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感想 伝説のエンドーくん まはら三桃 市立緑山中学には伝説の人エンドーくんという人がいた。校内に落書きがたくさん書かれていた。それに影響を受けた教師たちの物語。
市立緑山中学には語り継がれる伝説の人エンドーくんという人がいた。
校内には、彼についての落書きが多々書かれている。
遠藤君はXXだ・・・という感じだ。
何人かの教師が、この落書きに触れて生き方を変化させていく熱い物語です。
物語はある「落書き」を軸に展開していきます。
古いものなら全共闘時代から、つい最近になって書かれたものまで、落書きは学校のいたるところに残されています。不思議なことに、それを誰も消そうとはしません。
短編になっていて、その物語の主人公は教師たちです。
エンドーくんは、体育祭の星
エンドーくんの愛はふめつ
エンドーくんはお金よりつよし
エンドーくんは変化をおそれない
エンドーくんは、魔王にかつ
最後に、そのエンドー君の正体がわかりほっこりします。
娘との愛にしがみつく吉田先生に、先輩の先生がこんなことを言います。
それ本当に愛でしょうか?。われわれが愛だと思っているのは、あんがい他のものかもしれません。支配とか期待とか、単なる自己満足の親切とか・・・、
吉田先生の感情はご都合主義です。愛なんかないと言いつつ、娘からは愛されていると思いたいが、娘は父親を敬遠しています。色んなことを考えさせられる話しでした。
もう一つ、印象に残った言葉を最後に紹介します。
「美術も演劇も、真に人の心を動かすものは、みんな向こうから来るんだ」
心が狭くなっていると、目の前のことだけしかわからなくなってしまいます。美術や芸術に触れると何かが沸き上がってくる。人の心を動かす何かはたいていは外からやってくるという話しです。
2024 6 17
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