見出し画像

新しい「推し」の見つけ方(10分の1新規開拓のススメ)

「最近何だか『おもしろい作品』に出逢えない」「好きだったはずのジャンルにノれなくなってきた」…そんなお悩みをお持ちの方、いらっしゃいませんか?

 ランキング上位の作品を読んでいるのに、ハマれない…、好きなジャンルを読んでいるはずなのに楽しめない…

そんなお悩み、結構多いのではないでしょうか? 

 理由は「ランキング上位作が自分の好みとは限らない(※)」「好きなモノでも同じものばかり味わい続ければ飽きる」という、少し考えれば分かる、ごく単純なものなのですが… 

※この辺は過去記事でも書いていますが…ランキングとは結局、自分以外の他者の選んだ「好き嫌い番付」に過ぎないので、自分と性別も年齢も生活環境も全く違う層が選んだランキングなら、そもそもアテになるはずもないということです。


 理由が分かったところで、問題は解決しません。 

 悩める読者が求めているのは「どうしたら再び『おもしろい作品』に出逢えるのか?」ということなんですよね。 

 そこで今回は、自分が実際にやっている実用的な「新しい推しの見つけ方」をご紹介していきます。

【念のため補足】
ここでの「新しい推し」は「推し変」ではなく「推し増し」前提で書いています。
「新しい推し」のために「今までの推し」を忘れろと言っているわけではありませんので、誤解なきようお願い致します。
「新しい推し」との出逢いで「今までの推し」の魅力を再発見できることもありますので(何なら「新しい推し」に飽き始めた頃に原点回帰するパターンもありますので)「今までの推し」をあっさり棄ててしまうのは、個人的にはオススメできません(読み飽きたつもりでブック○フに売った挙句に後悔し、再購入してお金をムダにするパターンとか普通にありますので)。



 ■10回に1回だけでも「新規開拓」してみよう

 人がなかなか「新しい推し」を見つけられないのは、そもそも「新しい作品」「新しいジャンル」に挑んでいないからではないでしょうか?

 皆さんにも経験がありませんか? 

 「これまでに読んだことのない未知のモノ」には、なんとなく食指が動かない挑む気になれない…なんてことが…。  

新しいモノには「当たり・ハズレ」があります。 

 当たりをつかめる可能性もありますが、ハズレを引いてしまうリスクも勿論もちろんあります。 

 そんなリスクのある賭けをするよりは「皆が既に評価している(=「当たり」だと言っている)ものに手を出そう」「既に当たりだと分かっている既知のジャンルを読もう」となるのは、至極当然のことと思われます。

 しかしソレ、実は結構な「カン違い」なんですよね…。  

なぜなら上にも述べたように「ランキング上位=自分ならぬ他の誰かの言う『当たり』」が自分にとっての「当たり」とは限らず、自分にとって「当たり」のジャンルさえ読書経験が積み重なれば飽きていくものだからです。

 なので、人には常に新しい「推し」を「新規開拓」していくことが必要なのですが… 

 リスクを恐れ過ぎるあまり、この「新規開拓」をおろそかにしている方、結構いらっしゃるのではないでしょうか? 

 なので自分がオススメするのは「10回に1回、新規開拓してみよう」です。

 毎度毎度リスクに挑むのでは心が疲れてしまいますが、10回に1回だったらどうでしょう? 

 10回のうち9回までは「安心感のある」ランキング上位作品や既知の推しジャンルを選び、残りの1回で「ハズレでもいいから新しいモノにチャレンジしてみよう」ということです。

 自分の場合、その「新しい推しへのチャレンジ」は、だいたい「直感」で行います。 

 あえて「他者の評価」は一切考慮しません。 

 むしろ「自分の選書眼を養う」つもりで「自分の感覚」だけを頼りに選びます。 

 「ハズレ」を引いてしまうこともあるのですが、その時には「自分の『見る目』もまだまだだ…」と反省し、次回の選書に活かします。 

 そうやって自分の「作品を見る目」を養っていくことが、長い目で見れば「最強にコスパの良い選書法」になるのではないかと思うのです。

 だって「自分にとって一番おもしろい作品」を選べるのは、結局「自分の目」でしかないじゃないですか。 

 そこで他人の「見る目」を参考にしたところで、全くアテにならず、逆に最悪にコスパの悪い結果にもなりかねないのです。 

 ちなみに「10回に1回(10分の1)」は本業が忙しくて本を読むヒマがない時の割合で、そうでない時は3~4分の1くらいの割合で新規開拓にチャレンジすることもあります。 

 その辺の「割合」はその人の状況によるかと思いますので、お好みの割合で新規開拓チャレンジしていただけたら良いのではないかと。 

■「未読作品」を勝手に判断するなんて、もったいない 

皆さん「読む前は××だと思っていた作品が、実は○○で、とんでもない神作だった」という経験、ありませんか? 

 読む前に勝手なイメージで「読まず嫌い」していた作品が、実は自分の好みにドンピシャで「もっと早く読んでおけば良かった!」と後悔することって、ありませんか? 

