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【助産師の夜が明ける】を観ました!

こんにちは!
助産師のえびちゃんです😊

世田谷区桜新町で、出張とオンライン相談専門の助産院SAKURA SALONを運営しております、助産師の高橋さおりです。

旧姓がえびはらなので、「えびちゃん」と呼んでいただけると嬉しいです😊

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先日、助産師仲間の友人から教えてもらい、【助産師の夜が明ける】というフランス映画を観てきました。


都内では8/16〜有楽町の映画館でのみ上映されています。

注)ネタバレありの感想です!


「助産師の夜が明ける」ってどんな映画?

産科医療で働く人が足りなすぎて、人を人として大事に扱えない助産師たちの悲痛を描いた作品です。

どんな人におすすめ?

産科医療関係者に限らず、いつか妊娠を考えている方、これから出産を控えている方、ご家族などにもオススメです。

ただ、病院出産なので、ハイリスクの危ない出産シーン(子宮破裂で緊急帝王切開、新生児の心肺蘇生)、死産などの悲しいシーンもあります。

でも、今や99%が病院出産なので、いつ何が起こるかわからないという出産をイメージするには、とても大事な映画だと思いました。

私の感想

産科医療のみならず、現在の医療現場を表している

映画なので、過酷な医療現場を誇張している部分はあります。忙しすぎて、新人を迎える時きつい言葉(新人の「何かできることはありますか?」に対して「私の邪魔をしないで」と返すシーン)は、新人指導を担当したことがある人なら誰もが一度は思ったことがあるはず。


ただ、本人を目の前にして言わないというのが現状だと思います。同じ言葉ではないけれど、自分が学生の時に、機嫌の悪い指導者にあたって、そのような態度をされたことはあります。

でも、出産が重なるときは重なるし、一人で何人も診なければいけず余裕がない時もあるので、刺々しい言葉が出てしまう医療者の気持ちはすごくよくわかります。

映画ですごく良いと思ったのは、そんな多忙を極める状況でも利用者のお母さんや家族に対する声かけが優しかったこと。

忙しくてスタッフ同士の関係性が悪い場所は、大体ケアも適当になっているイメージがあるので、そこは安心して観られました。

私がオッ!と驚いたところ

臍帯を切るシーンや赤ちゃんを拭く時に素手で処置しているシーンが映るので、感染対策はどういう状況なのかなという興味が湧きました!

あと、日本では助産師は女性しかなれないのですが、フランスは男性助産師もいて、文化も良いなと思いました。男性助産師は2%くらいいるそうです。

日本では男性看護師の活躍の場が、今ではだいぶ増えてきましたが、スタッフ間では頼りにされていても、利用者から断られることもあったりして肩身が狭い思いをしている方も多いはず。

映画の中でも、男性助産師はなかなか出産に立ち合わせてもらえなかったり、内診できる機会が少なかったりして共感できる部分が多かったです。

あと個人的に、興味深いと感じたのは、クリスマスに出勤したスタッフが病棟でクリスマスパーティをするシーンです。男性助産師が手作りケーキを披露するシーンがあるのですが、そのデザインが、産科ゆえの楽しみ方で・・・⭐️

一般の方が見たらびっくり・・・というか普通に引くと思います笑

そこを映画に盛り込んでいるところに驚いたり、そのケーキを好意的に受け止めているスタッフのリアクションをみて、フランスの病棟スタッフと仲良くなれるかもと思いました笑

フランスの医療現場の興味深かった点

・病棟のディスカッションの発言量(みんなでワーという感じ)
・新人の発言力(先輩への苦言を本人を目の前にして言えちゃう強さ)
・忙しすぎて刺々しい言葉をかけてしまうことがありつつも、結局愛があってチーム力があるところ
・産科医療の漫画コウノドリに出てくる小松さんのような助産師がいる(彼女は万国共通なのだろうか?笑)

この映画から私が考えたこと

この映画、後援が日本助産師会なのですが、映画の最後に助産師が働く環境についてストライキを起こしている場面で終わります。「助産師1人につき利用者1人」というメッセージなども。

産科医療の現場や問題提起をしているので、私たちはこの映画の内容を受けて、自分の職場や働きのみならず、日本の産科医療について話し合う必要があると感じました。

母子の安全が保てることが最重要ですが、妊娠出産産後にお母さんやご家族が傷つくようなことがないように「自分たちは大事にされている」とお母さんやご家族が感じられる温かいケアを提供できるために。

妊娠出産の傷ついた体験は、産後や育児にもずっと尾を引いてしまうから。

一方で医療者も、喜ばしいこともあれば、悲しい現実を受け止めなければならない時もあって、医療者をケアする場も必要だと感じます。

私も病院勤務をしていた時は、お亡くなりになられた方の出棺をして、患者さんとご家族をお見送りした後、病棟に戻るエレベーターの中で深呼吸して気持ちを切り替えていました。

でも、勤務を終えて着替えて病院を出てから、悲しくて泣いたりしたこともあったので、自分を労い、労る時間を意識的にとらないと病気になってしまうと感じます。

医療者は自分のことは一旦おいて、人想いに尽くす人が多いので、自分を大事にするとか自分の心や身体のケアの仕方がわからない人も多いとも感じています。(以前私もそうだった)

私にできることはなんだろう?

