#63 ザ・ローリング・ストーンズ『ハックニー・ダイアモンズ』
ザ・ローリング・ストーンズ『ハックニー・ダイアモンズ』
来た〜っ! オリジナルとしては『ア・ビガー・バン』以来、実に18年ぶりとなるニュー・アルバム。リード・シングル「アングリー」が、早々に日本のTVドラマの主題歌に起用されているのも、うれしい。
いやしかし、なんなんだ、このフレッシュ感は。「アングリー」のMVに若かりし日のメンバーの映像が使われていて、なんだかなあと思っていたのだが(めちゃくちゃカッコいいけどね)、とにかく音が、ビートが、グルーヴが、キレッキレのキラッキラ。過去にも、時代を読んでパンクやディスコに大胆に舵を切ったことがあるが、今回はバンドの2020年代のモードを全面に打ち出している。
ストーンズの最新モードとはズバリ、“ポップ”だ。このあたりはジャスティン・ビーバー、エド・シーランからポスト・マローン、デュア・リパまでを手がけているアンドリュー・ワットの貢献も大きいのだろうが、孫ほども年の差のあるプロデューサーを、ためらうことなく起用するあたり、さすがはストーンズだ。
しかも、フォークあり、ブルースあり、スワンプ・ロックありと多彩なサウンドを聴かせつつ、どの曲もメロディの美しさ、キャッチーさが驚異的。2曲でチャーリー・ワッツのドラムが聴けるうえに、そのうちの1曲「リヴ・バイ・ザ・ソード」にはビル・ワイマンが参加というのも泣けるし、ポール・マッカートニーにエルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダー、レディー・ガガと名を連ねたゲストのパフォーマンスも秀逸だ。
控えめに言っても、傑作。名盤。マジで、ガチで、本当に、文字通り、死ぬまでついていきます。
鈴木宏和