自分の後始末は,やっぱり自分でやりたい
●お時間のある方はこれまでの経緯も読んでいただければ⇩
●サクッと前回の話
下の叔母が大腿骨を骨折して入院したのが2021年の11月。老健の延長を繰り返し、1年を経過した2022年の12月に、ついに私は下の叔母に会いに行った。暴言を吐かれながら面倒を看ていたいとこが、下の叔母に面会した時に撮った写真を送って来てくれたことがあった。やせ細り、足首は曲がり、溌剌としていた昔の叔母を思い出すと、正直、会いたくなかった。
見た目をどうこう言うつもりはない。年を取って、怪我や病気をすれば誰でも姿形が変わるのは自然なこと。外見ではなく、いとこに対して人間性を疑う言動が未だに続いていることをどう考えればよいのか。私は下の叔母に会った時、どんな顔で、何と言えばいいのかを考えると、会いたくなかった。
叔母がジ―――ッと見ている。
叔母の所までは、新幹線に乗ってドアtoドアで片道5時間。姉であっても、歳をとり自分のことで精一杯の母が、旅費を出してくれた。
今回のミッションはふたつ。
●まだ決まっていない、叔母が次に入る介護施設について、介護担当の人たちと話し合う。
●叔母の住んでいた賃貸マンションを引き払うために、いとこと一緒に荷物を片づける。
まず老健を訪ね、叔母に面会した。ガラスのドアを隔てたコロナ禍の面会は、1日1組。幸い滞在4日間のうちの1日だけが空いていた。私が会いに来ることは何となくいとこが伝えていたのだが、日にちを言うと面会を拒否する可能性があるので、叔母には伝えず、施設の人には「遠くから会いに来るから絶対に連れてきてほしい」と言ってくれていた。
連れて来られた叔母は、私といとこをジ―――ッと見ていた。
最初に入院した病院で、認知症の初期症状があると言われたけど、とてもそうとは思えない暴言エピソードを聞いていた私は、「やっと来たわ」と第一声を発しながら、「叔母は今、一生懸命、辻褄合わせをしながら、発する言葉を選んでいるのだろう」と意地悪な想像をしていた。
叔母「こんなことになって、ごめんね~。M子ちゃん(私の娘)は元気?みんな立派になってくれてよかったわ~。」
「みんな」とは、M子と、いとこの娘と息子のことを言っている。1年前の認知症の検査では、私は結婚したけど、子どもはできなかったことになっていた。ところがその直後に、他の看護師さんには正しいことを言っていたそうで、一時的に混乱していたのか、わざと嘘を言っていたのか。認知症の初期にしてはおかしな反応が多々あり、お医者さんも判断がつきかねていた。
叔母と面会した後、ケアマネさんと担当職員さん、理学療法士の方などとの話し合いになった。
今回はいつもの頼りないケアマネージャーではなく、その上司にあたる方が来てくれた。叔母が相手によって違うことを言い、いとこがとても困っている。義両親の介護もあって、いとこは今でも大変な状況になっている。など、はっきりと伝えた。いとこも苦しい状況を説明し、「マンションに戻って叔母の介護をすることは無理だ」と度々伝えたのだが、なぜか叔母の言葉に周りの人達は惑わされ、事態が進捗していなかったのだ。
叔母のメンツは丸つぶれだろうけど、いとこが死んでしまっては困る。包み隠さず、困っている状況をほぼすべて伝えた。これが、今回の私のミッションでもあるわけで。
本当に理解できていないのか?ゴネればなんとかなると思っているのか?
足の裏が床につかず、常に誰かがそばにいないとトイレにも行けない状態では、マンションに戻って生活することはできないのだから、マンションは引き払う。(もう一人で歩けるようにはならないけど)もし住めるようになったら、また借りればいい。このことは、いとこが何度も叔母に話してきたのだが、叔母は納得していない。
度々横やりを入れてくる叔母の友人(70代・女性)にも「マンションのことは、すぐにどうこうということはないから、ゆっくり考えるわ。」と
すんごい余裕のある人みたいな発言をしたそうで、その友人が「なんでマンションを引き払うなんて、勝手なことをするの?」と、いとこに電話してきたそうだ。
今回の面会で、私はいとこと二人で「安全に安心して暮らすには、介護施設に入った方がいい」ということを叔母にもう一度説明した。
叔母は無表情で聞いていたが、何度か繰り返し話すうちに「じゃ、お願いします。」と言った。そばにいた施設の担当者も聞いていた。
「これはOKと考えていいですよね?これ以上、書類にサインとか必要ですか?」とケアマネさんに尋ねると、「そう言われたのならいいでしょう。こちらで検討して施設を探しましょう。」と、話が進んだ。2023年の1月末までに次の施設を探してくれて、空きが出ないうちは老健に留まってよい、ということになった。
人生お金がすべてではないけど、お金は大事。
叔母が施設のために使える費用は月に12万ほどしかない。
病気になれば治療費も払えない。補てんするのは私たち周りの者。行き先を選べるような立場ではないのだ。
それにしても、デパートでセミオーダーメイドの売り場の主任を長く務め、子どももいなかったのに、貯金ゼロとはどういうこと?どこか箪笥のスミにでもまだ通帳があるんじゃないか?未だにそんな話をするのだが、本当に無いようで・・・。
それもこれも、現役時代の派手な生活の結果だ。売り場では医師や社長の奥様を相手にするから、自分もそれなりの服装をしなくてはいけないし、夫は服飾専門学校の教師。「○○先生の奥さん」という周りからの目もあって、勝気な性格がますます加速していったのだろう。子ども一人を大学まで行かせれば、ざっと1000万の教育費が必要だというのに、その1000万はどこへ行ったのだ?!
