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感想 龍の耳を君に: デフ・ヴォイス 丸山 正樹 デフ・ヴォイスの続編。前作に比べると落ちるが短編の最後の作品は読む価値あり、少年が聾者でなく自閉症気味で表現の手段として荒井に手話を・・・というのがいい。
『デフ・ヴォイス』の続編です。
コーダの荒井が聾者に救いの手を差し伸べる短編集。
コーダとは、家族がすべて聾者であり、彼だけが普通という状態。
だから、彼は必然的に家族の通訳となってしまっている。
メッセージ性の強いデフ・ヴォイスと比べると少しトーンダウンするのだが、最後の作品はかなり面白かった。
自閉症気味の少年に荒井が手話を教える。少年と荒井を繋ぐ連結器のような役に同棲相手の恋人の婦人警官の娘が配置されていて、荒井とこの娘との関係性の描き方がとても好感が持てます。
殺人事件の容疑者にされる少年の母、目撃者は少年。
ここからの後半の謎解きは秀逸でした。
本書の面白さは少年が聾者ではなく、コミュニケーション手段として手話を学んでいたという点でした。
自閉症と手話の組み合わせの面白さがあります。
殺人事件の謎解きは、キレがあり、そこそこ楽しい。ただし、ミステリー作品というだけなら、もっと面白い話しはあります。あくまでコーダの話し。手話通訳者という主人公の設定や立ち位置からくる推理というのが楽しいのです。
他の短編二作品もそこそこでした。
まさかの聾者が犯人。
オレオレ詐欺みたいな軍団を作り同じ聾者を騙すという手口には腹がたつ。
被害者があまり加害者に悪感情を抱いていないというのもポイントです。
それはオレオレ詐欺被害者のお年寄りにも共通します。
続編が出ているみたいなので、それも読みたいと思います。
2024 12 15