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【デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING】はオタクの見たいものが詰め込まれた最高の映画。本当に生まれてきてくれてありがとう

忘れられた明日 取り戻しに行くんだ
熱いバトル起こせ

ターゲット〜赤い衝撃〜/和田光司

【デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING】という映画に何よりもまず感謝を。デジモン02のなんたるか、その本質と好きなところが全くブレずにそこに存在してくれたことが嬉しい。

【デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING】は今まで様々な面でデジモンシリーズの中でもあまり高待遇だったとは言えない02がメインの映画だ。
その中身、そしてクオリティは本当に素晴らしいものであった。02のオタクとしてこれは令和のクオリティで見たいと思ったものを概ね見ることができた。
それでいてストーリーとしても02メンツだからこそ解決できた、このメンバーだからこそ向き合えた。という02メンツでやる必然性がしっかりと存在しているのも制作側の理解度の高さを感じられてとても良かった。

私はデジモン02に対して並々ならぬ拗らせをしている自覚がある。限界関係性オタクとしての自我を持つきっかけがなにかと問われたら私は大輔と賢ちゃんだと応えよう。
02のオタクだから胸を張ってこの映画のことを推すことができるのだ。

これより先は映画本編に触れていく為、ネタバレをがんがんしていく。もう我慢の限界だ。
02限界オタクエネルギーが限界まで高まっている。引きがねひく時がきたというわけだ。


見たかったバトル、ありがとうインペリアルドラモン

まず映像面について語りたい。何よりも進化シーンと戦闘シーンが本当に素晴らしかった。

今作の進化シーンに関しては本当に文句のつけようがないほど素晴らしかった。昔の進化バンクをそのまま令和の最新テクノロジーで進化させましたみたいな王道を引き継ぎ圧倒的ハイクオリティとなった映像はあまりにも圧巻と言うしかない。

やはり特に目玉となるのはパイルドラモンへのジョグレス進化だ。昔から【Beat Hit!】イントロのドラムに音ハメしたデスペラードブラスターは演出点として最高峰であった。
今作でもしっかりとデスペラードブラスターによる音ハメは存在していたしなんと両腕のスパイクにも効果音がついていた。この見たかったものにもう一味をさりげなく付け加えているのがまた新たに熱くなれる要素であった。知っているものをベースに知らないものを微妙に付け加えているのが脳を揺さぶられて良い。

パイルドラモンそのもののバトルシーンはほとんどなかったのが少し口惜しいがそれでも進化バンクの重厚感に溢れ力強さ感じるデスペラードブラスターは過去ぶっちぎりにかっこよく令和のくそかっこいいデスペラードブラスターが見てえという欲求を満たしてくれた。
本当にパイルドラモンの進化シーンはシリーズの中でも群を抜いてセンス良く美しくかっこいい映像だと絶対的に信じているのでそういった面で本編に忠実にしっかり王道を貫きつつも新要素を入れてくれたのはファンとして非常にありがたい。

パイルドラモンでの戦闘が少なかった分、インペリアルドラモンのバトルシーンは本当に素晴らしく心がぶち上がった
特に今まであまりにもサイズ的にデカすぎて持て余されがちだったインペリアルドラモンFMの圧倒的に強くかっこよくごりごり動くバトルシーンは流石に最高と言う他なかった。
いまだかつてここまでちゃんとインペリアルドラモンFMがそのサイズ感を保ったままごりごり動いて半端ない強さを示した作品があっただろうか。しかも【Beat Hit!】を背負って。
相手が戦闘用デジモンでなかったとはいえ、大した苦戦もせずギガデス一発で胴体を貫通させたのには感動した。しかも劇場版基準の胸から出るのじゃなくてポジトロンレーザーで撃つ方だったし。
そうなんだよ、インペリアルドラモンFMはマジでばかくそ強いんだよ。このごりごりにでかくて強いインペリアルドラモンFMをずっと見たかったんだよ。ありがとう、こんなにかっこいいインペリアルドラモンFMが見れたことに対して感謝しかない。

合わせてインペリアルドラモンDMの活躍もとても良かった。02本編でも重宝されていた超速度での移動が攻撃をかいくぐり接近するのに使用されていたのは果てしなくかっこよくやはり泣いた。
進化シーンでも令和のメガデスで消し飛ばされる謎の城が見れたのは嬉しかったし進化シーンにかつてと変わらず【ターゲット〜赤い衝撃〜】が流れたところでは感動を抑えられなかった。

