小さな教育情報・「日本の教育はダメじゃない」その3
『日本の教育はダメじゃない』(ちくま新書)の紹介。最終回です。
最終回は日本の先生方についてデータを見てみましょう。
①日本の先生の授業は子どもの創造性を伸ばすものになっています。アメリカのJ・スティングラーは数学の授業をアメリカ・ドイツと比較して、日本の授業では「別解」指導に力を入れている事実を発見(別解に当てる時間はは米・独の3~4倍)。日本の授業は発見型・思考型で創造的だという結論です。
②日本の先生は子どもに頑張ることの意義を教えています。日本とカナダの子どもの比較実験です。テストを2回実施。日本の子どもは1回目のテストの出来が悪いと、2回目のテストに長い時間取り組みます。カナダの子どもたちは1回目の出来が悪いと短い時間しか取り組みません。つまり、日本の子どもは失敗したと感じるとより一層頑張ろうとするというわけです。
③日本の先生は優秀。ピアックの調査「小中学校の先生の数理能力・読解力」の調査によれば、日本の先生方はどちらも1位です!つまり、頭がいい人が先生になっているってわけ。頭がいいだけじゃ「いい先生」とは言えないよ、という人もいますよね。じつは日本の教師は断トツで世界一多忙であることがわかっています。にも拘わらず、ピザ調査「国語の授業における先生の生徒へのサポート」では36か国中12位です。日本の先生は頑張っているのです。
この本の著者はいいことを言ってくれてます。
「私たちが言いたいのは、「もうそういうの、やめませんか」ということです。日本の学校教育や子どもたちについて、もっと現実的な理解をして、現実的な政策を作っていきませんか」(p144)
「日本の学校教育は総合的に見てたいへん素晴らしいと感じています。しかし、日本の教育研究者に対して、なぜ日本の学校教育が成功しているのかを質問しても、まともに答えてもらえたことはほとんどありません」(p185)
「データと根拠を示しながら、「日本の教育は言われるほど悪くない」という論文を書いてきました。しかもそれを日本の教育学会ではなく、国際的な教育学会で発表してきました。そうした私たちに対しても、ときに「国家主義的」という評価が日本の教育研究者の中でなされることがありました」(p200)
やっぱりね。そうだろうと思った。