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時には「企画」から1つの作品を作り上げてみる

小説が出来上がる過程には、2つのパターンがあるように思います。
 
1つは、最初にキャラクターや世界観、ストーリーなどのアイディアが浮かび、それを膨らませて作品を作っていくパターン。
 
もう1つは「こういうジャンルの、こういうコンセプトの作品が作りたい」という「企画」が先にあって、それを元にキャラクターや設定、ストーリーを考えていくパターンです。
 
自分の場合、小説を書き始めた当初は、ほとんど前者のパターンばかりでした。
 
しかし、ある時にふと「企画から1つの作品を作り上げてみよう」と思い立ったのです。
 
それは、ジャンルやコンセプトは決まっていてもキャラも世界観もストーリーも全く無い「ゼロ」からの創作ですので、「アイディアを膨らませる」創作法より難易度がずっと高い作業です。
 
しかし、それゆえに、やり遂げることが出来たなら「執筆スキル大幅レベルアップ」が見込めるのではないかと思ったのです。
 
そうやって初めて作った「企画からの小説」が「花咲く夜に君の名を呼ぶ」でした。
 
「企画」として、まず決めたのは「和風ファンタジー」であることでした。
 
「和風ファンタジー」と言っても、どの時代を選ぶかによって、だいぶ話の雰囲気は変わってきます。
 
陰陽師の活躍する平安時代か、群雄割拠な戦国時代か、武士や忍者のアクションが期待できる江戸時代か…
 
どの時代なら、どんな世界観・設定になるのかシミュレーションして比較検討した結果、「他の人があまり書いていなさそうな時代が良い」ということで、時代は「古代」に決まりました。
 
(一度は「妖と人の子の恋愛モノも良いかな…」と思い、「江戸時代前後(昔話によく出てきそうな時代)」案もあったのですが…)
 
そこから古代日本についての資料リサーチを始め…
 
「古代って、他の時代に比べて資料が少な過ぎる!」と悪戦苦闘しながらも、何とか世界観設定を作り上げました。
 
(その過程で、世界がリアル古代日本ではなく、パラレル世界的な古代日本に変わったりしました。「企画」からの世界観作りの具体的な詳細は、ここで書くと長くなるので、またそのうち別記事でまとめるつもりです。)
 
そして、世界観よりもさらに難易度の高い、ストーリー作り

これにも「企画」として決めたことがあります。
 
ひとつは「コメディ要素を封印した完全シリアス」であること(←それまでの自分の作品がコメディ要素ありのものばかりだったため、そこもチャレンジしてみようということで…)…
 
そして「主人公かヒロインのどちらかが死ぬ」話であることです。

これは、自分が「作品を盛り上げるためにモブや脇キャラが死ぬ」「主人公orヒロインは絶対の安全圏で死ぬことはない」というのが、そもそもあまり好きではないことから来ています。

こうして「ラストの辺りで“死”がある」ということだけは決まったわけですが…問題は、そこに至るまでにどうストーリーが展開していくか、です。

そしてそもそも、なぜ主人公orヒロインは死ぬことになるのか…。

これも、相当「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しました。

(…まぁ、完結させた今でも「あれで良かったんだろうか…」と悩んだりはしているのですが。)

その試行錯誤の過程でいつの間にか、「ラストが“死”だけで終わらない」という形に変わっていました。

変化した「きっかけ」は、物語全体に、ある「モチーフ」をプラスしたことです。

他の作品を作った際にも思ったのですが…作品全体を通してひとつの「モチーフ」があると、作品全体に「まとまり」や「説得力」が出ます。

「テーマ」と言い換えても良いのですが、「テーマ」というほど重くなくても、ひとつの共通した「イメージ」のようなものがあれば、作品に一本の芯が通ります

たとえば戦隊ヒーローものなど、1年ごとに新しい作品が出るたびに「獣」「忍者」「電車」etc…モチーフが変わりますよね。

(プリキュ○で言うなら「プリンセス」「魔法使い」「トランプ」etc…。)

しかもモチーフを決めれば、そこからの「連想」で、ストーリーや設定のアイディアが湧きやすくなるのです。

ちなみに「花咲く…」のモチーフは、エピローグの一歩手前まで、その「正体」が明かされないのですが…

なにげに元々人気のあるモチーフなので、我ながら「これの“正体”を伏せるなんて、正気じゃない!でも、そこが逆にひねくれていてイイ」と思っています。


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