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#105 ワンリパブリック『アーティフィシャル・パラダイス』

服部さんへ

 ジョイ・ラップスのアルバム紹介、ありがとうございます。いや〜、スティールパンが来ました〜。季節的にもピッタリですね。30代のころ、何度か取材する機会もあってLITTLE TEMPOを好きになり、夏になるとよく聴いていたことを思い出したりもしました。
 そっか、これってジャズになるんですね。確かに注意して聴けば、リズム・パターンとかピアノ使いとかが、ジャジーな感じがしますが、とにかくめちゃくちゃポップで、カラッとしていて、聴くほどに「ま、いっか」と思えてきます。あ、わかりづらい表現で恐縮です。
 それこそ前回取り上げたイン・インやクルアンピンなんかと同じように、頭と心が整うナイスなインストとして、お付き合いしたい作品です。
 さて今回は、ワンリパブリックの新作をプッシュしたいと思います。

ワンリパブリック『アーティフィシャル・パラダイス』

 いくら努力したって手にできないものはあるし、才能がなければ第一線で活躍するミュージシャンになどなれないわけだけど、僕が現在のロック界隈で天才だと思っている人が4人いる。ノエル・ギャラガー、クリス・マーティン(コールドプレイ)、アダム・レヴィーン(マルーン5)、そしてワンリパブリックのライアン・テダーだ。
 ライアン・テダーの天才ぶりを改めて確信した曲が、映画『トップガン マーヴェリック』にフィーチャーされた「I Ain't Worried」。とにかく、口笛がエグい。口笛の曲でパッと頭に浮かんだのは、ビリー・ジョエル「Strang
er」と、それこそ“口笛ソング”と呼ばれたピーター・ビヨーン&ジョンの「Young Folks」だが、前者のそれはイントロ&アウトロであり、後者もAメロをなぞる印象的なフレーズではあるものの、コーラス的な役割にとどまっている。ところがライアン・テダーは、第2のサビとも言える強烈にキャッチーな口笛フレーズで、一瞬にして聴き手の心を奪ってしまうのだ。

 この曲も収録されているアルバム『アーティフィシャル・パラダイス』は、爽快で柔らか、優しくて涼やかで、キラキラと彩り豊かな作品。夏にひときわ映える。アニメ『怪獣8号』のエンディング曲「Nobody」などは、ワンリパブリックの魅力が凝縮された1曲と言えるし、MVも日本のファンにはうれしいだろう。

 サマソニ出演が決まっている彼らは、昨日、豊洲PITで単独公演を開催した。ライヴハウスで観られる機会は貴重なので、行きたかった……。ともあれ、コールドプレイも今度はロックに寄った(と思われる)新作を出すし、停滞気味のロック勢、バンド勢が、ここからシーンを賑わせてくれることに期待するとしよう。
                              鈴木宏和


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