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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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#日本シリーズ

【10/30日シリ・オリックス戦●】負けたときも、勝ったときも、日本一になったときも、日本一になれなかったときも、野球はいいものだ。

しんどいしんどい一週間が終わった。しんどくて、つらくて、胃が痛くて、なんかずっとそわそわしていて、落ち着かなくて、やたらおなかがすいて、カロリーがあるものやジャンキーなものやアルコールなんかばかりを欲して、案の定2キロ体重が増えて。 でも、とてもしあわせだった、一週間が終わった。 ♢ なんで今日に限って、というミスやエラーを目の当たりにする。なんでいつもできていたことができないの、と、頭を抱える。なにも今日じゃなくても、と思う。これは、「長いシーズンのたった一つの試合」

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【10/29日シリ・オリックス戦●】それでも、挑戦できることを。

「こんなことならいっそ、全然関係ない立場でやいのやいの見られた方がずっと良かったかもしれない。」 と、人混みをかき分けながら歩く帰り道、私はつい、息子に言ってしまう。 「こんなにしんどいのかね日本シリーズって。日本一を目指すってこんなにしんどいのかな。優勝したらそれだけであんなにうれしくて、でももっと上を目指そうと思うと、やっぱりこんなにしんどくなっちゃうものなのかなあ。なんか、シーズン中のきつい負け方とはまた違う、しんどさがあるね。」と、しょぼんとしながら話す。 「『

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【10/27日シリ・オリックス戦●】優しさは強さで、強さは優しさだ。

『ダーク・スター・サファリ』という本を読んでいる。作者のポール・セローがあるとき思いついて(思いつくか?)アフリカ大陸を横断する話である。アメリカ大陸ではない。アフリカ大陸だ。ここで見聞きするものがもう、ちょっと、尋常ではない。ガイドブックの「アフリカ」ともテレビで見る「アフリカ」とももう、ぜんぜん違う。 これを読んでいて思うのは、「百聞一見にしかず」…なんていう、生易しものでは、ない。つくづく思うのは、「身銭を切る」ことの大切さである。思わず口に出して「いややっぱり大事な

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【10/26日シリ・オリックス戦●】 若い野手と投手の、一対一の戦い

こうも打てないと、だんだん、チャンスで誰が打席に立っても「う…打てないのでは…」という、気持ちになってきてしまう。こういうのをつまり「弱気」と言うのだろう。まあ私がここでどれだけ弱気になったとしても、なにか例えば宇宙の仕組みとかに影響を与えるわけではないので(今日のごはんの味付けがちょっとぶれたりはするかもしれないが)いいのだけれど、しかし見ているだけで弱気になってくるくらいに、オリックスの今日のピッチャー陣の勢いはものすごかったし、それは少なからず、ヤクルトの打線に影響を与

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【10/25日シリ・オリックス戦○】とてもとてもかっこいい、私たちのキャプテンだ

「まあでも、てっちゃんはそのうちいいところで3ラン打つから。」と、神宮での2戦のあいだ、私は言い続けた。どんなに調子が悪くても、ファンを心配させても、それでもなぜかここぞで3ランを放つ、それが、我らが山田哲人なのだ。 「1番てっぱち!!!」と、私は夜ごはんの西京焼きをグリルに入れながら叫ぶ。今日も朝からバタバタ過ごしていたら、あっというまに夕飯の時間である。打順変えるかな、とは思っていたけれど、こういう時に悩めるキャプテンを1番に持ってくる。高津さんのそういうところが大好き

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【10/23日本シリ・オリックス戦△】もう二度とない、特別な秋だ。

「さすがにこれもうさ、見てる人少ないんじゃない…?」と、私は視聴率について謎の心配をし始める。むすめは隣で、テーブルに突っ伏して寝ている。時刻は23時になろうとしている。息子はにこにこと「明日塾行ったら、先生に日本シリーズ見たって言うんだー」とか言っている。…元気である。今日は朝から夕方までぶっとおしでテストだったというのに。 初めての行く場所だったので、朝から息子をテスト会場まで送り届けた。でも息子は、「帰りは一人で大丈夫!乗り換え教えてくれたらそのまま神宮一人で行ける!