私は三次救急病院看護師→大学院進学→大学病院助産師→渡米→オンライン助産師→本帰国後に開業助産師という流れで、今は地域で助産師をしております。

映画をみて、多少誇張されている部分はあるものの、病院出産する方の妊娠中から産後まで継続的にフォローしきれない現状が、日本の産科医療と重なる部分も多かったです。

・お母さんたちは、満足度の高い出産をできているだろうか?
・傷ついたりしていないだろうか?

傷ついていないかというのは、心だけでなく、会陰切開、帝王切開、吸引やかんしなどの医療介入などの身体の侵襲も含めて・・・

妊娠期にしっかり自分や赤ちゃん、ご家族と向き合う時間があってこそ、出産の流れも変わってくるものです。

たとえ、出産で傷つくことがあったとしても、継続的に関わってくれる人から大切に関わってもらえたら、その傷が少しずつ癒えて赤ちゃんへの愛が向けられる心のゆとりにつながる。

産後ケア事業が整ってきてはいるけれど、正直産後から手厚いケアをしたのでは間に合わないし、回復に時間がかかりすぎる。

私は妊娠前から妊娠中、産後、そして、その先もずっと大切に関わる助産師でありたい!と意志を新たにしたのでした。

タイムリーにバースレビュー会を開催

9/18(水)10:00~12:00田園都市線桜新町駅から徒歩7分の桜新町区民集会所で、バースレビュー会を行います。

バースレビュー会とは自身の妊娠出産産後の、嬉しかったこと、幸せだったこと、辛かったこと、傷ついたことなどを、思いのままに話す会です。

お母さんたちが自分の経験や気持ちを整理したり、受け止めたりするきっかけにできたらと思っています。

病院出産では担いきれないケアを、地域で行っていけたらと思っています。

子育てサロンは要予約ですので、ぜひお早めにお申し込みください。

https://www.reservestock.jp/page/consecutive_events/35158

自分の出産を振り返る

1人目は日本の総合病院で

第一子は日本の総合病院で出産しました。妊娠期もつわりが辛くて、仕事を休まなければならないことに辛さを感じたりしていましたが、つわりが明けるとだいぶ楽になり、快適に過ごしていました。

出産は、病院スタッフの方は皆さん優しく良かったのですが、外来と入院のスタッフが別々だったり、病院あるあるですが勤務交代があって新しいスタッフに変わったり、産科以外の科も入っていたのでなかなか助産師を呼べない環境でした。

妊娠中に体力をつけるために運動もしっかりしていたので、陣痛が来た時は自分がどんな出産になるのかワクワクで入院したのですが、なかなか子宮口が開かず、経過が長引いた上に、出産が頸管裂傷で多量出血…

前期破水(子宮口が開き切る前に破水すること)もあり、子どもの感染管理が必要になり、出産後に母子分離になったりと、ちょっと悲しい思いをしたんですね。

自分の出産を振り返った時に、自分は結構緊張しやすいタイプであることを再認識して、

自分がリラックスできる環境を整えるために、2人目を妊娠した時は、妊娠期から出産までみんなと顔見知りになれるくらいの小規模なところで、かつ妊娠中から継続的に関わってもらえる人を探そうと思いました。

2人めはアメリカのバースセンターで

第二子は、アメリカカリフォルニア州にあるバースセンター(助産師だけがいる助産院のような場所)で出産しました。

妊婦健診には30分じっくり時間をかけてくれて、国や言語が異なっても、温かいケアをしてもらっていると心から感じられる経験でした。本当に私のことを大切に思って関わってくれているのが伝わってきたのです。

出産するときは出産ドゥーラを利用して、至れり尽くせりなケアを受け、水中分娩をしました。

とにかく妊娠中から出産が楽しみで、出産中も結構ワクワクしてました。出産した直後、skin to skin(産まれてすぐに胸に赤ちゃんを連れてきてもらい肌と肌が密着すること)ができたり、すぐ直接授乳ができたり、1人目を出産したときにできなかった経験をできとても嬉しかったです。

出産直後に、またここでこの人たちに見守られながら出産したいと思ったほどです。

今思い出しても、胸に込み上げてくる温かさがあり、自分の経験が、自分を強くしてくれていると感じます。


ハイリスクで出産場所を選べない方は

今や99%が病院や産科クリニックで出産した、残り1%以下が助産院や自宅出産というのが現状です。

施設によってそれぞれメリットデメリットがありますが、助産院で出産したいと思っていても、住む場所や身体の状況によっては出産場所を選べないこともあります。

病院出産でも、院内助産や助産師外来がある場所は、妊婦健診でしっかり話を聞いてもらえたり、継続的にサポートしてもらえるところもありますが、

もし、今これを読んでくださっている方で、妊娠中の方が、

病院出産の予定で、妊婦健診の時間が短く、聞きたいことを聞けなかったり、不安なことがあってSNSで検索ばかりして結局答えが見つからなかったり、出産産後が不安という方は、ぜひ繋がりましょう!

妊娠中から産後1年まで継続的にサポートしています☺️



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