こちらがかなりいろいろなことを話したからか、老健のスタッフたちも「プライドが高いようにはお見受けします。現在の自分の状況が受け入れられず、姪御さんには感謝していると思うのですが、素直に表現できないのではないでしょうか。」と言っていた。
80過ぎて、そのプライドが何の役に立つ?
役に立つどころか、自分で自分を窮地に追い込んでいる。やっぱり、素直でかわいい高齢者にならないと、みんな離れていく。プライドの高い人は「格好悪いこと」が嫌いだと思うのだが、見栄を張った結果、何もできなくなった今の自分のことを格好悪いと思わないのだろうか。
後日談。いとこが叔母の友人と会ったとき、また施設のことで横やりを入れてきた。「介護に使える費用が限られているから施設は選べない」と説明しても納得しないので、迷ったが、いとこは年金が入って来る叔母の通帳を見せたそうだ。これが全財産です、と。
友人は驚いた様子でポツリ「もっとお金があるのかと思った。」と。
そりゃ、現役時代を知っていて、今も叔母から余裕~~みたいな話を聞かされていれば勘違いしても仕方ないが、この友人の反応にもがっかりした。
娘と二人で「お世話になったから、老後の面倒を看てもいい。」とまで言っていた友人親子。
いとこが「面倒を看るということは、お金のやりくりも含めてすべて面倒を看るということですよ!」と言ったら、「それはしません。」とあっさりスルーされたそうだ。
やっぱり自分の断捨離は自分でやりたい。
マンションを引き払うことをとりあえず叔母に認めさせた私たちは、翌日から荷物の整理に取り掛かった。服飾関係の仕事だったから、タンスには高価なスーツや着物が入っている。夫が亡くなった頃から少しずつ整理をしていたようで、私たちが途方に暮れるような状態ではなかったのは救いだったが、かなりの量であることには違いない。
業者が入れば何も見ずにどんどんゴミ袋に詰められてしまうのだろう。私といとこは、叔母がよく着ていた服や昔の写真を見て、時々思い出話をしながら、文句も言いながら、黙々と片付けていった。本来なら、叔母も自分で見ながらゆっくり片づけていきたいだろうが、体が動かないのではどうしようもない。ちょっと切なかった。
マンションは、私の母が家賃を立て替えて(これ以上いとこには頼めない)2023年の1月末まで借りた。服や台所の雑貨、押し入れの中のあれやこれや、叔母の亡くなった夫の遺品など、かなり段ボールに詰めたけど、続きと最後の掃除は1月中にいとこがやってくれることになっていた。大きな家具は業者に処分してもらうが、荷物を詰めた段ボールや小さい収納家具などはいとこの家に置かせてもらうことになった。
ここで👽登場!さすがの発言。
こうやってnoteに書いているうちにも事態はどんどん変わっていく~!
1月下旬、いとこの義母さんが階段から落ちて入院。最後の片付けや掃除ができず、マンション退去を2月末まで延期することになった。
👽に叔母の話をすると超不機嫌になったことがあり(その頃、体調が悪かったらしい)、表現方法に難のある👽なので、それ以降、話は控えていた。最近、体調が良いようで、叔母やいとこの経緯をサラッと説明すると「荷物の引き揚げを手伝いに行った方がいいんじゃないか。」と言ってくれて、2月中旬に👽と二人で手伝いに行くことになった。
2日間かけて、いとこのご主人も隣県から出動し、自前の軽トラに積んで往復。全て業者に頼むと30万近くするらしい。それはだれが払うのか?私たちである。だから、出動するのだ。(ご主人方にも迷惑をかけていることが叔母はわかっているのか?!)
こういうところは👽の良いところである。これは外面良男だからではなく、身辺整理をせずに亡くなった義兄や親せきのことで困った経験があるから、本当にそう思っている。私もいとこと同じ立場だということもあるし。
そして、お金にすぐ反応する👽は、早速言ったね。
「旦那さんが亡くなった後すぐにもう少し安いマンションに引っ越してたら、月5万の節約としても、年60万。亡くなって10年なら600万の節約」
ほ~~、これは同感。さすが👽。お金は大事だ。
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というわけで、時間通りに新幹線に乗ることが苦手な👽に合わせて、車で8時間かけて行ってきます。コロナ以降、久しぶりの旅行のつもりで行くことにすれば、気分も違うかなあ。 (次回へつづく)