Música

15年以上、ピアノの演奏者、講師。これまでの経験知識を、誰かが役立ててくれるようnoteに。趣味と特技は複数の外国語。音楽、教育関連を中心に、海外メディアからも紹介していきます。スペイン語ブログhttps://wakanaaa.blogspot.com/

Música

15年以上、ピアノの演奏者、講師。これまでの経験知識を、誰かが役立ててくれるようnoteに。趣味と特技は複数の外国語。音楽、教育関連を中心に、海外メディアからも紹介していきます。スペイン語ブログhttps://wakanaaa.blogspot.com/

最近の記事

絵文字コミュニケーションの困難さ

noteの記事は、どんな書き手のどんな話題であれ、いつも落ち着いて読める。すんなり頭に入ってくる。それは、投げつけるような感情的書き込みは皆無で、皆時間をかけて言葉を選んで書いているからだろう。これはSNS全盛のインターネットコミュニケーションにおいて、とても貴重な場所だと思う。 そしてもうひとつ感じるのは、絵文字に煩わされず、気を散らされずに読める文章の有り難さ。 絵文字が登場したのはいつ頃だっただろう。最初は記号の組み合わせのみで、:)のようなシンプルなものだけだった

    • 日本語はコミュニケーションしやすい言語か

      日本語はコミュニケーションがしやすい言語だろうか?例えば、誤解が少なく、的確に伝わる言語だろうか?或いは、言葉を介して、スムーズに人間関係が構築しやすい言語だろうか? 前者に関して言えば、極めて誤解が生じやすい言語なのではないか。それは、頻繁に主語を省略し、目的語も相当省略し、動詞だけ、時には名詞だけのような文が、職場などにおいても、日常茶飯事だからである。 面白いので、日々様々な会話をあちこちで拝聴して収集しているが、いくつか再現してみる。 〈例その1  ラーメン屋バ

      • 5kgの所持品で

        20年仕事をして気づいた。とりわけインフレが激しくなったこの数年で。富を得なければいけないという資本主義圧力は凄まじく、参加したが最後、余程の意志がないと、退会できないシステムだということだ。 住居のために、食糧のために、まともに見える身なりのために、必要と思い込まされている諸々のサービスのために、際限なく支払いを要求され、そのために働き続ける。 あるいは、働いている人=まともで信用出来る人 という地位を失わないため、働き続ける場合もある。この場合、強迫観念に駆られ、健康

        • 貸与型奨学金に思うこと

          日本で大半を占める奨学金は、つまるところ教育ローンで、何百万円という額を、人によっては何十年もかけて返済していく。実際私も何百万と借り、これがなければ大学には通えなかったのだが、返済は楽ではなかった。死にものぐるいで完済したと言った方が良く、完済後はバーンアウト状態になり、その後以前と同じ精神的健康は取り戻せず今に至る。 もし別のシステムがあったらどうだろう。例えば米国などで軍隊入隊で奨学金を給付されるように、人手の足りない分野で、2年とか3年とか働くことによって給付される

          ピアノ講師が口うるさく言うには訳がある

          小学生くらいの幼少期、ピアノレッスンに通い、或いは通わされ、先生から細かいことを口うるさく言われた経験をお持ちの方は、多いと思う。それが原因でピアノ嫌いになった方も、さぞ大勢いるのではないかと想像する。 言われることの中でも最も基本的であり、且つ面倒くさいと思われる、指遣いの指示と、音を間違えたときの訂正に関して、なぜそこまでの注意が必要なのかを書いてみる。 因みに、大人の趣味のピアノの場合、本人に大して向上心がなく、プライドが高く指導されることそのものを嫌がる場合、ピア

          ピアノ講師が口うるさく言うには訳がある

          演技の表情と自然な表情

          先日偶然、白杖の男性とその介助者の男性が、談笑している場に居合わせた。どちらも始終穏やかな口調で会話していたのだが、その白杖の男性の表情が忘れられない。柔和で温かみのある、これ以上ない自然な表情に惹きつけられた。そして、気づいた。その男性は、自身の表情を、客観的に鏡で見たり、観察したりすることは出来ないのだ、だからこそ、これほど自然で、内面が滲み出るような、柔らかい表情をしているのだと。 演技された表情は、接客業だけに留まらず、大抵無意識に作り出される。これは潤滑油的な役割

          演技の表情と自然な表情

          ピアノテクニックにおいて最も重要な指は

          ピアノは、5本の指を使って弾くのは周知の事実であるけれども、最初から均等に使える人はいない。特に4、5の指は、それなりのトレーニングをしないと、自由に動かすのは難しい。日常の手の動きは、1、2、3の指を動かせば完結する動作がほとんどで、4、5は補助的にしか使わないからだ。 では、鍵盤を自在に操る上で要となる指はどれかというと、それは4だと思う。確かに指自体は、5の方が細くて弱いが、5には端の指としての機能があり、単体であれば、コントロールは比較的し易い。4と5が絡むからこそ

          ピアノテクニックにおいて最も重要な指は

          演奏におけるsubito p の威力 トランプ氏の演説を音楽的に分析

          25年前の学生時、友人の試験のために伴奏した管楽曲を、再びコンクールで伴奏することになった。25年も経つと、流石に運指も全てやり直しで、テクニック的にメリットはほとんどないように思う。しかし、当時譜読みした記憶や、指摘されたことなどが、様々思い出されてきた。楽譜を読み直してみると、10代の頃は、作曲家が表現しようとすることなんて、ひとつも理解していなかったと思う。ただ楽譜を指示通り弾いていただけで、何が音楽を魅力的にするかなど、考えもしていなかった。 この楽曲の後半には、巧

