2020年7月読書記録 今月の読書のまとめのおすすめ本を紹介しています。
2020年7月の読書記録
読んだ本の数:22
読んだページ数:5265
今月は連休などもあり、かなりのハイペースだった。
22冊のうち12冊が新刊だった。
何と言っても芥川賞と直木賞の発表。
破局 遠野遥 は 読み応えあり。
他に、屋上で会いましょう チョン・セラン も良かった。
もう1冊をあえてあげるとしたら、グラスホッパー 伊坂幸太郎 だろう。
ーー おすすめの三冊 --
破局 遠野遥
屋上で会いましょう チョン・セラン
グラスホッパー 伊坂幸太郎
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他にも、流星シネマ、檸檬、おいしくて泣くとき、しゃべれどもしゃべれども
など当たりが多かった月であった。
以下、簡単な感想
会話は、とぎれていい ―愛される48のヒントの感想
全体から加藤さんの人柄を感じます。優しくて人に心使いができるいい人ですね。50弱の項目でエッセイ形式で「愛される」ための方法を示しています。こっちが好きなら、向こうも好きになってくれるというのは、ありがちだけど有効な考え方だと思います。どんな意見も否定せず、興味をもって聞く。これもやり方としては正しいと思われます。細かい気配りと、相手の立場に立った会話など、とても気を使っていらっしゃるのがわかります。ただ、内容は薄いです。
読了日:07月02日 著者:加藤綾子
まんがで身につく幸福論~仕事と人生を豊かにするアランの言葉 (Business ComicSeries)の感想
アランの「幸福論」は、とても好きな本である。本書は、その「幸福論」を漫画にしてわかりやすく解説したもので、アランの基礎的な考え方を概観しようとしている。とはいうものの、やはり原書のあの言葉のシャワーに比べると、やはり劣る。漫画で読むことで、振り返りができたのは嬉しいが、まぁ、こんなものかと思ってしまった。
読了日:07月04日 著者:小川仁志
檸檬 (新潮文庫)の感想
友達から梶井基次郎の「檸檬」はどこに捨てて来たのだったという質問があり、ジュンク堂か丸善かわからなかったので再読して見た。正解は丸善だった。この作品で梶井は檸檬を爆弾に例えて、丸善の理路整然とした牛久市伊本棚を美術館に見立てている。実際に爆弾を美術館に置いて行き爆発してフェルメールとかの絵がバクはしたら、とんでもないことになるのだが、場所は本屋で置いていくのは「檸檬」だから、よしとしよう。この文章の中には、破壊衝動を喜ぶ人間のバカみたいなところと、爆弾の代わりに「檸檬」で代用するというこ狡さが示されていた
読了日:07月04日 著者:梶井 基次郎
[グラフィック版]アンネの日記の感想
子供の頃読んだが、わがままな女の子だという印象しかなかった。このグラフィック版は、とても陽気で、恋をしたり、男女差別を考えたり、大人たちのダメさとか、社会の矛盾と蚊14歳の少女なりに色々と考えていたことがわかる。今の14歳よりもよっほど思考が濃密であり、きちんとしていると思う。このように隠れて暮らさなきゃならなかった現実は知るべき歴史の事実であり、ナチスのやっていたことに反発を強く感じる。絵が多く、それでいて内容を変えてないところがいい。人物像がはっきりしてきて、とても読みやすかった。とても良い本だと思う
読了日:07月04日 著者:アンネ・フランク
世界から猫が消えたなら (小学館文庫)の感想
発想がおもしろい。自分の生命1日と引き換えに、世界から何かを失くす。電話。映画、時計、猫、自分。両親や元恋人との関係性をからめたことでストーリーに重みが出たと思う。猫がしゃべるのも楽しい、時代劇風って、面白すぎる。消えたものたちは、人間を幸せにするものたちだ。それは他人の幸せを間接的に奪うことでもある。まさしく悪魔の所業。本人は、そのことにようやく、猫の場面で気づく。私なら電話の場面で気づいたろうな。
読了日:07月05日 著者:川村 元気
流星シネマの感想
不思議系?というジャンルになるのかな。昔、鯨が川を上って来たという町。そこでタウン誌を出している男の優しい目線で、街の人たちをスケッチしているような印象だった。とくに、物語の中盤辺りまでの雰囲気は好みでずっと続いてくれたらいいのにと思っていたが、やはり、後半に伏線を回収にかかり、物語に結論めいたものを出してきた。最後まで不思議系を通してくれても良かったのですが、鯨がやはりバラバラの何かを主人公に編集されて1つにまとまっていく。過去に生きていた人を未来志向にするという隠れ命題もいい。
読了日:07月07日 著者:吉田篤弘
自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室の感想
