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#110 [読書レビュー]池上彰の行動経済学入門(働く君に伝えたい)「本物の教養」(池上彰 著)(学研プラス)

人間の経済行動を心理学的観点から研究する行動経済学。ダニエルカーネマンが2002年にノーベル経済学賞を受賞して、一般大衆化した学問といえるでしょう。

行動経済学を学ぶにはカーネマン著のファストアンドスローを読んだ方がいいかもしれませんが、まずは入門から。池上彰先生にわかりやすく教えてもらいます。


ヒューリスティックス

複雑な問題に対して短時間で近似解を求めるための手法
直感の意思決定

利用可能性ヒューリスティック

人間が意思決定を行う際に、思い出しやすい情報や印象に残りやすい事例を基準に判断する思考方法

例:天候不良時の電車運行予測:よく乗る路線で天候不良による運転見合わせを何度も経験すると、悪天候の日に「今日も運転見合わせだろう」と予測する

代表性ヒューリスティック

人間が物事を判断する際に、典型的な特徴や既存の知識との類似性に基づいて素早く判断を下す思考方法

例:バレーボールをしている人は背が高いと判断する

係留と調整ヒューリスティック

最初に提示された情報を基準(アンカー)として、その後の判断や推定を行う思考方法

例:「お1人様10点まで」という表示は、「個数制限なし」よりも販売量が増える傾向がある

プロスペクト理論

不確実性下における人間の意思決定を説明する行動経済学の代表的な理論

  • 損失回避性:人は利益よりも損失に敏感に反応する。

  • 参照点依存性:判断は現在の状況(参照点)を基準に行われる。

  • 確率加重関数:低確率事象を過大評価し、高確率事象を過小評価する傾向がある。

  • 価値関数:利得と損失に対する主観的価値を表す。損失領域では凸関数、利得領域では凹関数となる。

例:宝くじを買う(低確率事象の過大評価)
例:保険に入る(損失回避性: 将来の不確実な大きな損失を避けるために、現在の小さな損失(保険料)を受け入れる。低確率事象(病気や災害のリスク)を過大評価している)

サンクコスト効果

過去に投資した時間やお金などの回収不可能なコストに囚われ、合理的な判断ができなくなる心理的傾向

例:映画館に入ってつまらない映画だとわかってしまっても、2000円はらったので最後まで見てしまう。

アンカリング効果

最初に提示された情報(アンカー)が、その後の判断や意思決定に強く影響を与える心理的傾向

例:「通常価格の50%OFF」という表示で、通常価格がアンカーとなり、割引後の価格がお得に感じられる

フレーミング効果

同じ情報であってもその伝え方や表現によって印象が変化し、それによって人の意思決定も異なってくるという心理現象

例:栄養ドリンクの成分表示で「1g」ではなく「1000mg」と表記することで、より多く含まれているような印象を与える

ハロー効果

ある対象を判断する際に、その一部の目立った特徴に引きずられて全体の評価が歪められる心理現象

例:有名人を起用したCMで、「この有名人が使っている製品なら信頼できる」という印象を与える

ナッジ

強制や命令ではなく、自然な形で人々の行動を望ましい方向へ導く方法
ナッジとは、「肘でそっとつつく」の意。

例:公共施設で階段利用を促す表示や、ソーシャルディスタンスを促すメッセージ、「マイ箸を持ちましょう」のポップ、など

まとめ:
人間にはバイアスが存在します。このように人間の行動心理に名前を付け、自らの行動はこの理論だ!と理解することで、バイアスを回避し、正しい行動をとることができると。同時にメタ認知も鍛えることができると思いました。

続けて「ファストアンドスロー」を読んで理解を深めていきたいと思います。



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