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感想 いろいろ 上白石萌音 上白石萌音という女優の本当のところが透けて見える優れたエッセイでした。

タレント本というと薄っぺらい内容だとか、ゴーストが書いているとしか思えないものとか多いのですが、本上まなみさん以来、久々に読んで良かったと感じるタレント本でした。

内容が濃いいです。赤裸々に本音を書きなぐっています。
私生活や子供の時代の話し、妹との特殊なsympathyなどなど・・・。

短編小説もありましたが、まぁ、これはおまけでしょう。

視力が悪いのですが、そのエピソードを表現する箇所に光るものを感じました。

この視界は新印象派が描く点描画のようだと・・・・


この比喩はタレントの使う比喩ではなく作家の使うようなものであり、目の前にその絵が浮かぶようです。僕も子供の時から目が悪かつたので、この気持ちわかります。

田舎育ちなので虫が平気なのです。

頼まれればそっと捕まえるし、頼まれなければほおっておく・・・・


これゴキブリとかも含むようです。
普通、アイドル女優はこういうのは隠します。自分を演出するため怖くなくても怖いふりをしかわい子ぶるものです。でも、彼女はしない。ここが彼女の魅力です。


国語の授業の音読が好き。
でも目立ちたくないので、みんなに合わせてぼそぼそ読む。それが屈辱だったというのです。
上手くできるのに、わざと下手にやっていた過去は誰にでもあります。
目立つと攻撃の対象となるからです。
だから普通を装う。これはたいていの人がやっている学生時代あるあるです。
僕たちの時代から始まり、今はもっと深刻な状況だと言えます。

思春期の集団の中で好きなことを好きというのは、とても勇気が必要なことだった。


ここに上白石さんの控えめな性格が見てとれます。
彼女の本質はここにあります。
地味なのです。
女優にとっては致命的な欠陥なのですが、それを隠さず、ドラマのクランクイン前には寝れないなど赤裸々に心境を語る本音に共感を覚えました。

芝居や歌に才能はあります。でも、彼女は普通の地味な女の子です。
休日には半日惰眠を貪るような子なのです。

そんな女の子の日常が描かれている本書は読者の多くに共感を持たれると思います。
いい本です。





2024 12 14



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