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【10/22日シリ・オリックス戦○】夢の続きを見ている

さて現在、日曜、朝9時。私は横浜のちょっとはずれのオサレカフェにいる。 なぜなら息子の模試の付き添いにやってきたからである。おかげで朝は5時に起きて(どちらにしてもねこに起こされるわけだが)、ふらふらになりながらごはんを炊き、お弁当を作り(えらい)、息子を起こし、自分の身支度を整え(これが一番なんというかめんどくさい)、7時前には家を出た。 ところでこのハードな朝が待っていることに気付いたのは、昨日(というか今日)深夜0時である。それまで私は、完全に浮かれ切っていた。ヤク

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【オフシーズン・ヤクルトエッセイ】ヤクルトが日本一になった時、神戸でレフトを守っていたぐっちのこと

3年前のオフ、こんなnoteを書いた。 そう、数字はとても明快にあらゆるものをあぶり出すけれど、それでも数字で計ることのできないものというのが、世の中にはたくさんある。 その「思い」は、例えばファンからの拍手によって表されるのかもしれない。一人の選手が積み重ねてきた歴史によって紡ぎ出される一つのシーンに、大きな拍手が送られる。それは、数字では表せないものだ。 日本シリーズ初日、現地にいる読者の方が、京セラにいるぐっちの写真を送ってくださった。そして、メンバー発表のとき、

【オフシーズン・ヤクルトエッセイ】ヤクルトを、日本一にしたもの。

2017年。その年、私はサラリーマンを卒業し、息子は小学校に入学し、仕事もプライベートも大きな変化があった。ついでに、ヤクルトスワローズというチームを好きになった。(あと、本格的に毎朝走り始めた。) あれから4年。1年生だった息子は5年生になり、保育園の年少だったむすめが2年生になった。 そして、最下位だったヤクルトスワローズは、日本一になった。 ♢ 私がヤクルトを好きになってから、ヤクルトの順位は、最下位が3回(2017,2019,2020)、2位が1回(2018)

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【11/27日本シリーズ オリックス戦◎】ヤクルト日本一の日に。てっぱちの涙、息子の涙。

てっぱちの涙を、村上くんの涙を、青木の涙を、カツオさんの涙を、慎吾の涙を、私は忘れないでいようと思う。みんながどれほどの思いを持って、このシーズンを戦ったのか、そして、日本シリーズの熱戦を戦い続けたのか。私がわかったふりをしながら、全然わかっていなかった、たくさんのことを。 ♢ オリンピックでてっぱちと村上くんがほんとうに嬉しそうな顔で笑っていた時、私はてっぱちのこんな笑顔を見たことがないな、と、そうおもった。 てっぱちの喜びがたくさん伝わってきた。それを見ながら私は、

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【11/24日本シリーズ オリックス戦◯】カツオさんはヒロインでいつも、誰かに感謝する

カツオさんはお立ち台で、「めちゃくちゃうれしいです」と言ってはにかんだ。それはほんとうに、ほんとうに嬉しそうな笑顔だった。 私は今シーズン、何度も何度も見たカツオさんの悔しそうな顔を思い出し、思わず泣いた。優しいフォロワーさんがくれた「塩入りタブレット」を取り出し、口に入れる。 やさしさの味がして、私はまた、泣く。 「第4戦という大事な試合を任されて、なんとか監督の気持ちにこたえたかったので、『絶対大丈夫』という気持ちでマウンドに立ちました。」と、カツオさんは言う。

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【11/23日本シリーズ オリックス戦◯】「気持ち」が突き動かすもの

「気持ちで打ちました」「気持ちで投げました」といったようなことを聞くたびに、…気持ちでなんとかなるなら苦労しないけれども!と、思っていた。だけどこの日本シリーズの試合を見ながら私は「ああこれは、気持ちだわ…」と、つくづく思う。 例えば青木のヒット1本に、その「気持ち」を見る。 今シーズン、青木は数字としては「ものすごく良い」ものではない成績だった、と思う。いや十分すごいけれど、今までと比べれば飛び抜けて良いものだったわけではない。だけどこの日本シリーズで、青木はほんとうに

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【11/21日本シリーズ オリックス戦◯】長い長いその物語の、一日の断片を見られる幸せを

久々に、正座をしてテレビの画面を見つめた。6回表、そこまでパーフェクトに抑えられていた宮城相手に、なおみちはチーム初ヒットを放った。そして続くぐっちは、粘った末に8球目でヒットを打った。 それは、とてもとてもぐっちらしい、私が神宮で何度も何度も見てきた、きれいなヒットだった。 ♢ 京セラでのスタメン発表時、オリックスファンからも大きな拍手が上がりましたよ、と、現地にいるフォロワーさんが教えてくれた。ヤクルトファンではないフォロワーさんなのに、写真もたくさん送ってくれた。

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【11/20日本シリーズ オリックス戦●】優しいマクガフの、力強い貢献があったから

こちらの記事トップと、記事内のお写真は、Motoyama Yuki @motolevel さんにいただきました!ありがとうございます! 「悔しいですが、選手みんながこの大舞台で全力プレーできている姿が観られて嬉しくて、現地観戦って改めて良いですね」 とおっしゃっていて、ああそうだ、ほんとうにそうだな、と思いました。この時期に野球を楽しめること、それはほんとうにしあわせなことなんですよね。 「さ、酸素が足りない…」と、フラフラになりながら私は、リビングの窓を少し開けた。「空気

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