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僕が目撃したおじさんの話し

以前、駅前レンタカーサービスのバイトをしてました。
僕に与えられた仕事は、お客さんがレンタルした車を洗浄して給油する事です。

レンタル会社は駅ビルの裏手にあり、給油した車は駅ビルの屋上駐車場に停め、カギだけ持って事務所に返却する。
それを繰り返すだけの楽なバイトでした。
何より色々な車に乗れるので、楽しかった事を覚えています。

いつもの様に屋上駐車場に車を停め、駅ビルから出ると喫煙所がありました。
喫煙所には20歳くらいの男女2人が、スマホを見ながらタバコを吸っていました。
男の子は腕にタトゥーを入れていた事を覚えています。
何往復かしても、まだ2人は居ました。

バイトも終わりに差し掛かっていた時、先輩から「一緒に行こう」と誘われました。
どうやらレンタカーが2台一緒に返却されたので、2人で行こうと言う事でした。

車を停め、先輩と一緒に駅ビルを出ると喫煙所にはまだ男女2人が。
僕たちの前を1人のおじさんが歩いていました。
おじさんは喫煙所の前に差し掛かると2人に対して

うるさい!!

突然の叫び声に、先輩も僕もびっくりして立ち止まってしまいました。
かなり大きな声で周囲の人も皆、喫煙所に注目しています。
おじさんは叫び終わると、何事も無かったかのように通り過ぎて行きました。
正直、その時のおじさんは僕の目には異様に映りました。

「あの2人って、そんなにうるさかったの?」
先輩から質問されましたが、話し声が聞こえないどころか、無言でスマホを見ている姿しか僕は見ていません。

バイトも終わり家に着いても今日の出来事が頭から離れませんでした。
何がうるさかったのか。
何が気に入らなかったのか。

夕食を食べながら、今日の出来事を父に話しました。
すると父は「その人は今までずっと我慢してきたんだろうなあ」と一言言い続けました。

我慢を重ねて、それが塵みたいに積もって行くとな、歳とった時に感情の歯止めが効かなくなる人がいるんだ。ちょっと気に入らない事があると怒ったり、言わなくても良いこと巻くし立てたりな。自分は、おかしくないと思ってるからタチ悪いんだよな。

父はその場にいた訳ではなく、真意も分かりませんが、不思議と父の言葉は腑に落ちました。
それと同時に少し怖くなりました。

だって社会は我慢を強いるじゃないか。
直接言わなくとも間接的に、まるでそれが正しい事のように、我慢をするのが当たり前の空気で、満たされているではないか。

我慢した挙句、なぜ他人に暴言を吐く人間にならなければいけないのか。

当時は、おじさんに同情に近い感情と、ああなりたくない感情で暫く苦慮していましたが、今はだいぶ飲み込めて自分なりの答えが見つかりました。

気が向いた時にまた、続き?を記事にしたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

今日のサムネ画像はきろくさんから描いて頂きました!ありがとうございます!!
きろくさんのTwitter↓↓↓

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