色んなことを考えている人がいることに驚いた。有名な話しから、あまり有名な話しでないところまで、浅く広く網羅した内容は読み応えあり。正義の議論のところとか、カントの話しに共感したり、ロールズについては説明が雑だなとか思ったり、ソクラテスとか古代のギリシャ哲学から、AIまで幅広く内容は多岐にわたっていて、とても楽しめました。哲学と言っても触りのところだけだから、理系の人でも理解できる議論だった気がします。
読了日:07月10日 著者:アン・ルーニー
しゃべれども しゃべれども (新潮文庫)の感想
落語を習うことになった4人の目的は・・・。落語を好きでやるのではない。個々人に問題がある。コミュ障であったり、どもりがあったり、人間不信があったりする。そんな彼らが落語と接すること、落語家の三つ葉と接することで変化していく様が本書の魅力だ。これは成長の物語である。キャラがとにかく良くて、落語の世界も楽しくて、私の好みだった。ラストを恋愛で〆るのはちょっとまずかったかもしれない。湯河原がいいね。彼の存在が物語の1本の筋を通したのかもしれない。
読了日:07月11日 著者:佐藤 多佳子
心を支えるシェイクスピアの言葉の感想
シェークスピアの名言を解説付きで紹介したもの。 「恋とは何?。それは今しかない。 今の喜びに今の笑いあり。 将来のことはわからない」 などの有名なものから・・・ 「神は、我々を人間にするために、何らかの欠点を与える。」 なるほど・・・という名文まで、たくさんあって楽しい。 私が好きなのは。 「人の悪事は、人が死んだあとも生き、 善行は骨とともに埋められてしまう」 ジュリアス・シーザーより 名文家、シェークスピアの世界が垣間見える良い本でした。
読了日:07月15日 著者:河合 祥一郎
言葉の守り人(新しいマヤの文学)の感想
#言葉の守り人 ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ マヤ文明の臭いがするファンタジーでした。 祖父と孫の対話と冒険の物語。 教訓的な内容です。読みやすいが内容はそこそこ難解。 世界観が独特なので楽しめました。 いい本です。
読了日:07月15日 著者:ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ
破局の感想
芥川賞受賞作。 これには驚いた。でも、わかる気がする。 性の臭いがプンプンする純文学だ。 まるで収穫したての青梅のようで、齧り付きたいが、齧り付くと即死 という青酸カリに似た毒性を含んでいる 性欲の強い元ラガーマンの大学生の彼は、ストイックな真面目な男で自意識過剰気味 性欲が強く、いつも自慰行為ばかりしている。 恋人は、政治活動に夢中でやらしてくれない。 そんな時に、やぼったい。やらせてくれそうな女と出会い、そういう関係になる・・・。 この女との破局から来るってくる話し・・・。
読了日:07月16日 著者:遠野遥
局アナ 安住紳一郎の感想
ちょっと・・・性格が曲がってて、そこがおもしろい。基本、ノリが軽く文章も軽く。ここから何かを学ぶという内容ではないが、安住さんの目を通したアナウンサーの世界は新鮮で、生半可なことではやれないのだというのがわかる。とにかく、愉快だった。いい気分になれたのでOKとしよう。
読了日:07月19日 著者:安住紳一郎
マンガでわかる! 今日からドヤれる科学リテラシー講座: 教えて! 夜子先生の感想
知らない間に勘違いして損をしていた自分に驚いた。化学リテラシーを少し知っていれば、こんなことはなくなる。無添加食品とか、とてもいいものと思っていた。でも、あれが「自称}だったなんて、何の意味もなかったなんてひどすぎだ。高級栄養ドリンクも疲れた時に多用しているが、理屈を知って驚いた。詐欺のようなものだ。電気刺激でマッスル強化。これもやってる。意味ないのかよ。アーーー、私はあほでした。化学リテラシー最強です。世界は欺瞞に満ちていた。
読了日:07月20日 著者:くられ
小学生と親が楽しむ初めてのプログラミング ―たった5時間でできます!の感想
2020年の4月から「プログラミング教育必修化」となります。どうしても難しいというイメージ先入観があるのですが、本書を読めば解決してくれると思います。とにかく易しい。ここまで砕けて教えてもいいのかという限界に挑戦という感じでした。それでいて基礎の部分はきちんと学べますので、とても良い本だと思います。少し後半の最後のあたりは小学生や、その親には難しいかもというところもありましたが、こんなのは慣れですからいいと思います。良い復習になりました。
読了日:07月20日 著者:米村 貴裕
おいしくて泣くときの感想