終盤、ビッグウッコモンとのバトル前の挿入歌メドレーとなっている進化ラッシュのところは絶対に抑えなければならない。
三連続での進化に合わせて【brave heart】【Beat Hit!】【ターゲット〜赤い衝撃〜】と曲も変えてきているのは02ならではの演出でありそこも活用してきてくれたのは嬉しさしかない。
ホークモン独特の「進化」の言い方や「アンキロモン」の独特の発音など変わっていなかったのも本編を思い出しふふっとさせられた。

時間としては短かったもののシルフィーモンとシャッコウモンのかっこいいシーンが見れたのも実に満足度が高い。特にシルフィーモンはごりごり動くバトルと相性が良くめちゃくちゃにかっこよかった。
シャッコウモンはニギミタマの切断音が劇場で聞くとめちゃくちゃ気持ちよかった。
またこの二体に限らずジョグレス体による夜の市街地でのバトルというのは本編終盤でのバトルを彷彿とさせるのもいいポイントであった。

やはり02のオタクとして進化・バトル面として見たかったものに関してはほとんど見せてもらえた印象が大きいのが好印象へ繋がっている。

02だからルイを本当の意味で救えた

今作のストーリーは02メンツだからこそできる話、救える話であった。アドベンチャーシリーズとして見れば無印メンバーではルイをこのような形で救うことはできなかった話になる。
今回ゲストキャラとして主軸となる「ルイ」はガチめなネグレクトに自分でパートナーを手にかけているなどかなり重くハードな要素が詰まっている。

物語の大枠となるルイのこれらの要素は確かに重い話であったがだからこそ02らしくて良いと感じた。特にパートナーとのすれ違いでの死別という面において唯一無二の解決と寄り添いだった。
02は大輔があまりにも圧倒的に光すぎて明るさを保っているから明るく見えがちだがそもそもの話としては暗い。デジモンカイザーの話にしても及川の話にしても一概に善悪や倒す倒さないで割り切れるものではない。
デジモンカイザーとしてデジタルワールドを荒らしていた賢ちゃんを仲間として迎え入れるまでに悶着があったりと仲間内での揉め事もあった。

だからこそルイとウッコモンに寄り添える。これこそが02の持ち味だ。
あの場でルイに手を差し伸べてやれるのは大輔だけだ。いつだって本宮大輔という男はそうだ。だから02は雰囲気としては明るいのだ。

そしてウッコモンを自分が殺してしまったと悩むルイに対して同じ境遇を持つものは賢ちゃんだけだ。賢ちゃんは同じように過去の過ちからワームモンを失い、再開を果たすまでの苦悩が本編で描かれている。
単なるパートナーとの別れではない。一度自分の手で殺してしまってからの再開だ。だからこの要素を持つルイを扱えるのは、同じベクトルで悩めるのは賢ちゃんがいる02メンツだけなのだ。
やはり特に素晴らしいと感じたのはルイに対して賢ちゃんがそういった経験を基にした安っぽい説教をしなかったことがキャラ理解度に対しての素晴らしさを感じた。
ルイと同じ境遇だからこそ、同じ辛さを味わっているからこそ賢ちゃんはルイに対して多くを話さなかった。なぜならば賢ちゃんは優しいから。ルイの辛さが分かるから。優しさの紋章を持つ男はここが違う。

ウッコモンを倒さなきゃいけない気持ちと、もし倒してパートナー関係がなくなってしまったらというジレンマ。
そんな天秤も懸念も関係なく手を差し伸べられる大輔がいるから02は本質的に光属性なのだ。そしてこれが本当に見ていて気持ちいい。
ウッコモンを倒すための戦いではない、ルイとウッコモンを対話させるための戦いなのだ。そしてウッコモンをもう一度最初からやり直させる為にビッグウッコモンを倒すのだ。
境遇面で寄り添える賢ちゃんと手を差し伸べられる大輔。この2人がいたからルイをウッコモンまで送りに行くための戦いが成立するのだ。
本当に見ていて気持ちがいい。ルイとウッコモンが本来手にできていたはずの未来を【忘れられた明日】を取り戻しにいく戦い。これぞ【熱いバトル】だ。
この気持ちの良さ、後ろ向きでない倒す理由があるからこそインペリアルドラモンFMの圧倒的な強さがまた最高に見ていて気持ち良いわけだ。