 人ってなぜか「まだ読んでもいない(中身を知らない)作品」に「勝手なイメージ」を持ってしまうことが多いんですよね…。 

 でも、その「読む前のイメージ」が実際に「合っていた」ことって、どれくらいあります? 

 自分は、それを「間違える」たびに反省し、自分の「本を見る目」をアップデートしてきたのですが…

 そういう風に自分の「選書眼」をきちんと磨いている方って、どれくらいいらっしゃるでしょう? 

 「未読作品」に「勝手な印象」を抱き「読まず嫌い」をするのは、ハマれるはずだった「推し」をみすみす逃す「人生の損失」です。 

 もちろん、中には「イメージ通りに内容が悪かった」ものもあるでしょうし、逆に「良いイメージを持っていたのに期待を裏切られた」作品もあることでしょう。 

 ですが「まだ読んでいない作品」は結局、実際に読まないことには内容の良し悪しも分からないのです。

 読みもしないうちに切り捨ててしまうのは「この世で出逢えるはずだった推し」との出逢いの可能性をせばめてしまうだけです。

 自分は、自分の「見る目」に常に疑問を抱くようにしています。

 無意識に「読まず嫌い」しそうになっても「いや、意外と面白いかも知れないぞ」と、可能性を切り捨てないよう気をつけています。 

 ジャンルや要素・属性についても「これは自分の苦手なものだ」と決めつけず可能性を残しておきます。 

 そして時々気まぐれに「嫌いだと思っていたジャンル」にも手を伸ばします。

 世の中には、それまで持っていた「先入観」や「固定観念」をくつがえし、新たな扉を開いてくれる斬新な作品がたくさんあります。

 通販サイトの本のレビューによくある「今までこういうジャンルは苦手だったけど、この作品は好き」「このジャンルは初めて読んだけど、おもしろかった」という読者意見の数々が、それを物語っています。 

 そんな新たな扉を、開きもせずに遠目で拒否してしまうなんて、もったいないにもほどがあるのです。

 ■「新規開拓」する読者がいないと、界隈全体が衰退する

  この頃、小説投稿サイトのランキングを見ていると、どれもジャンルが似たり寄ったり…そんな印象を受けませんか? 

  (マンガやアニメなど他コンテンツは人気上位に様々なジャンルが交ざり込んでいるにも関わらず、小説「投稿」サイトはランキング上位からどれだけ順位を下っていっても同じようなジャンルばかり続くという…。)  

これはおそらく、作品やジャンルの「新規開拓」をするユーザーが少ないことの表れなのではないでしょうか? 

 読者も作者も「安心感」のある「既に人気のジャンル」「人気の出やすい属性」にばかり流れ込み、「新しい面白さ」を追い求める人が少ないのではないでしょうか? 

 しかし、これは長期的に見て界隈全体の衰退を招きます。 

 栄枯盛衰、盛者必衰の言葉の通り、現在どんなに人気のジャンルも、いずれは飽きられ、衰退するものです。 

 そして需要に対して供給があまりに多過ぎる「供給過多」の「飽和状態」になればなるほど、衰退のスピードは速まります。 

 (実際、海外ユーザーのアニメコンテンツへの反応など見ていると、既に「『異世界モノ』や『ざまぁ』は食傷気味」という意見も出始めています。)

 どんなコンテンツにも必ず「新規開拓」――次なる新しい「おもしろさ」の追求は必要なのです。 

 ですが、今の小説投稿界隈にはこの「新規開拓力」が圧倒的に「足りていない」気がしてなりません。 

  (せめてTOP10~20内にでも「これまでに見たことがない!」という作品が入り込んでくるなら「新規開拓力のあるサイトだな」と思えるのですが…。逆に小説投稿サイトって、オリジナリティーの高いものほど順位や数値が上がらないパターンが多いんですよね…。)  

今の世の中「新しいモノ」「未知のモノ」にチャレンジする意欲や気力を失ってしまっている人が、それほど多いということなのかも知れませんが…  

現代で「閉塞感」にあえぐ人間が多いのは、一つには、そうやって「『未知』に挑まず『既に見知ったモノだけ』の世界に閉じもっているから」ということもあるのではないでしょうか? 

 「ハズレ」を引くリスクはまぬがれられないとしても…「当たり」の「新しい推し」を見つけて「世界が新たに広がる感覚」は、そのリスクを補って余りあるものなのではないでしょうか? 

 今の時代にも、未知のモノ、新しいものにチャレンジしている創作者はたくさんいます。  

そういう挑戦的な作品たちを知らずして「今はどれも似たような作品ばかり」「小説自体に飽きてしまった」と言うなんて、もったいないことです。

 「ハズレ」を引くリスクがある以上、あまり大きな声で「もっとそういう作品を読んで」「探して」と言うのもはばかられるのですが… 

 せめて10回に1回くらいは「まだ知られていない新しい面白さ」を探してみるのも良いのではないでしょうか?




いいなと思ったら応援しよう!