【ツールドリブン】の罠: 社内デジタルオフィサーに選ばれて・・・
社内デジタル推進者に選ばれて思ったこと「なんか違う」
今の仕事を始めて2ヶ月、社内(正確にはグループ企業各社の)デジタル推進代表に選んでいただいた。最初の会議にて、取締役達から、「各社の推進者同士で集まって、何ができるかを考え、自発的に動いてほしい」と。
私としては、意欲満々。圧倒的な活動と結果を残してやりたいという意気込みがある。
ただ、ちょっと待ってという残念感じも。
とにかく最初に思ったのは、謎の違和感。
で、自社のもう一人の担当者と話し合った結果、その違和感の正体がやっと分かった。
上層部が求めていること【デジタルでできることをどんどんやってほしい】
「せっかくデジタルのプロフェッショナルが集まったんだから、何かビッグなことをしてほしい」という期待なのであろう。嬉しいことである。
が、それは意外と幻想だったりする。所詮デジタルは道具。何かの困りごとを解決するものである。
ここで、「道具を手にしたからなんかすごいことができるはずだ!」という思考を「ツールドリブン(道具駆動型思考)」と呼ぶ。
ツールドリブンとは・・・・
ツールドリブンとはただの造語。
【いい武器が手に入ったから、これで「何か良くなるはず」】といううっかりすると陥りやすい思考だ。
というのも、私はツールドリブン状態になったことが何度もある。
妻からは、「一般の人はそう思うから、分けてるんだよ。あなたは工夫をしようとするのはいいけど、一周まわってから気づくよね・・・(笑)」といわれた・・・。今思うとアホみたい。
どちらも、「道具を手にした」ことで、一種の興奮状態になり、次のような心理を招いた結果。
特に、昨今のデジタルツールの場合、「なんかすごいことやってくれそう!」感が強く、課題が焦点化されないままに「いい感じに何かやってみよう」となりがちな気がする。
ツールドリブンの問題点
ツールドリブンの問題点は次の通り。
問題1)【焦点化不足】
「何か良くなるはず」という思考は、「何が問題かわかっていない」状態を招く。
問題2)【埋没コストへの執着】
・武器が手に入ると、道具を持て余したくないといったの心理が働く。
問題3)【非生産的思考】
・そこで、問題ではないレベルのことをあたかも解決すべき課題として「でっちあげる」心理になる。
問題4)正解のない道へ迷い込む
・本来困っていないことを「何か良くする」というレベルでは「どうなったら成功か」が見えず、あらゆる意思決定に「これでいい!」という決定打が不足する・・・
理想【タスクドリブン】:「てか、何で困ってるの?」
さて、これまでの成功体験から、ツールドリブンとそうでない場合何が違うのかを例にしてみる。
今までの仕事の仕方を振り返る。大きな仕事を成し遂げたときにはいつも「これがめんどくさい」「これをどうにかしたい」があった。
である。
要するにツールありきではなく、困りごとありき = 【タスクドリブン】を心がけたい。
自分のプライベートでの課題解決でもそうだ。
【タスク】【解決構想】【ツール】フレームワークで一つ例を挙げる。
また、【もしもツールドリブンだったら】どんな羽目になるかも考えてみた。
例:洗濯物がめんどくさい。
【タスク】:干すのがめんどくさい。畳むのがめんどくさい。
【解決構想】:家事動線や物の配置を見直す。畳む、干すという作業自体をなくす。(減らす)
【ツール】:①自分の体格、身長に合った高さの棚やハンガーを購入。②畳まなくていいように、ハンガー及び突っ張り棒を増設。
【もしツールドリブンだったら、】:「よし、便利そうな収納棚を買ったぞ!どうやって使おうか!」
ツールドリブンな思考がいかにアホらしいかがよく分かった。
世のビジネスは不満、不足、不安、不自由、不快といった「不」を元に成り立つ。やはり、「よくする」ためには「不」の部分がはっきり明確にならないと、始まらない。
タスクドリブン。
「不が焦点化」されているために、「良くなった」「この方法が妥当」「これで解決できる」という指標が明確に存在し、意思決定も行動も迅速に行える
まとめ
一方で、良い道具というものは、それ自体を手にすることで「良い使い道」が自然を湧くというのも事実である。iPadやApple Watchなどがそうだ。
「こんなこともできるよ!」と見せてくれるから湧いてくるアイデアもある。
ということは加味した上でも、やはり「これが困る」「これにイライラする」という困り感のないところにはアイデアの質も量も劣るように思う。
一言で図式するなら
といったところ。
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