忘却が存在するこの素晴らしき世界。
日々、様々なニュースが世間を賑わす。
心が痛むニュースも多い。
でも、僕たちは忘れていく。
次の話題が飛び込んできて、あの出来事なんてなかったかのように日々が流れていく。
風化とでも呼ぶのだろうか。
多忙に紛れて、僕たちは色んなことを過去へと流しながら生きている。
世界とはそんなものだ。
どうにもならなそうな絶望だって、どうにかなって結局日々は進んでいく。
その積み重ね。
忘れていく。
忘れ去られていく。
それは悲しいことではなく、嘆くことでもなく、むしろ喜ぶべき、愛すべき、世界が持つ性質なのだと思う。
今日、仕事でミスをした。
あの人に怒られた。きっと失望されただろう。
何日かすれば、きっとその人は今日の出来事を覚えていない。
絶望を味わったあなたでさえ、数ヶ月もすればその絶望の味を思い出すことはできなくなる。
忘れていく。
忘れ去られていく。
素晴らしき世界。
愛すべき世界。
どうせ忘れるのだから、気にしなくてもいいのだ。
忘れるが根底に潜んでいるこの世界では、すべてが些細な出来事だとも言える。
大それたことのように思えるあの出来事も、世界にとっては取るに足らない、どうでも良いこと。
忘れていってしまう、その他多数と同じレベルのこと。
忘却とともに存在するこの世界。
忘却を免罪符に、全てのことを気にせずに今を生きていればいい。
今日、辛い思いをしたあなたへ。
信じられないかもしれないけど、その辛さでさえ、いつか世界は忘れさせてくれる。
だから今は、生きていよう。
忘却が迎えにきてくれる、その時まで。
忘れる。忘れさせてくれる。
忘却が存在するこの素晴らしき世界で、忘却を味方に、今を生きていきましょう。
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