チーズと落書き
教員2年目。私は2年生の担任をしていた。
今はアレルギーの視点で見なくなったが、当時は給食でスライスチーズが出ていた。
そんなある日の給食時間、友だちのスライスチーズのフィルムに、油性マジックで落書きをした子がいた。
咄嗟に「何してんの!」と、私は言った。
しかし、そこに書かれていたのは「ハンバーグ」の文字。
「なんでハンバーグって書いたん?」と私が聞くと、
「〇〇(友だちの名前)がハンバーグ好きやから。」「ハンバーグって思ったら〇〇が嫌いなチーズ食べれるかな、と思って。」
ハッとした。彼には悪気はなく、むしろ、友だちを思っての行動だった。
私は「落書きしたから悪いことをした」と決めつけて、頭ごなしに怒ってしまうところだった。
子どもがした行動には、子どもなりの理由があるのかもしれない。
もちろん、いけないことをしたときは、指導もするが、その前に、どうしてその行動を選んだのか、じっくりと聞こうと思った出来事だった。
怒られるリスクがあるかもしれないのに、ひたむきに友だちを思って、そういう行動を自分で選んだ彼のことを、私は立派だと思った。
私たち教師は、子どもに教えるよりも、教えられることの方が多い。ありがたい仕事だ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?