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BBVA 紹介 EQが人生に与える影響

 スペイン語圏の番組、BBVA Aprendemos Juntos より、紹介。その分野のスペシャリストが、一般にも分かりやすく、ユーモアを交えて語ってくれる。教育分野に関して、特に学ぶことが多い番組。

 今回は、アメリカの心理学者、サイエンスジャーナリストで、有名な著書もある、Daniel Goleman氏のインタビューを紹介。英語のインタビューが、スペイン語吹き替えで視聴できる。専門的知見を交えつつ、コンパクトにEQの大切さを伝える、質の高いインタビュー。

Inteligencia Emocional 

https://m.youtube.com/watch?v=k6Op1gHtdoo

 日本語内容は、大体はこんな感じ。

 EQは、学問的知識とは違い、自身の感情や、他者との関係性にどう対処していくか、に焦点を当てた能力。自分自身がなぜそう感じるのかを知り、共感能力を高め、社会性を育み、他者と良好な関係を構築し、人生で直面する困難を克服していく、これらに関わるのがEQ。この能力は、人生全般において、幸福に生きるための非常に大切な役割を持つ。そしてこれらを身につけるのに、子ども時代の教育が大切であり、それはアカデミックな教育と同様、おざなりにされるべきではない。人生全体の幸福を高めるという観点から、EQの重要性が述べられている。

 11:50くらいから、IQとEQを交えた話が登場する。職業上リーダー的ポジションにいる人々はEQが高い。確かに、学校卒業後社会に出た際、彼らはIQも高かった。しかし、そこからより高い役職へ登るプロセスでは、EQが大切な役割を果たしている。また、IQは120を超えると、職業上の成功とは関係がなくなる。さらに、IQ124以上は、リーダーとしてネガティブに作用するという。

 15:20くらいから、注意力、集中力について語られている。集中力は訓練によって身につけていくもの。妨げられても再び集中する、という練習を積むことにより、強化されていく。また、他人への共感能力を向上させ、周囲の世界をより理解するため、自己コントロールの基本である集中力とその訓練の重要性にも言及。

 24:20くらいから、EQが幸せとどのように結びつくのかが語られている。怖れ、怒り、嫉妬など、ネガティブな、不愉快な感情をコントロールするのはEQの能力。これらを上手く扱えることは、幸福に繋がる。

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 このインタビューから考えさせられることは多くある。まず、IQは有形資産の形成に関与する一方、EQは有形資産だけでなく、無形資産を築くにも必要な能力と言えそうだ。インタビューではEQと社会的成功の関連性に言及されているが、高い地位と莫大な財産を手にしても、幸福を感じない人はいる。誠実で安定した人間関係や、夢中になる趣味や生き甲斐、社会との充実した関わりなど、いわゆる無形資産は、EQによって獲得されるものだ。そしてIQとEQのバランスが悪いのは、人生で幸福を感じる能力が欠如している状態だ。

 子ども時代に、知的教育だけでなく、EQを育む教育の重要性は、それが人生全体の幸福度に関わってくるからだ。幸福を感じる能力の価値は、過小評価されている。これは味覚障害になれば、いくら美味しいものを食べても何も感じられないようなものだ。どれほどの報酬や成功を得ようとも、それらに幸せを感じられない場合、報酬は幸福に対し何の貢献もしない。人生を楽しむことを可能にする能力がEQと言っても良いと思う。

 しかし、学校教育は、どうしてもIQのような、知識、技能の習得に偏ってしまう。それは教育者や親が悪い訳ではなく、社会がそれを要求するからだ。そして必然的に、学ぶ内容は時間と共に増えるのだ。歴史ひとつをとっても、2000年以降の複雑な世界状況を、今の学生たちは学ばなくてはならない。増える一方の知識を習得しなければならないのだから、それだけで精一杯だと思う。AIがさらに進化し、わざわざ人間が学ぶには不要な部分を捨て去ることができたら、もう少しEQを高める教育に傾くのかもしれないけれど。

 いくら報酬や成功を得るためのテクニックを知っても、それらを手にしたとき幸福を感じないのなら、虚しいだけだろう。だから同じくらい、人生を楽しむ能力を高めておきたい。どんな人生にも困難は付き物だから。

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