          演奏におけるsubito p の威力 トランプ氏の演説を音楽的に分析

          シンプルなタスクを積み重ねる大切さ 楽器習得と外国語習得

          何かを上達したいと思うなら、シンプルなタスクを継続して積み上げるという方法に尽きると思う。楽器も例外ではない。あまりに飛躍が大きかったり、単純な部分をすっ飛ばしていきなり複雑なことに取り掛かろうとすると、必ず無理が出て、出来るものも出来なくなる。 ピアノの習得では、よく、初心者の大人は子どものような上達は見込めない、と言われる。これはもちろん運動能力の面も関係しているのだが、個人的意見としては、大人はすぐにレベルに合わない複雑なことをやりたがる、という点も関わっているように

          シンプルなタスクを積み重ねる大切さ 楽器習得と外国語習得

          楽器は休憩中に上手くなるという話

          楽器の習得は、基本的には練習量に比例する。よほど不適切な練習法でない限り、練習する程に上達していくもので、ピアノも例外ではない。 ただ、練習しているにもかかわらず、スムーズ弾けるようにならない箇所がある、という状況に遭遇することがある。もし、几帳面に丁寧に取り出して、最大限の集中力を払って練習を繰り返しているのになかなか思い通り弾けない、という場合、少し辛抱強く待ってみると良いかと思う。2、3日同じように繰り返しても弾けないというのはよくあることで、猛練習した後、他の曲など

          楽器は休憩中に上手くなるという話

          初見演奏と同時通訳の類似性

          今回は、長年興味深く考えている、毒にも薬にもならない話である。もし同じことを感じる方がいらっしゃれば、と思い書いてみた。 ピアノの初見演奏と同時通訳は、脳の使い方にしても、習得のプロセスにしても、状況への対応にしても、かなり類似する部分があるのではないか、とずっと考えている。そこで、細かく比較してみる。 両者とも、相応のトレーニングと努力を積み重ねて身につけられる能力であり、プロフェッショナルな領域だ。ピアノを弾ける人はたくさんいるが、複雑な楽譜を適切に初見で弾ける人は限

          初見演奏と同時通訳の類似性

          ピアノ伴奏の手引き 本番前の合わせ練習で確認すべきこと

          今回は、ピアノ伴奏に的を絞り、ソリストとの練習で必須と思われることを書く。 ピアノ伴奏はほぼあらゆる楽器、声楽や合唱に必要とされるので、必ず需要がある。特に目的を決めず、アンサンブルの経験それ自体を楽しむこともあるが、今回は本番のための合わせ練習という前提で書く。 本番前に何回練習するかは、ソリストとの相談によるが、おそらくそこまで回数はかけられないという場合が多いと思う。お互いごく近所に住んでいない限り、そこまで交通費や時間は避けないし、場所を借りるとなると、その料金も

          ピアノ伴奏の手引き 本番前の合わせ練習で確認すべきこと

          暇を持て余すのは何故か 楽器はいかが?

          「暇だ」とか「やることがない」が口癖の人々がいる。これは何かに没頭する喜びを知る人々にとって、理解し難い感覚なのではないかと思う。時間がいくらあっても足りないくらい夢中になるものがある人々がいる一方、常に暇を持て余す人々がいるというのは不思議な感じがする。思うに、自分が主体となって、何かに能動的に取り組むとき、人間は暇など感じなくなるはずだ。常に受動的で、あわよくば何か面白いことが降ってこないかという姿勢でいるから、暇なのである。 これは何をやるかという問題ではなく、能動的

          暇を持て余すのは何故か 楽器はいかが?

          消費ではない創造の楽しみ 楽器演奏の醍醐味は

          今、どちらかというと、受動的な娯楽がメインとなっている。既に存在するもの、提供されるものを、消費するというスタイルである。動画視聴、音楽鑑賞、スマホゲーム、ネットショッピングなどなど、能動的に何かを作り出して楽しむという作業が少なくなっている。 無論これらもやり方によっては能動的になり得る。複数の動画を継続的に視聴して、動向を分析したりすれば、それは単なる消費ではなくなる。しかしながら、大部分はなんとなく暇つぶしに、ということが多いのではないかと想像する。何が何でもそれに対

          消費ではない創造の楽しみ 楽器演奏の醍醐味は

          演奏会にもおすすめ 弾き易く且つ弾き映えするクラシックピアノ曲

          ピアノは他の楽器に比べて、大変多くの独奏曲がある。これは恵まれているとも言えるが、選択肢が広い分、逆に曲探しに手間取ることもある。今回は、頑張れば初級上程度、中級者なら苦労なく弾ける、弾き映えするクラシックピアノ曲のおすすめである。演奏会などの参考になれば幸いである。ただし、コンクールはテクニックをいかに魅せるかという別の観点から選曲が必要になるため、あくまでも一般向けという視点である。 弾き映えとはどういうことかというと、一曲の中に音楽的ドラマがあるということ。ピアノとい

          演奏会にもおすすめ 弾き易く且つ弾き映えするクラシックピアノ曲

          多くの作品を短期間弾くか、少ない作品を長期間弾くか

          楽器演奏をする時、練習する時、上達を目指す時、レパートリーを維持する時、習い事であれ、独学であれ、趣味であれ、プロフェッショナルであれ、必ず一度は考えると思われる点について書いてみる。 時間は有限である。ひとつの作品を演奏するには必ずその分の時間が必要だ。難易度が高ければ、練習時間もそれなりに必要だ。そのため、数多くの作品を弾こうと思えば、必然的に一曲にかける時間は短くなる。逆にひとつひとつに時間をかければ、少ない作品しか弾くことは出来ない。 楽器演奏は、一度練習して完成

          多くの作品を短期間弾くか、少ない作品を長期間弾くか