見出し画像

小さな教育情報・「日本の教育はダメじゃない」その2

『日本の教育はダメじゃない』(ちくま新書)の紹介を続けます。

上記の国際比較データによれば、日本の子どもたちの学力は、知識、創造力、問題解決能力ともに申し分ないほど高いことを紹介しました。

日本の子どもたちの学力が高いのはわかったけど、日本の学校には問題が多いからなあ?という方もいますよね。それもたぶんウソです(勘違いしないで欲しいのですが、問題がないと言っているわけではありません)。以下をお読み下さい。

①学校が楽しくないと感じているはず?はウソです。ピザ調査によれば「学校は楽しいか」は39か国中12位ですから、まずまずです(あのフィンランドは35位)。さらに「自らを学校の一員と感じるか」はなんと5位です。子どもたちは学校が楽しいのです。

ちなみに著者はこうコメントしています。

「メディアの記事はしばしば「日本の子どもたちが不幸せだ」という結果だけを取り上げて嘆いてみせます。さらに、教育研究者の中にも、一部のデータだけを取り上げて、日本の教育はこんなにダメだという方もいます」(p125)

ありますね。こういう切り取り報道。

②あれだけニュースでやってるんだから日本はいじめは多いはず?これもどうやらウソです(繰り返しますが、私はいじめがないなどと極論を言う気もないし、いじめへの取り組みが不要だなどと言う気もありません)。ティムズ調査「ほとんどいじめられたことのない子ども」の割合は80%で38か国中5位です。少なくともいじめが多い国とは言えないようです。

③不登校はどうなのかな?これはなかなか国際比較が難しいらしいのです。私も初めて知りましたが「不登校」は日本だけの概念。代わりに西欧諸国は「ドロップアウト」という概念があるそうです。この2つは似ても似つかぬもの。「不登校」は今は登校していないが学校の一員でありいずれ戻ることを期待されているもの、「ドロップアウト」は学校の外へ落ちてしまった存在。この違いは日本にある「すべての子どもが学校に来るべき」という理想にあると著者は言います。ちなみにOECD調査「高校卒業率」は日本は約98%でフィンランドに次いで2位です。

④外で遊ばない子が増えて健康面に問題がある?もウソみたいです。WHOの調査では「5歳から19歳の肥満」の割合はわずが約3%で1位です。これは各家庭の子どもの食事への配慮が行き届いているということです。さらに、じつは日本は世界有数の体育先進国です。ピザ調査「週に3回以上体育の授業がある」は日本は4位。「週に1回も体育の授業を受けない」子どもの割合はなんと0%で1位です。

おおむね日本の子どもは他国と比較して心も体も健康に成長していると言えそうです。

いいなと思ったら応援しよう!