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いよいよデンマークのフォルケへ。自分にとって心地よい生き方ってなんだろう、と考える

北海道東川町のフォルケホイスコーレ”Compath”に行ってからちょうど1年後、わたしは会社を辞め、実際にデンマークのフォルケホイスコーレに行くことになるのです。

「たった1ヶ月のためにわざわざ会社を辞めなくても」

何人かにそう言われたし、わたしもそう思わないわけではなかったけれど、日本に帰ってきた今、それ以上の価値や気づきのある日々だったと思えているし、これからの人生において大切なことを見つけた気がしたので、こちらも忘れないうちに書き綴ろうと思います。

まず、わたしが行った学校は”Højskolen for Bevidsthedsudvikling”という学校で、1ヶ月滞在した今も正式な読み方はわかりません…

学校の目の前に広がる海に癒される

Webページはちょっと怪しげだけれど、とにかく学校の周りの環境が素晴らしすぎて! 授業後に海に入ったり、サウナに入ったり、みんなで夕陽を眺めたりと会社員をしていたら絶対にできなかったゆるーい時間がそこにあって、自分を取り戻すには最高の時間と空間がそこにはあったのです。


新しいことをやらないでいると、だんだん挑戦することが怖くなる

とはいえ、出発前はギリギリまで働いていて英語を勉強する時間なんて当然なく、久しぶりの国際線にも緊張しつつ、とにかくパスポートとスマホだけあれば行けるはず…!という気持ちで、出発の飛行機に乗り込んだのでした。実際のところコロナの状況もよくわからなかったけれど、久々に乗った国際線はほぼ満席で、想像以上に簡単に出国できたし、デンマークにもあっさり入国できてしまって拍子抜け。

人間って誰でも、新しいことをやらないでいると、だんだん挑戦することが怖くなる気がします。けれど一歩踏み出してしまえばそこには想像以上の自由があって。

「やっぱりこうやって自分のいる場所から離れて、知らない世界を見に行くのって好きだった」
「なんだかこれから楽しいことがいっぱい起こる気がする」

わたし自身、出国手続きを終えてゲートに向かう瞬間からワクワクが目を覚ましてきて、乗り継ぎのバンコクではもう怖さはどこかにいってしまって、不思議なくらい軽い気持ちで出発することができたのでした。

行ってみないとわからないし、飛び込んではじめてわかることがある

そもそも海外ってイレギュラーが起きるもの。行ってみないと見えないことや、飛び込んではじめて分かることってけっこうある気がします。

到着後、ゲートの外に出た瞬間、ほとんど誰もマスクなんてしていなくて。こういう世界を望んでいた一方で、マスク外すのをちょっとためらう自分にびっくりしたり。むしろ、帰ってから日本の生活のほうが違和感を感じてしまうのではないだろうか…とさえ思ったのでした。

他にも色々気づいたことはあって、いくつかメモしたものをこちらにも。

  • とにかく物価が高い。円安だけどそもそも高い
    コーヒーを1杯飲むのに1000円弱、ランチは軽くても2000円はする。けれど、店員も多いので価格の分ちゃんとサービスが充実しているような気もする。もしかしたら、日本が安すぎてちょっとバランスを見失ってるのかもなぁとか思ったのでした。高級志向というわけではなくて、「ちゃんとサービスにあった価格はいただく」とか「サービスを享受する自分を許す」とかそういう意味で。

初日の美術館ランチが1ヶ月で一番豪華なご飯だった
  • めちゃくちゃ日が長い。寝すぎると「夜」がいつ間にか通り過ぎている
    わたしが到着したのは7月下旬だったのですが、本当に昼が長くて。日の入りが22時前なので、日によっては23時くらいまで明るかったりするのです。けれどその日の長さの分、1日がすごく長く感じるし、授業後も自由な時間がたくさん。逆に、冬は1日のうちで明るいのが7時間くらいになるので、室内にいる時間が長くなって、その分誰かとゆっくり語り合うヒュッゲな時間が生まれるようでした。

22時に寝て5時半に起きたら「夜」とは出会えない
  • 北欧の夏は短い。そして意外と寒い。けれど喜びに満ちている
    Tシャツの人もいる一方でダウン着てる人もいる。わたしが本当に「夏だなー」と感じたのは、7月下旬〜8月下旬の1ヶ月間のうちで5日くらい。ただでさえリモートワークで温度感や季節感を見失っていたわたしは、温度調整にとても苦労することに…けれど晴れた日の午後やお休みの日は、みんな海や運河に飛び込んだり、日光浴したり、昼間からお酒飲んでて本当に本当に楽しそうでした。

金曜日の午後は、運河沿いの人だかりがすごい
  • インフラ系(鉄道やWebサービス)
    わたしが一番驚いたのが駅がフラットだったこと!改札がないのです。自転車をそこまで漕いできてそのまま乗れちゃうくらい。道の延長上にホームがあって。そこにあるポールにSuicaみたいなカードを「ピッ」と当てるだけ。もちろん電車の中で切符チェックはたまにあるけれど、基本的には性善説。乗り物もいくつかあるけれど、料金形態が一律なのですごくわかりやすいし、一括でアプリで購入できたりするんです。あとはEUではYahoo!が使えないとかCookie規制の違いとか、ニュースで見たような気はするけど忘れていたことがたくさんありました。

