシリーズ
『ウチの親父が最強』

作・総合演出:伊藤今人
振付・監修:梅棒

@博品館劇場 2019/09/05-15

9/15(日)夜公演、博品館公演千秋楽をみた!

どうして梅棒の作品はこんなにも私の感情をくすぐるんだろう。普段ではありえないくらい笑って大号泣して、観劇後には体が軽くなって見慣れた帰り道も一層美しく見えてしまう。そんな不思議な魔法をかけられしまう。大好きだ。

梅棒は、J-Popとジャズダンスと演劇をかけあわせた作品を創り上げているエンターテイメント集団。公演を打つかたわら、数々の演劇作品の振り付けやライブパフォーマンスのプロデュースなども手掛ける。私になじみ深いところでいえば、舞台刀剣乱舞の振り付けでお見掛けしていて、前作『ピカイチ!』を見た時には「あ、刀ステのバクステにいた人だ~」となった。これは余談。

くるりにはじまり、Greeeen、ドリカム、菅田将暉etc……。懐かしの名曲から最新曲まで、ときには演歌も織り交ぜ、歌詞にのせて物語が進む。台詞らしいセリフはほとんどないけれど、それでもダンスや表情から伝わりすぎるほどに伝わってしまうのだからすごい。音楽に身を任せているうちにテンションが上がり、ダンスや表情にあおられ手を打ち鳴らし、いつのまにか「フーーー」やら「イェーーー」なんて口から飛び出していたりする。そして気づかぬうちに感情移入しまくってて号泣していたりも。

そして語られるのは、ひたすらに愛の物語だ。

女と男は出会い、母親と父親になる。順風満帆とはいかずとも家族は手をとりあい、兄妹は元気いっぱいにに育っていく。そのなか、妹はとある青年に一目ぼれ。しかし、その青年は一家の平穏を脅かす不良グループの一員だった。どうなっちゃうの、妹ちゃんの恋———

そしてラストはお決まりの大団円。こんなにも単純明快な家族の話。でもこの話がいとおしくて愛おしくてたまらない。好きすぎて泣けてしまうくらい。なんでだろう。それはきっと、この話のすべてが愛情に基づいているからなのだと思う。

家族を愛する思い。仲間を愛する思い。相手に恋する思い。

貧しくても手を取り合えたのだって、崩壊の危機に瀕して苦しくなって悩んでしまうのだってぜんぶ、家族のことが大事だからでしょ。お母さんがお父さんの浮気現場(笑)みて家出してしまうくらい嘆いたのだって、それくらいお父さんのことを愛していたからだよね。

飯を仲間全員そろってから食べるってルールは、仲間を大事にしていることのあらわれなんでしょ。そんな大事な大事な習慣を部外者に壊されたらそりゃ怒るよね。

会いたくて、でも会えなくて苦しいのはそんなにも相手を思っているからでしょ。逆風だって知ってたって体当たりして結婚をつかみ取ったのだって、そんなにも相手を愛してしまったからだよね。

みんながみんな愛に基づいていることのなんて美しいこと。みんなが必死に毎日を生きていることのなんて素晴らしいこと。梅棒を見ると、世の中愛で回ってるんだって馬鹿みたいに信じてしまいたくなってしまう。純度100%のハッピーであふれる。そして、自分自身を取り巻く環境、わたしの母親や父親のやさしさを思い起こしてはあまりの幸せに泣いてしまう。冒頭で「あなたはきっと90分後にお父さんとお母さんがどんなふうに出会ったのか、そんな話をしたくなるでしょう」と言っていたのは本当だと思う。でも、うちの親は冗談交じりにしか話してくれないからな~(笑)いい機会があったらまた聞いてみようかな。

世の中腐ったもんじゃない。愛であふれてるんだって。きっと私はそう信じていたくて。でも普段ではそうもいかなくて、でも梅棒はそう信じさせてくれるし、それを体現しているのが梅棒の公演だから。だから毎回、梅棒を見ると不思議と大号泣してしまうし、メンバーの皆様が踊っているだけで大好きがあふれて泣いてしまうんだろうな。

見るたびに好きになってしまう。すでに10回公演が楽しみだ。

これは梅棒に全く関係ないこの日の昼ごはんのスープカレー。下北沢のポニピリカといいう店で。エビのダシを使ったスープが濃厚で美味でした。


さて。少しだけ役者さんの話も。

多和田任益さん

見るたびに素敵な役者さんだと思う。初めて見たのはたぶんスカーレット・ピンパーネルだったと思う。黄色のドレスを着て茶目っ気たっぷりにスカピン団の一員を演じていて、かわいくてかわいくて、、しかもスタイルがめちゃくちゃ良くて、、、当時ほとんどお名前しか存じ上げていなかったけどとても印象に残っている。その次はPSYCHO-PASS VVで拝見して。オタクっぽい仕草があまりに自然にはまっていてこりゃまた素敵だった。見るたびに、好きだなあと思ってしまう。

今回の役どころ一文字では、ぶっきらぼうな中にもやさしさ、かわいげなんかがにじんでいて、こういうところがこの人の持ち味なんだろうなと思った。どの役をやっていても茶目っ気がにじんでいて愛してしまいたくなってしまう。ソロダンスも圧巻。舞台に一人立つだけで鳥肌が立ってしまうくらいの凄み。爆発的な感情のエネルギー。圧倒的なプロポーションの良さを活かし切ったダイナミックな動きも素晴らしかった。これ以上のはまり役ないよ。

横山結衣さん

小さくて細い体を目いっぱいに躍動させて踊る姿がとてもエネルギッシュで素敵。圧倒。アイドル、捨てたもんじゃない。何してもかわいい。なんであんなに嫌味なくまっすぐなヒロインをやり切ることが出来るんだろう。それはたぶん、横山さん自身も役どころのあられちゃんとおなじく、目の前のことに全力投球で一生懸命にやり切る強さを持っていて、まっすぐぶつかっていける純粋さがあるからなのだろうと思う。多分ね。仮面を作ってこの役を演じるというよりは、殻を破って体当たりで挑んだむきだしの表現に見えたし、だからこそ心臓が震えてしまった。とてもキラキラした素晴らしいヒロインだった。

思ったのだけど、梅棒のヒロインちゃんはみんな自分自身の手で道を開拓してく強さがあるので大好きだなあ。

伊藤今人さん

ウチパパの創造主。もう出てきた瞬間にありがとうという感じ。ずるいよ。そしてママ役。傘を外した瞬間の出オチ感。ずるいよ。サウダージ生歌。ずるいよ。うまいし。ネギがマイクって。一家の窮地で引き金を引く直前で銃を止めた拳も。かっこよすぎかよ。ずるいって。そりゃ爆笑しながら「フーーー」も言いますわ。肝っ玉母さんを具現化したらあんな感じ。出てくるだけでハッピーになるんだからこの人はすごいし、こういう人が中心にいるから梅棒の作品はハッピーになるんだと思う。

えっ、書いていくときりないな。舞台上に好きな人間しかいないからな。皆さん、ダンスキレッキレで表情もピカイチに輝いていて本当に素晴らしいんだ。。

ハッピーハッピーな公演でした。また10回公演も見に行きます。楽しみ。

#観劇録 #舞台感想 #演劇感想 #梅棒 #舞台芸術 #エンターテイメント

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