念願の富士山に登頂する事が出来ました‼️ 〜辛い高山病の経験。実験と考察〜
今回は登山のすすめ第2弾です。
登山をされる方は一度は登りたい日本一の山『富士山』。2021年に登山を始め、昨年7月に無事登頂する事が出来ました。高山病も経験しましたので対策も含め、今年登山を予定している方や今後登りたい方の参考になればと思い、投稿します。
富士登山の基礎知識
ご存じのように山頂の標高は有名な3776mです。富士山の登山が出来るのは7月初旬から9月初旬のみです。雪が一番多いのは4月、少ないのは9月です。山頂と麓では気候・気温が全く異なり、麓が夏、山頂は冬といった感じです。ちなみに、「標高が100m上昇する度に気温が0.6℃下がる」ので、麓が25℃なら、山頂は7℃です。ご来光を山頂で迎えるようでしたら、平均5℃位、寒い時には0℃となります。山頂は風も強く、体感温度は更に下がります。しっかり、防寒具を用意して臨みましょう。そして、富士登山の基本は山小屋泊での1泊2日の登山です。登山計画を立てる際には、まず「登山ルート」か「山小屋」から決めると良いです。
登山ルートについて
王道は『吉田ルート』でしょうか。昨年のYAMAPユーザーの64%がこのルートを使ったようです。何と言っても、登山口の標高が高いため、標高差が少なく、道が整備されて、最も登りやすいコースの様です。「富士登山オフィシャル」登山ルート比較をご参照下さい。
混雑はしますが、山小屋も豊富で、売店も多く、五合目以降はご来光が拝めますのでオススメです。
山小屋について
山小屋選びで気をつけることは標高です。5合目2400mから登り始めて、2日間で標高差1400m往復2800mを歩かないといけません。2日目が結構キツいので、なるべく標高の高い場所にある山小屋がオススメです。
5月から予約が開始となるため、よく調べて予約すると良いですね。
トラベルロード「富士山 山小屋 予約POTALサイト」
一緒に登った妻は20代の頃に富士山へ登ったのですが、当時の山小屋が嫌だったようです。広間に所狭しと布団を引いて、足側と頭側を交互に配置されて寝たようです。知らない人と近くで寝る事、風呂に入っていない登山後の臭い足が真横にあることが辛かった様です。現在はコロナの影響もあり、山小屋も密に入れることはなくなり、個室もあったり、簡単な仕切りを用意したりしているようです。
個室が希望な方は、やますぐ【個室のある】富士山のおすすめ山小屋10選!を参照下さい。
オススメの準備登山について
富士山は険しい山ではありませんが、標高差があるため、本格的な登山です。それなりの準備をして登ることをオススメします。準備・計画を要する項目として、①体力、②気温差、③高山病が挙げられます。
昨年2022年に救助要請があった事例は合計50件あり、上位3原因の内訳は、「疲労」22件(44%)、「病気」13件(26%)、「転倒・滑落」9件(18%)でした。原因は「疲労」が全体の44%を占め、2021年と比較すると、実に11倍だそうです。昨年はコロナ禍後、行動制限のない3年ぶりの本格的山開きだったため、気持ちが先走り準備不足で、途中で歩けなくなった救助が多くなったようです。特に、ご来光を山頂で迎える計画の方は山小屋で仮眠程度の短時間睡眠で2日目の登山をすることになります。体調を整えて臨みましょう。もちろん、日帰りの弾丸登山はやめた方が良いです。
体力・高地への準備
以前、バスケットボールU18の日本代表チームドクターをしていた時に、アジア大会がイエメンでありチームに帯同したことがあります。首都サヌアは標高2300mの高地でした。到着後数日頭痛に悩まされましたので、元々高地順応が苦手な事は分かっていましたので、高地になれるための準備を計画しました。
2週間前に、①金峰山(標高:2,599 m)、1週間前に②木曽駒ヶ岳(標高:2,956m)への登山です。①金峰山は前日に睡眠不足、お酒の飲み過ぎをしてしまい、頭痛が起きて身体がだるくて、途中でリタイヤしそうになりました。良い勉強になりました。②木曽駒ヶ岳は睡眠・体調万全、念のため身体の水分全般を調節し高山病に有効な漢方「五苓散」を前もって服用して臨みましたので、軽い頭の違和感程度で登山をする事ができました。木曽駒ヶ岳は『手軽に絶景百名山3選』でも取り上げましたように、ロープウェイを使えば最も手軽に3000m級が経験できる“富士登山の前哨戦一押し”です。
富士登山は体力勝負ですので、その他に、ジョギングをしたり、普段エスカレーターを使うところを階段を使ったりと体力をつけて臨むと良いです。
寒さ・雨への準備
富士山は樹木などの風を遮るものがないため、風の影響をもろに受けます。ご来光前後は冷え込むため、防寒具をしっかり備えましょう。山の天気は変わりやすいため、防水のアウター、リュックの防水カバーも用意すると良いです。万が一のために、エマージェンシーシート(防寒や防水に効果)があると備えはバッチリです。
アクセス
マイカー+吉田ルートでのアプローチです。登山シーズンはマイカー規制があるため、富士山パーキング(山梨県立富士北麓駐車場、標高875m)
に駐車。シャトルバスで、富士スバルライン五合目(標高 約2,300m)へ。
富士登山1日目
五合目(標高 約2,300m)で高地順応のため、約1時間程度お茶をして、軽くストレッチをしてから登山開始。6合目(2390m)までは広い緩やかな道、準備運動といった感じでしょうか。
6合目からは広めのジグザグ道を上ります。7合目からは岩場となりますが、山小屋まであと少し頑張ります。
山小屋へ到着後、ゆっくりしていると「虹が見えますよ」との声かけがあり、外に出てみると感動の”ダブルレインボー”を見ることができました。明るい方の虹(主虹)は外から赤、橙、黄、緑、青、紫ですが、暗い方(副虹)は内側から赤〜紫と逆の配色なんですね。詳しいメカニズムは「大空にかかるスペクトル-虹ができる仕組み③」をご参照下さい。
富士登山2日目
多くの方がご来光を頂上で迎える計画を立てますが、①日の出前の暗く寒い時間帯に大渋滞する事、②短時間の仮眠を取って出発するため体力的にキツい事から、日の出の直前に山小屋を出発して、途中でご来光を拝む計画を立てました。空が薄ら明るくなる4時位に山小屋を出発し、神々しい”ご来光”を拝む事ができました!!
