武器をつくる人―工藤郁子さん
工藤郁子さんという研究者の話がとても面白かった。
弁護士が実践で戦う人
法学者はその後方で武器をつくったりする人
とかそんな話をされていたかと思う。
私は学芸員として実践で戦うことができれば戦う。
でも現状は学芸員ではないので、後方で武器をつくったり、戦う人を育てたりしている。
なぜ戦うのか?
弁護士が人を守るように、世のなかを少しでもよくしていくように、
学芸員も来館者の権利を守り、そして博物館や世の中のを少しでもよくしていけるように。
そのために「学」はある。
何が「よい」ことなのか、だれにとって「よい」ことなのか、本当に「よかったのか」を考え続けるために。積み重ね、考えつづけて、いくらかでもこの先をよくしていくために。
学芸員に限らず、あらゆる職種で非正規の問題はある。
現在の社会情勢のなかでこれまで同様にはいろいろなことが維持できなくなっている。だからいいとは思わない。改善できるのならば変えてほしい。
でも、そのためには業界全体がすこしづつ変わらないと難しい。
学芸員から大学教員へ転身することも、経営という面からは空洞化を招く。
前に聞いたような事例紹介も、大学生かと思うようなアンケート分析も、現場と乖離した理論も、博物館学がなんでもありの状況を作り出している。
こうした問題の一つ一つについて、自分なら・・・と思うことはある。
学芸員としてしたい仕事もできず管理職をするなら、大学の方がいいかも知れない。業績や実績として対外的にPRすることも必要かもしれない。現場のことを思っても、現場の訳に立たない理論になっているかも知れない。
それでも、十分にはできなかったとしても、私はこれからますます厳しくなるこの業界で戦う人の、生き延びなくてはならない人のための武器をつくる。