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【ホラー小説】わたしと一緒にくらしましょうを読んでの感想。
*この感想は物語を読んだ人向けに書いているので、あらすじ等も記載していません。
ただ初見読みで感じたことをつらつら書いています。
・購入のきっかけ・
この本を手に取った理由は、なんといっても表紙のイラストでした。
「怖いもの見たさ」で本屋を何周もしてどうしても引き込まれてしまい、思わず購入。
読了後はこの表紙に「引き込まれた理由」がよーく理解できる作品でした。
ひとこと感想「地縛霊の恐ろしさを存分に感じれる作品」
・感想・
序盤では、綾子さんが実は女装した元旦那だったんじゃないか?という妙な推理で勝手に気持ち悪がり恐怖してた。
だってあんなに家事、育児、介護してくれるのヤバいやつじゃん。霊の恐ろしさより人間の恐ろしさがメインになる作品も多いので。
まぁ、的外れにも程がある推理でしたが。笑
この作品で一番私が印象に残っているのが
「音の描写」
特に足音。迫りくる恐怖が文字を読んでいて、見えるはずのないものに目を背けたくなる感覚。
これには背筋がゾッとしました。
視覚には文字しか見えていないのに、想像で物体が徐々に見えてくる感じがとても新鮮でいい体験でした。
作中の人物で、二階堂の明るさや、目が見えない霊媒師シロさん、そして巨漢の黒木というトリオ。
このキャラクターたちが緩急のあるストーリー展開をラストで締めてくるのもよかった。
特に印象的だったのは、前任の霊媒師が地縛霊を封じ込めようとした結果が裏目に出てしまい
「だったら上に引っ張って千切って行こう!」というアイディアが出てきたところ。
これが非常におもしろくて、形としてわかりやすい除霊の手法で思わず笑ってしまいました。
私が見てきたホラー作品では、霊の強大さの表現に、霊媒師がその場に行くだけで怯えたり、亡くなってしまうシーンがありましたが、この作品はそれをよりイメージしやすい形としてユーモラスに見せてくれたので、怖さの中にも面白さがあり楽しめた。
また、魂だけを奪われた桃花ちゃんを救出するシーンも見所の一つ。
美苗さんが母親として桃花ちゃんを取り戻そうと年月かけ奮闘する姿には、深い母性愛を感じて胸が熱くなりました。
二階堂に憑依させ、黒木が連れ出す。
シンプルだけれど一歩間違えれば内藤家と同じ未来をたどることになる不安感はそこまで感じなかったのが、いいのとローアングルから綾子さんを徐々に想像させていく表現がとても恐ろしい。
最後には桃花ちゃんは無事戻るけれど、
元旦那にまた狙われないか、綾子さんの存在がいつまでも続く怖さが余韻として残るのも恐ろしい。
あと、鬼頭さんという霊媒師キャラも個性的で、某有名アニメの鬼キャラを演じた声優さんを彷彿とさせる名前とゲームセンターの景品のぬいぐるみが、もう竹を咥えたあの子で脳内再生されてました。笑
彼女の言葉は読んでいて正直読みにくい。
終盤に筆談になるなら初めからその方が・・・とも思いましたが性格をより読者に伝えるためには
あの表現でよかったな。
物語で家族が徐々におかしくなっていく様子が、地縛霊の恐ろしさを一層引き立てていて
わずか1ページで3人が亡くなるシーンのスピード感には、圧倒されつつ読みながら二度見しました。笑
物語は完全な解決を迎えるわけではなく、不気味な余韻を残したまま終わるのも好き。
この小説は、ホラー好きにはたまらない要素が詰まっていて、怖いだけでなく興味深い描写やキャラクターたちの絡みが楽しめる作品でした。