#102 カサンドラ・ジェンキンス『My Light, My Destroyer』
カサンドラ・ジェンキンス『My Light, My Destroyer』
このウィスパー・ヴォイスが大好き。ちょっとハスキーで、媚びたり、過度に自己主張したりすることなく、風に漂うようなナチュラル感。この歌がまずホッとさせてくれる。暑さのせいだけではなく、その心地好さがいまはとてもうれしい。
大学でサウンド・デザインを学んだとかで、歌の間に挟み込まれるインタールードでは口笛や鳥の鳴き声が聴こえてくる。話し声とピンポーンという音だけの『Music??』というものもある。いずれも1分にも満たないけれど、それが一瞬で私を異空間へと送り込んでくれる。それも心惹かれる理由だ
また、村上春樹のファンだそうで、日本語に興味があるのかもしれない。『Omakase』という曲があったりする。プロデューサーのジョシュ・カウフマンが書いた曲があって、そこにカサンドラが歌詞をつけたらしいが、「引き裂いて、私が誰なのか見てみたい」という歌詞の歌がなぜ『Omakase』というタイトルなのか、そこは謎だ。
ジャンルとしてはアンビエント・フォークに入るが、もうひとつの好きな理由は、不自然ではない、このほのかな浮遊感だ。基本的に私はナチュラルと浮遊感に弱いから。そして、ほとんどの曲が3分前後と短い。ここは、カサビアンとの共通点。今どきなんだなぁと思いつつ、でも、やたら長いイントロを聴かされないのもうれしい。
服部のり子