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#124 「〇〇が9割」という本がなぜ売れるのか
2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンの原著です。行動経済学を学ぶのは社会人必須だと思います。高校の授業カリキュラムに入れてもいいくらいだと僕は思います。
行動経済学を学ぶにあたって、池上先生の本で入門を学びました。それから、ダニエル・カーネマンの原著で幅広く知識を身に着けようと、ファストアンドスローを読みました。
「〇〇が9割」という本が売れる理由を考察
ところで、「〇〇が9割」というタイトルの本、とても多いと思います。「人は見た目が9割」「話し方が9割」など、ベストセラーになっている本も数々。その後、9割本が乱立しましたが、中身が伴っていないものもたくさんあるような気がします。この現象を行動経済学的な観点で考察してみます。
1. 代表性ヒューリスティクス
「9割」という表現は、読者に「この本にはシンプルな法則がある」と錯覚させる。行動経済学では、人間は複雑な情報をシンプルなルールに当てはめて考えたがる傾向がある(代表性ヒューリスティクス)。
「9割が成功の鍵」という直感的に理解しやすいメッセージは、読者にとってわかりやすく、購入のハードルを下げる。
2.確証バイアス
『人は見た目が9割』というタイトルを見たとき、人は無意識に「たしかに見た目は大事だよな」と、自分の過去の経験と照らし合わせて考える。
人間は、自分がすでに持っている考えを裏付ける情報に惹かれる傾向がある(確証バイアス)。
「9割」という数字が断定的であるため、「これは正しい情報だ」と思いやすくなり、購入につながる。
3.フレーミング効果
「9割」という表現は、物事をポジティブに見せるフレーミング(枠組み)の一例。例えば、『人は見た目が9割』では「見た目を良くすれば成功する」とポジティブに捉えやすくなるけど、「人は中身より見た目が重要」と書かれていたら、ネガティブに感じて売れにくくなる。
このように、「9割が成功要因」という形で情報を提示することで、読者の関心を引きやすくなる。
4.社会的証明
「◯◯が9割」シリーズがヒットすると、人は「多くの人が買っているなら、良い本なのでは?」と考える。行動経済学では、他者の行動を参考にすることを「社会的証明」と呼びます。
特に、書店のベストセラーコーナーに「9割本」が並んでいると、「人気がある=価値がある」と感じやすくなる。
世の中何でもそうですが、ヒットを打つ法則があるとするならば、闇雲に考えるだけでは足りず、行動経済学の観点からアプローチするのが大事。ただ、消費者にもバイアスが働くので、同じく消費者も行動経済学の観点から見る目を養うことも大事だと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。