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むるめ辞典
■墓標
[読]ぼひょう
墓の標
[例文]
川と海が交わるところに橋がかかっていた。ある日その橋に沿って20メートルおきくらいに箱形の塔のようなものが建てられた。それぞれ1から13までの番号が振られていた。
それが何のために使われるのか知っている人はこの辺りにはいなかった。
子供が一人、5番の塔の身頃にかかった梯子に登っていき降りてきて言った。「鍵がかかっていて中には入れなかったけど中からは機械音が聞こえた」
やがて海と川を分かつための河口堰ができた。それからしばらく取り残された汽水魚が住処に帰れず溺れて水面に浮かび上がり死んでいた。
箱形の塔は気の毒な魚のための墓標みたいに見えた。
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