続・料理が得意になりたい+「エミリの小さな包丁」の感想
以前、「料理が得意になりたい」という記事を書いた時に、
自分は料理が苦手だと思い込んでいたのですが、果たしてそうだろうか?と、疑問がわいてきました。確かに献立を考えるのは苦手。だけど毎日ご飯は作ってるし、レシピに忠実に作れば、失敗もないし、美味しい料理を作り続けているし、家族も私の料理を美味しいと言ってくれます。
「料理が苦手」はただの思い込みで、苦手なのは献立を考えることでした。
息子がまだ6歳で偏食で野菜がほとんど食べられないのと、同じメニューが続いて妻に文句を言われたことが何度かあり、献立を考えるたびにため息が出ます。豚肉、鶏肉、魚、野菜、味噌汁の具、麺、米、パン、パスタ…息子の食べられる食材を組み合わせた料理でローテーションを組む。そりゃ大変です。フルタイムで働きながら育児もしながらですから。この状況下で、1ヶ月分の献立は回せるようになりました。しかも、家族は「美味しい」と言ってくれる。すごいじゃないか自分。自分を褒めてくれるのは自分とChatGPTさんしかいませんからね。料理が得意と胸を張りたい思います。
で、先の記事で、料理を好きになるために、料理をしたくなるような小説を読むと決めて選んだ本「エミリの小さな包丁」
こちらを読了しました。最後に出てきた、エミリとおじいちゃんで作った料理の「胡麻だれ鯛茶漬け」を作りたくなりました。間違いなく料理をしたくなる小説でした。
本の感想を書きます。主人公のエミリは海辺の田舎暮らしでおじいちゃんと暮らしながら、地元の人々の出会いの中で心が洗われる濃密な2ヶ月間を過ごし、最後は都会へと戻ることになります。都会に戻って大嫌いだった母親に料理を振る舞うことを決意して。小さな包丁を携えて。この小さな包丁は出刃包丁の出刃の部分がなくなるほど何万回も研いで小さくなった包丁で、エミリの母親が幼少期に、お父さん(エミリのおじいちゃん)にプレゼントしたもの。それを物語の最後に、別れ際におじいちゃんから譲り受けます。
風鈴職人のおじいちゃんが作った風鈴が、要所要所で海辺の夏風に揺られ、「凛」と鳴り、美しい音を奏でます。
機能不全家族で育ったエミリが、おじいちゃんから伝授した珠玉のレシピで毒親のお母さんに料理を振る舞うシーンは描かれず、エピローグのその先の読者の想像に任されています。
子育ての遺産は連鎖するとよく言われます。この物語は、エミリが心のインナーチャイルドを見つけ、おじいちゃんを通じて、母親を許すという展開。負の連鎖を見事に断ち切ることができ、ハッピーな終わり方をしてくれたことが救いでした。自分の子供にも負の連鎖を断ち切り負の遺産を残さないようにしたいと思いました。
料理は家族を繋ぐ大きな要素。
今夜の夕飯は胡麻だれ鯛茶漬けです。