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【図書館の魔女】本を読む。言葉を伝える。小さな欠片を未来に届ける。

昨秋、ハマりにハマった「図書館の魔女」。あんなに本に熱中したのは1、2年前にハマった「みをつくし料理帖」以来だった。

様々なレビューで「序盤は我慢」「1巻のラスト~2巻でハマる」「むしろそこでハマらなかったら、合わない」といわれている(笑)まさにその通り。

こんなにハマってるくせに私も序盤は難しくて、全然気分が乗らなくて、1巻を読み終えるのに数ヶ月かかった。けど、1巻の終盤、新しい展開が出てきた時からぐぐぐっとハマっていっちゃって。
そして2巻のラスト。最高。沼入り。まさに「図書館にようこそ」状態。これから読む人はぜひ序盤を我慢して読み進めて欲しい。でも、2巻でハマらなければ無理しないようにしましょう。

私はとにかく2巻のラストが大好きすぎて暇があるごとにそこだけを読み返してる。図書館の魔女、マツリカちゃんの変化と葛藤が愛おしくて、切ない。大好きすぎるあの場面。主人公たちと一緒に泣けてくる…。

寝る前にそのページを開いて読んでから眠りにつく時もある。どんな安眠効果(笑)

「図書館の魔女」は登場人物の感情の動きやストーリーももちろん好きだけど、ときおり織り交ぜられる学術的な場面も好き。難しいけど。最初の苦戦の原因は間違いなくそれだけど。

作者はもともと言語学者。らしいなと思う場面では、その知識をがんがんにぶつけられる。特に好きなのがこちら。

(図書館に保存されている)これらの書物の全てが、これらの言葉の全てが、いつか誰かに繙かれるのを待っているのか。いつとも知れぬ遥か未来に。誰とも知れない誰かに。ー中略ー遠い未来に現れる誰かが頁を切るまで、誰にも顧みられることがなくとも静かにここで待ち続けるのだろうか。
(「図書館の魔女」第3巻64頁)

この前後のやりとり、図書館の意義、本の、言葉の意味が語られる一連の場面がとにかく衝撃だった。というか、まさにこの作品との出会いのことを言われているようだった。

「図書館の魔女」が刊行されヒットしたのは今から数年前。すでに続編も出ているし、私が今熱中しているのなんて「なにを今更」と思われるかもしれない。
でも、本は、そうした出会いをずっと待ってくれているんだなあと。然るべき時に、然るべき人に、出会うようにできているんじゃないかな。

私の恩師がこの本を紹介してくれなかったらまず手にとってもいないし、恩師だって今紹介したってことは刊行された当時はまだ出会ってなかった。出会うタイミングが違うから、ドラマや映画みたいに見てすぐに多くの人と感想を語り合うことはできないし、刊行から何年たっても誰かにとってはネタバレになってしまうけれど、だからこそ本との縁はどんな出会いよりもドラマチックな気がする。

こうして衝撃を与えられる作品と出会えた時、本の持つ力を感じる。なんなんだろう、この、何年たっても「昨日生まれました」みたいな新鮮さ。

私の趣味にぴったりハマった「図書館の魔女」は一生物。刊行されてから出会うまでに数年。存在を知ってからも読み始めるまでに10ヶ月もかかったけれど、これから先の人生、ずっと読み続けていくんだと思う。

活字の暴力に酔いしれたい方、活字の波に溺れたい方、おすすめです(笑)最高です、図書魔女は。

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