見出し画像

感想 明治殺人法廷 芦辺拓 明治の空気がビシバシ伝わってくる密室殺人事件。法廷の雰囲気がリアルに描写されていた。

すごく面白かった。
時代は明治、大阪にて質屋の一家が惨殺された。
生き残ったのは少年と赤子のみ。

犯人にされてしまった少年を、東京から大阪に転職してきた新聞記者と、代言人こと今でいう弁護士のコマリさんが解決する。

本書の魅力は二つあります。
一つは密室殺人事件の謎解き。
もう一つは明治時代の法廷の雰囲気です。

筑波新十郎は東京の記者である。
官憲に不利な事実を報道する記者ということで、多数の人たちとともに政治犯として皇居より三里離れた場所への所払いとなる。
昔で言うところの江戸払いだと思う。

ようやく大阪に流れつき新聞社に就職。
ここで知り合った代言人こと弁護士のコマリさんと質屋一家殺人事件に関わってしまう。
生き残ったのは少年と赤ちゃん。
警察は証拠捏造などをし少年を犯人としてしまう。

本書の魅力である法廷闘争は、明治という時代を色濃く反映しておりすごくリアルで楽しかった。

明治の法はいいかげんです。
例えば、こんな感じです。

拷問がOKでした。
しばしば死に至らしめることもあったとか。

何しろ証拠があっても自白がないと有罪にはできないと法に定められているのだから、その使用には容赦がない。


弁護士には反対尋問の権利すらなく、判事のお情けに頼るしかない。
今の時代のように無罪を訴えると、弁護士は刑務所に入れられるという理不尽。

そんな中、騙しだまし真実を明らかにしていく様は気持ちよく
読後感は最高に良い。

とくに、少年の正体が明らかになる瞬間。
たまらんですよ。

読んで損はないと思います。

2024 9 22
+++++


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?