そしてパートナー関係の解消という懸念に対しても大輔とブイモンだけは全く気にしていなかった。絶対に2人の絆は消えないと確信しているからだ。
これに関しては理屈でなくこの2人なら絶対大丈夫だと本編からの地続きでそう思える。大輔とブイモンが友情だと握手するシーンが全てだ。
大輔が絶対的に明るく強いからこそ成り立っている部分が大きい。だが本編からしてそれこそが02の魅力である。そういった面で大輔の、ひいては02メンツの魅力を大きく引き出せる構成であったしルイの存在はそのために必要不可欠だったといえる。

あとは本筋から少しズレるが賢ちゃんと京に対してガン笑顔になれる場面が多くてこちら非常に良いものを吸えた。
2人は02最終回の時点で結婚することが決まっていた。果たしていつから付き合いどう結婚したのか全く謎であった。本作でその一端が明かされたわけだ。

2人は大学生の今作時点ではまだ交際はしていないことが分かった。

だからこそだ。だからこそここから展開が発展するということは逆説的に保証されているわけだ。最後の雪合戦の場面など、ここから意識し出してどうこうなっていくのだろうかと思わせるのに充分であった。
賢ちゃんにはもうただただ幸せになってほしいし大学のキャンパスで女の子に囲まれていたけど京と結婚する未来は確定しているのでああやっぱり賢ちゃんの中で京の、仲間の存在は大きいんだなあとしみじみ嬉しくなれた。
賢ちゃんに初めて出来た友達のうちの一人であり、初めて家に招いて一緒に初めてのクリスマスパーティーをした。そんな仲間の一人と仲間としても付き合いがあってそのまま恋人関係になるというのはあまりにも賢ちゃんとご両親の魂救済ルートとして完璧すぎる。
賢ちゃんと京がわちゃわちゃやって幸せになる30分くらいの番外編、待っている。

いつも いつも いつでも

デジモン02限界オタクとして本当に素晴らしい映画であると胸を張って言える。
確かに一見するとルイの設定の重さとハードさに圧倒されがちだ。でも大輔の光属性ぶりで良い方へ解決しようと向かったり分かりあえる、許しあえる強さがあるから生まれたウッコモンの生まれ変わりという結末は02だからこそ辿り着けたラストだ。
ちゃんと根幹の部分で02の良いところが活きている。それでいてみんなの大人になった部分と大人になっても変わらない友情を見られる。非常に完成度が高い。

何よりも何度でも言うが本当に進化シーンとバトルが良かった。最高だった。マジでこれが見たかった。
インペリアルドラモンFMのくそでかくて強くかっこいい姿はあまりにも涙腺に来た。変に新曲だ新形態だといった販促を入れずアレンジで固めてきたのもリブート一発目としてファン的に大いに満足できた。新しいのは次以降でいい。
令和のテクノロジーでのリメイク進化シーンはまあもう文句のつけようがない。素材の良さを完全に理解したアレンジには誰も敵わない。
【Beat Hit!】の音ハメデスペラードブラスターなんて昔も今も本当に最高の演出としか言いようがない。

みんなの変わらない楽しそうな姿が見れたことも嬉しい。デジヴァイスがなくても絆はなくならない、進む道が違っても定期的にみんなで集まれる。

いつも いつも いつでも
通じ合ってるから

いつも いつでも/前田愛

かの神のED、みんなの関係性を凝縮した一言【いつも いつでも】の歌詞の重みとその美しさを改めて噛みしめることが出来た。

02が無印アドベンチャーのようにこのまま大人編をやるのはわからない。だがそれでも今作は次も期待できるんじゃないかと思えるだけの原作理解度とファンサービス度が高かった。
あるならば次も期待したいしテイマーズの大人編に行くのであればそちらも期待したい。

MTRIX
EVOLUTION

からの【One Vision】など劇場で接種したら興奮で肉体がどうなってしまうのだろうか。

大人編にはリスクが伴う。当然成長を描くということは難しいからだ、性格だって価値観だって変わる。
だから今作はルイにスポットを当ててそういった成長と変化からくる内輪もめだとかごたごたに寄らないような構成にしたのは英断であると感じる。
私は02のオタクで本当に幸せだ。こんなにも素晴らしい供給をもらえたのだから。彼らの大好きな部分は何も変わっていなかった。それはこれからも不変であると信じている。

最後に、映画の終わりにルイが動いたデジタマを前にして涙する場面。あの場面に最も相応しい言葉にて締め括りたい。
私の中ではあそこでしっかりと聞こえた。それを私もまた今作に対して言いたい。

生まれてきてありがとう、と。

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