手間の青いラベルが貼ってあるポールにタッチ

やっぱりこの世界には実際に踏み出してみないとわからないことってたくさんあるよなぁと。けれど、そういう違いを知ることってとても楽しいし、逆に日本の良さに気づけたり、自分がどういう生き方を心地よいと思うのか改めて認識できたりするので、やっぱりたまに海外に行きたくなるのです。

世界一美しい美術館とも評される「ルイジアナ美術館」

初日は朝に到着してしまったので、ほぼ24時間かかった移動時間にもかかわらずホテルにチェックインできず、どうせなら「一番気になるところに行こう!」と思って、ルイジアナ美術館に行くことにしました。

なんだか島根の足立美術館と、香川の地中美術館を足したみたいな雰囲気で。現代アートの作品がたくさん展示されていて、かつそれを囲む風景も美しくて、みんなが自由に鑑賞できるゆったりした空間がすごく素敵でした。

ジャコメッティのお部屋
胸に刻んだ言葉
この美術館で一番好きだった作品

以前フィンランドを訪れたときにも思ったけれど、北欧は日常にデザインとアートが同居している気がして。作品単体ではなく、風景との対話、そこにある空気感まで含めて作品というか、それでいてこちら側の在り方もとても自由。芝生の緑と穏やかな海が一望できる場所でコーヒーを飲んでる姿があまりに絵になりすぎて、こういうのがもっと日本でも身近にあれば良いのになぁと思ったのでした。

学校に到着!結局わたしたちは流れに任せるしかない

コペンハーゲンで1泊した後、いよいよ学校へ。目の前が海でとにかくゆるい雰囲気でした笑。この学校はアーユルヴェーダ式を取り入れているので、ご飯はベジタリアン。カフェインやアルコールも基本的には取らないし、体質にあったお茶を飲むという感じでした。

毎日ご飯を食べる食堂
到着日のご飯はラザニア

そして、フォルケホイスコーレは全寮制。わたしは2人部屋だったのだけれど、ルームメイトと初日の夜に話したことがすごく印象的で。それまでに先生が教えてくれたこととかを色々話してくれたのですが、最後に「自分大好きでいようって決めてるんです」という彼女の言葉がすごくいいなぁと思ったのです。(会って初日とは思えないくらい深い!笑)

「流れに任せるしかないし、結局本当に自分が望んだ方向にしかいかない」
「NOと言えないのは、べきで育ってきたから」
「心が健康なら病気にはならない」
「カラダが本来のカタチに戻ると、感覚が鋭くなる気がする」
「人生でどんな選択をしても間違いはない」
「そっちじゃないと分かるために違う道も必要」

そして、この後わたしは思いっきり体調を崩すことになるのですが、後から思えばそれまで蓄積していたものを手放していくような、まるでクレンズ作業のようで、元気になったらものすごく身体が軽くなったのでした。

誰もが自分自身の中に可能性を持っている

わたしはHealthのクラスだったので、学んでいたのはメディテーションやハンドセラピー、フードやアロマなど。中でも一番メインは、Transcendental Meditationという瞑想法。毎日朝の授業で瞑想をするのだけれど、いつの間にかびっくりするくらい空っぽな自分に気づいたり、力が抜けていって、日本に帰っても自分の生活の中に取り入れようと思ったのでした。

他にもArtのクラスがあったのですが、そこでのルールは「誰かの作品にはコメントしない」ということだけだそう。テーマに沿ってみんなが自由に表現していて、外に出て絵を描いていたり、指で絵の具を塗ったり、なんだか授業といってもみんな自由に時間を過ごしていてとても楽しそうでした。

Artのクラスのお部屋はこんな感じ

途中でふと思ったのは、Artは「outer(外へ)」、Healthは「inner(中へ)」と方向が違うだけで、もしかしたらどちらも自分に浸る作業なのかもしれない、ということ。この学校のテーマのひとつに”Development of Consiousness”があるのですが、本来developmentというのは「包みをほどく」という意味を持っているそう。人は本来それぞれに才能を持っていて、その力を引き出すことが発達だと考えることもできるのです。教育会社にいると、学ぶことは外から情報や知識を入れることだと思いがちだけれど、わたしは「誰もが自分自身の中に可能性を持っている」という考え方の方がやっぱり好きだなぁと。

到着したころはあまり天候が良くなくて、体調は悪いし、とにかく寒いし、ご飯が合わないし、デンマーク人の英語が全然わからないわで全然馴染めず…さらには自由な時間があっても過ごし方がわからなくて、「帰ってから何しよう」とか「日本のあれが食べたい」ばかり考えていたのです。

けれど、滞在も半分を過ぎるころには天気の良い日も増えて、授業の後に海で泳いだり、サウナ行ったりできるようになって、目の前の景色や時間の流れのありがたさや特別さを噛み締めるようになっていって。そして自分の心がほぐれてくると同時に、新しい気づきが生まれてくるのです。

絶景すぎるサウナ。水風呂の代わりに海がある

つづく。

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