子供食堂をやっている親子と、そこに通う女の子の話し。二人で逃避行したのには驚いた。「偽善者の息子」。あれはきついよなと思う。食堂をして、子供に無料で食わせるのが「偽善者」なのか。そもそも「偽善」とは何かを考えさせられた。それは偽善ではない。「親切」だ。そこで食事をとる少年に「貧乏人」と蔑むのも、いかにも日本的な発想だ。こういう誰かが得をしていることに対する嫉妬みたいにもの、差別みたいなものは辞めるのがいいと思う。恋愛小説としても、社会小説としても、よくできていた。面白かった。
読了日:07月22日 著者:森沢 明夫
強運の神様は朝が好き (祥伝社黄金文庫)の感想
夢をかなえるゾウと、雰囲気がとても似ていた。たくさんの神様が現れて、海野に教訓を与える話し。朝早く起きるという習慣から始まり、最後は人生を諦めないでしめくくる。絶望さえしなければ、人間は何度でも立ち上がれるのです。 とくに、面白かったのはリーダー論の話しです。部下をしかるのにもコツがある。感情のままできないことを責めても意味はない。どうしたら克服できるのかをともに発見する形で話しをするところはなるほどと思った。
読了日:07月23日 著者:早川勝
頭がいい人の脳の使い方の感想
脳の話しなのですが心理学の話しと似ていて、ポジティブ思考。本書では、陽転思考を取り入れること。陽転思考とは、物事を太陽のように明るく転じてとらえる思考方法。大切なのは「感謝」ですということでした。脳のパフォーマンスを上げる具体的な方法が示されていました。ほぼ、心理学でとられている方法論です。ということは信頼できる、よく使われている方法ということだと思う。知っている方法や取り組みもかなりあった。集中力を上げる方法。不安などの感情の制御の方法など具体的な方法がたくさん。役に立つと思います。
読了日:07月23日 著者:小田 全宏
バケモンの涙の感想
昔、田舎の祭の屋台とかで見たことのある「ポン菓子」の機械を食料事情の悪い戦争中に作ろうとしたある女性の物語。実話?。・・・なのだそうだ。戦争の話しを別の角度から見た話しです。前半はストーリー展開も魅力的で作者の優しい文章に引き込まれたが、後半、北九州に入ってからはだれてきた。それでも、修造さんの死のあたりから最後にかけては盛り上がってきた。珍しいモチーフなので楽しめる。こういう機械をつくるのも戦争中は大変だ。
読了日:07月24日 著者:歌川 たいじ
空白の日本史 (扶桑社新書)の感想
「やばい日本史」の本郷先生の本です。つまり、歴史には空白がある。そういう話しだとか、学校とかで信じられていること以外の歴史の見方や事実があるという話しでした。おもしろかつたのは天皇が皇位継承の儀式に使用する三種の神器の議論。剣は源平の合戦の時に紛失しているのに今もあるのは何故。南北朝時代には最大で3セットの神器が存在し、今もいくつか存在している。伊勢神宮にある鏡が重要視されているが、それは国策として天皇と神道(神話)を結び付け、日本は古い伝統のある国であるというアピールだった。戦前の皇国史観に結びついた。
読了日:07月25日 著者:本郷 和人
グラスホッパー (角川文庫)の感想
伊坂幸太郎さんの作品は、意図的に枠にはまらないようにしているようにも思える。本作は、とくに、そういう印象が強い。妻を殺されて麻薬の売人の下部組織に侵入した鈴木の目の前で、その仇が殺されてしまう。もう、最初から、これですからね。その犯人の男を追いかけてという話しかと思いきや、自殺をさせる鯨と言う暗殺者や、女子供を殺すのが大好きな暗殺者の蝉が出てきて、3つの話しが同時進行し、いつものように伏線回収し1つの話しになるんだけど、まったく先が読めなくてハラハラドキドキの連続。最後まで目が離せなかった。おもしろい。
読了日:07月26日 著者:伊坂 幸太郎
大江戸火龍改の感想
陰陽師シリーズで人気のある作者の新シリーズ。やっていることは同じです。妖怪退治。今回は長編は「犬神」でした。殺人事件を解決するミステリー的な側面と、妖怪退治的な二面性のあるエンタメ小説。主人公の白髪の術師を中心に、剣豪に小役人に、飴売りとキャラが濃いい。一人の超人的な呪術で解決するというものではなくチーム力でやるところがいい。話しはとても面白くエンタメとして楽しめた。陰陽師が好きなら楽しめると思います。
読了日:07月30日 著者:夢枕獏
屋上で会いましょう (チョン・セランの本 2)の感想
韓国女流文学は、もはや1つのブランドとして全世界に鳴り響いていると言っても過言ではない。その背景にあるのは韓国社会の不平等性だ。この社会問題を文学で表現している所に魅力がある。本書のベースもそこにあると思う。44人のウェディングケーキを着た人たちの本音のつぶやきやら、吸血鬼になった女性と大好きだつた男性の関係性とか、離婚をしたので離婚セールしますという女性の心情とか。表題作のSFっぽい話し。あれこそ韓国人女性の暗闇を表現しているのではなかろうか。大食と小食の国の嫁いでいった女性の境遇しかりである。
読了日:07月31日 著者:チョン・セラン