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『三宅雪嶺人生訓』一二

https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/933730/1/20

〇力行
 自ら是認し、自ら必要と信ずる所は、自ら満足するまで努力する、之を力行と称す。

『日本及日本人』、『三宅雪嶺人生訓』五頁

【現代語訳】
〇力行(努力して行うこと)
 自分がよいと認め、自分が必要と信じていることは、自分が満足するまで努力をする。これを力行と呼ぶ。

【補説】
「力行」の出典については、「『三宅雪嶺人生訓』八」を参照。
https://note.com/mute_arnica1642/n/n85b9e5fe45fd

「力行」については、次の韓愈の文が念頭にあるかもしれない。
「士の特立独行、義に敵(かな)うのみにして、人の是非を顧みざるは、皆豪傑の士、道を信ずること篤くして、自ら知ること明らかなる者なり。一家これを非とするに、力行して惑わざる者は寡し。一国一州これを非とするに、力行して惑わざる者に至っては、蓋し天下に一人のみ。若し世を挙げてこれを非とするに、力行して惑わざる者に至っては、則ち千百年にして乃ち一人なるのみ」(我が道を貫き、義に適うことのみ考えて他人の評価などを顧みない人は、皆才知に優れた立派な人物で、道理を深く信じて自身をよく知っている人である。家中の人から非難されても、力を尽して信じた道を迷わない人は少ない。国中の人が非難しても力を尽して信じた道を迷わない者は、おそらく天下にただ一人であろう。もし世の中全ての人が非としても、力を尽して迷わない者となると、百年、千年待ってようやく一人出るだけであろう。)(韓愈「伯夷頌」)

自分の信じた道を貫くことは、いばらの道である。
世の成功者はみな成功に至る過程で、この「伯夷頌」にあるような他者からの非難をほぼ例外なく受けている。
逆に言えば、周囲の激烈な批難に耐え忍び、最後まで己れの信念を貫くことができれば、成功が約束されていると言えよう。
ただ、言うは易く行うは難し、である。

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