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葉山のコーヒー仙人に会ってきた話②
葉山・逗子駅からタクシーに乗り、運転手さんから
「こんな山の方へ何しに行かれるんですか?」なんて聞かれて
「仙人に会いに」
と答えた後、20分ずっと無言の時間を過ごし
ついにコーヒー仙人こと山口さんのご自宅に到着した。
如何にもログハウス!と言う外観から放たれる拘りのオーラが凄まじい…
そして車の音が聞こえたのか男性がログハウスから出てきた。
全然仙人感の無いイケオジだ。
このイケオジこそ葉山LOG CABIN COFFEEの山口徹さんだった。
ログハウスに入るや否や存在感のある薪ストーブが出迎えてくれる。
その暖かく穏やかな空間の中で我々のコーヒートークが幕を開けた。
コーヒーが嫌いだった僕たち
元々運送会社でサラリーマンをされていたと言う山口さん。
所謂「脱サラ」でコーヒーのEC販売をスタートされた。
なぜ葉山で、なぜログハウスで、と言う話は
山口さんも今まで色んな取材を受けられているので
興味を持たれた方はそちらをご覧になって頂きたい。
しかしながらここは私のnote。
やはり書きたいのは何故、私は山口さんに惹かれ
そして何故、山口さんは私に会いたいと思ってくれたのか、と言う事。
それは共にコーヒーが嫌いだった、と言う共通点から書かざるをえない。
むしろ未だにコーヒーを好きとは言えないのかもしれない、と言う部分に
踏み込んでいく事になるのだがこれは誤解の無いようにゆっくりしっかりと
皆さんにお伝えしていこうと思う。
山口さんは明確に嫌いなコーヒーがあるという。
それは打ち合わせの時に出されたものの
時間が経ってしまい冷め切ってしまったが礼儀として残すわけにはいかず
意を決してグッと我慢して流し込むコーヒーだ、と言う。
めちゃくちゃわかる…
ちなみに私の場合は打ち合わせの途中に
頑張って飲み干したカップにおかわりのコーヒーが注がれた時
この世の終わりを感じる。
そんなコーヒーが嫌いだった我々が何故今こうして
共に(と言うのもおこがましいが)コーヒーを販売しているのか。
やはりその辺りの話に花が咲いた。
私自身、コーヒーの何に魅力を感じたかと聞かれると
それはコーヒーの味ではなく雰囲気だ、と答えている。
雰囲気とは人であり空間だ。
コーヒーを取り巻く人と空間に魅力を感じた。
彼らの優しさや情熱、空間の居心地やオシャレさ。
自分にとってコーヒーとはそれらの総称なのだ。
山口さんも全く同じ事を仰っていた。
彼が先ほど同じくコーヒーの何に魅力を感じたか、という質問を受けると
見た目。色や香り。雰囲気。と答えているという。
なぜ自分が山口さんに魅力を感じたのか、確実な答えが出た。
前の記事にも書いたが(葉山のコーヒー仙人に会ってきた話①)
彼の写真や動画からは一切の商品情報が頭に入ってこない。
雰囲気だけが、美しさとして心に伝わってくるのだ。
私が音楽で常に心がけている「なんか良い」がそこにはあった。
我々が目指した「なんか良い」
私が音楽の仕事の際に意識している事が一つだけある。
それは「なんかよく分からないけど良いよね」と言ってもらえる事。
「あそこのギターソロが良いよね」とか
「サビであの展開だから良いよね」とか
「機材が◯◯だから良いよね」とか
そんな事は本当にどうでもいい。
知識や理屈抜きにして心を震わせたくて音楽を作っている。
山口さんも同じ気持ちでコーヒーを作られているそうだ。
◯◯産の豆で、精製法は◯◯で、焙煎は◯◯で
なんて事は一切考えずに飲んで欲しい、と言うことで
葉山LOG CABIN COFFEEさんで販売されているコーヒーは
山口さんがイメージして直感で付けた名前で販売されている
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ずっと自分が作った音楽だけを聴いて欲しいわけじゃない。
きっかけの音楽となり、より多くの音楽を聴いてもらいたい。
ずっと自分が作ったコーヒーだけを飲んで欲しいわけじゃない。
きっかけのコーヒーとなり、より多くのコーヒーを飲んでもらいたい。
お互いの価値観、そして目標が
それぞれ違う分野でこうもシンクロするものか、と
鳥肌が立つような感動を覚えた。
1杯目に山口さんに淹れて頂いたコーヒーは
話に夢中になっている間にいつの間にか空になっていた。
「次はグァテマラを淹れますね」
そう言いながら席を立つ山口さん。
まだまだ話が尽きることは無さそうだ。
続く