岩場が終わる8合目からが結構長く感じました。そして、ようやく山頂到着。週間天気予報はあまり良くありませんでしたが、頂上は晴れており、最高の達成感でした。
少し休憩した後、富士山頂郵便局で記念に、登頂証明を購入しました。その後、急な「馬の背」を登り、最高地点の『剣ヶ峯』で記念撮影。
そして、定番のお鉢巡り(1周1時間半)をして、素晴らしい眺望を楽しむことができました。
そして、下山はブル道と呼ばれるブルドーザーが山小屋に荷物を運ぶために使われる道をひたすら下ります。固い岩盤の上に砂が積もったとても滑りやすい道が単調に続きます。
好日山荘の富士登山準備のパンフレットに「ゲイター」と呼ばれる砂や石が靴に入らなくするスパッツが紹介されており、装着したため下りでの靴のトラブルもなく良かったです。途中からは、雨に見舞われ、リュックのカバーやウィンドブレーカーを装着しました。疲労も蓄積され、歩いては休みを繰り返し、流石に疲労困憊でした。数日間、全身筋肉痛に襲われたのは言うまでもありません。
高山病について
標高が上がると、気圧が下がり酸素濃度が低くなるため、それに応じて血中の酸素濃度が減ります。体がそのような環境の変化に順応することができなくなる状態を『高山病』と呼びます。軽症では「山酔い」と言われる頭痛、吐き気、倦怠感、めまいなどの症状が起きます。重症となると肺水腫、脳浮腫など命の危険な状態にもなりかねないので、気をつけないといけない病態です。金峰山→木曽駒ヶ岳と高地になれるよう準備をしましたが、軽い高山病(頭痛)になりました。五苓散を前もって飲んで臨み、まめな水分補給を心がけましたが、山小屋での夜間は頭痛が酷くなり、遂に伝家の宝刀「ダイアモックス※」を飲むことになりました。五苓散もダイアモックスも利尿作用があるため、トイレが近くなり、トイレ代がかさみました。合計2000円位(1回200円、頂上300円)払ったのではないかと思います(笑)
※ダイアモックス(アセタゾラミド)は高山病の予防薬、治療薬です。
登山病の実験
高山病になる人とならない人の差は何かな?と思い、パルスオキシメーター※を持ち込み調査してみました。妻と甥っ子と3人のうち、妻は何も症状が出ず、私と甥っ子は頭痛の症状が現れました。
※パルスオキシメーター:指の爪部分で動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定するための装置。SpO2の標準値は一般的に96~99%。
結果:高山病にならなかった人は8合目の山小屋到着時点で下がりますが、寝ている間に順応して、頂上では94%と8合目到着時点より高い値となりました。。高山病となった2名は山小屋泊の間に順応出来ず、頂上ではさらに86%とかなり低下しました。高山病の症状が現れない人は短時間で高地に順応ができるんですね?!
一般的な高山病予防対策
① まず、準備登山で、自分が高地順応出来るタイプかどうか見極める。
② 前日はしっかり睡眠を取る。
③ 前日、山小屋ではお酒を飲まない。
④ 五合目で1時間程度ゆっくりして順応させる
⑤ ゆっくり登る。ゆっくり大きな呼吸を意識する。
⑥ 小まめに水分を摂る。
⑦ 高地順応に自信がない方は登山に理解のあるクリニックで、くすり(五苓散・ダイアモックス)を処方してもらうと安心です。また、携帯用酸素缶も持参すると良いです。
最後に
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。日本一の山に無事に登る事ができ、素晴らしい体験をすることができました
登山をする人ならば、一度は登ってみたい山『富士山』。まだ登ったことがない方は是非しっかり準備をして、登頂して貰いたいと思います。右下の♡(スキ)やフォロー、シェアで応援頂けますと、励みになります。よろしくお願いします。
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山梨県富士山五合目総合管理センター@FujisanInfo
参考にしたサイト
富士登山オフィシャルサイト
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