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感想 さやかの寿司 森沢明夫 「人生でいちばん大事なのは『いつも自由でいること』」
森沢さんの作品は常に優しい。
本書の舞台はお寿司屋さん。
そこに挙動不審な女が現れて無銭飲食。
店員の未来の冷たいあしらいに、これいつもと違うパターンかもと思ったのですが、この未来が実はめっちゃいい子だとわかり、その不安はすぐに払拭されます。
その未来が主人公の自転車デートという短編では、嫌な客が登場します。
寿司職人が女だからと文句をつけます。
女だから・・・
女のくせに・・・
女じゃ・・・
女にしては・・・・
さやかさんは、女であることで寿司職人としてのキャリアを挫折しかけた過去があります。
そんな時、寿司職人のレジェンドである祖父がこんなことを言いました。
好きにしなさい。人生で一番大切なのは、いつも自由でいることだからね
これは名言です。
最高の癒し言葉です。
人の評価なんかどうでもいい。
この客の場合は偏見です。
寿司の良し悪しではなく、女であることが気にいらないクレーマーです。
さんざん女であることで苦心させられてきた彼女です。
こんな客なんかへっちゃらです。
三話目の社長の話しが一番好きだった。
成功して一人高見にいる社長の孤独がよく伝わってきました。
下請けの元友人の社長田中におっべっかを使われ、すごい疎外感を感じ
孫とべたべたする田中に嫉妬するのですが
社長は仕事ばかりしていて若い頃に妻と離婚
子とも絶縁していたのでした。
さやかさんの寿司屋で、数十年ぶりに娘と孫に再会します。
このみんなの優しさと、この暖かい雰囲気が素晴らしい。
読後感がよく、すごく癒されます。
2024 10 18
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