感想 サピエンス全史上 ユヴァル・ノア・ハラリ 人類史を新しい切り口で論じた歴史書、なかなかに興味深い内容でした。
世界史や人類史についてかかれた本は無数にあるが、本書はこれまでとは違う切り口で語られているところが面白い。印象に残った部分だけ少し紹介してみたい。
我々、人類、ホモサピエンス以外にも人類はたくさんいた。ネアンデルタール人などである。しかし、たくさんいた人類の中で生き残ったのはホモサピエンスだけです。同化、つまり、婚姻によって吸収したという説もあるが、虐殺したという説も有力です。
さらに、著者は言う。アメリカ大陸やオーストラリア大陸で多数の動物が人類が辿り着いたことにより絶滅していると。
と人類のことを言っています。
とも言っています。それは現在進行系です。
初期の人類の話しで気になったのは、骨髄を食べていたことです。
つまり、肉とかは大型のライバルが食べ、残った残飯である骨髄を人類は食べていたのです。
さらに、もう一つ。火の発明。これは調理をすることにより、消化が良くなり腸が短くて良くなった。つまり進化した。=脳の巨大化。
もちろん、それだけで人類が 生態系の大量殺人犯 になれるほど強くなれたとは思えません。
そこに何かがあった。
仮説として本書で挙げられているのは 認知革命。
現実には存在しない虚構(フィクション)を信じ、語ることのできる能力を得たことで集団化が可能になった。前半のポイントはまさしくそこだと感じました。
この力の獲得により、人類は集団化が可能になった。ネアンデルタール人の集団は少数なのに対して、人類は大きな集団を形成できたとのことでした。
猿から直線的に進化して人間になったというのは幻想です。実際は、様々な人類がいた中で、私達ホモサピエンスだけが生き残ったのでした。
認知革命がが発展し・・・。
神話とか・・・により。さらに集団が大きくなっていった。
貨幣の発明とか・・・。
目に見えない何かを信じる力。虚構を信じる力。貨幣などは、その典型例です。
貨幣は信用から成り立っていて、あれは虚構です。でも、共同主観的な存在でもある。みんなで信じる。だから、それは通用する。価値がある。
それが認知革命です。
農業革命についての僕たちの知識は、本書の内容と相反する所がある。
狩猟生活を辞めて農業を始めたことで、人は豊かになり集団を形成したと教科書にはあると思うが、それはいいことずくめだったのだろうか?。
作者は否と言っている。
むしろ、人は小麦の奴隷になった。
狩猟生活の時のほうが人類は行動範囲も広く、知恵も発達した。いろんな知識がないと狩猟はできない。
農業は、狩猟に比べると頭を使わない。狩猟時代のほうが沢山の種類の栄養を摂取していた。
農業は河の氾濫や飢饉というリスクも内在している。
しかし、一旦、楽をすると元には戻れなくなる。人類は農耕生活をするしかなくなった。
農耕による富の蓄積が、より大規模な「虚構」のネットワークを生み出した。
国が生まれる。
次に、階級の問題だ。
このようにして階級が生じた。
歴史には方向性があると著者は言っている。
世界は統一に向かっているのだそうだ。
そこで、貨幣の問題が出てくる。
虚構の延長線上に、この貨幣はあり、貨幣は種族を超えてみんなに信頼されるものである。
貨幣により人はさらに統一される。
そして、帝国が出てくる。
外の集団を自らの内に取り込もうとする「帝国」は、過去2500年間、世界でもっとも一般的な政治組織だった
帝国主義や差別を若干、肯定するように述べている点は気になったが、それが歴史の必然として存在したのは事実であるのだから、そうなのだろう。
2022 10 8
* * * * *