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芥川龍之介を読んでみた②
以前書いた『芥川龍之介 名作ベストセレクション』の感想
↓↓前回書いたのはこちら↓↓
今回11作品読んだので、短いながらも感想文書いていく。
※ネタバレの可能性あり。
戯作三昧
『南総里見八犬伝』などを書いた「滝沢馬琴」という方を主人公にした作品。
これは自分なりの解釈だが、誰に何と言われても我を貫いてきたが、ある人物の一言で狂ったように本を書いていくというもの。
他人に翻弄されやすい自分には一見縁のない感じもしたが、そんな人でも意外な人物の一言で考え方を改めるんだなって思った。
ちなみに『南総里見八犬伝』は聞いたことあるが、読んだことはない。なので、『戯作三昧』を読んでいる間は「滝沢馬琴」という人物は架空の人物だとばかり思ってた。
道祖問答
藤原道綱の子、阿闍梨が主人公。
藤原道綱の文字を見て、『光る君へ』が真っ先に浮かんだ。阿闍梨もまた、実在する人物だったらしい。
道祖神に皮肉言われても、正論ぶつけて論破するっていった話でいいのかな?
短い話とはいえ、たぶんこんな感じだと思う。
神にさえ論破する阿闍梨、もはやひろゆきだった。
偸盗
盗賊たちの話。かつ兄弟が一人の女性に翻弄される話。
兄弟のすれ違いが少し切ない。
ここに出てくる人物の数名がう~んと思い、特に猪熊のお爺の嫌味っぷりにはイライラした。
そんなう~んと思わせる人物が多い中で、阿漕という女性がなんか救いかなーと感じた。
邪宗門
【地獄変】で登場した大殿様の息子の若殿様にまつわる話。
語り手は地獄変と同じ人物。
いろんな人物のバックボーンが書かれてるのに沙門が偉そうにしてるときに、最後に出てきた僧が唐突すぎて、この人にまつわるエピソードは?となってしまった。
宗教うんぬんであーだこーだは言いたくないが、洗脳ってやっぱり怖い。
奉教人の死
長崎を舞台にした話。キリシタンにまつわる話であるためか、キリシタン用語が多く用いられており、旧漢字だけでも手一杯なのに、さらに解釈に手こずった。
赤ちゃんを助けるくだり、助けること自体は勇敢なことだと思うが、主人公を欺いた女性の赤ちゃんを助けるんだというしっくりこない気持ちも。
結局なんで助けたんだろ?とちゃんと読めばわかるかもだけど、自分には分からなかったのが正直なところ。
枯野抄
松尾芭蕉が亡くなる直前のそこに集まった医師や弟子たちの話。
死期が近い芭蕉の前で、弟子たちがいろんな思いを巡らせる。
その思いが、ただ悲しむものというだけではなく、結局は自分本位なんだなというもの。
実際、自分もそういう立場になったら悲しむ以外の感情が出てくるのかなとか思ってしまった。
南京の基督(キリスト)
タイトル通り南京を舞台にした話。
ここでもキリストが出てくる。
売春婦でありながら、心優しい15才の女性が父親のためにこの仕事をしてる。
それだけでも切ない。
自分なりの解釈だが、少女は梅毒をひたすらキリストに祈ることによって治したと思ったが、実は少女の知らないところでキリストが悪そうな男に病気を移させたという、少女にとってのハッピーエンドだと思ってる。
が、サイトでほかの人の解説を読んだが、実は病気は治ってないという意見も。
なんかハッピーエンドであってほしいなと勝手な願望。
杜子春
少し自己啓発本にも近い感じがした。
金持ちや仙人になるのもいいけど、なんだかんだ平凡な暮らしが一番なんだと感じさせてくれる内容。
でも、そう思うためには、実際にお金のある暮らしや仙人になるための修行をしないといけないのかなとも思ったが、これを読めばわざわざそんなことしなくても平凡が一番なんだと気づかされてくれる。
まぁお金は欲しいが・・・
報恩記
これまで読んだ中では個人的に一番好きな話。
3人の人物の視点で順番に描かれている。2人目の話までは切ないとも感じたが、3人目の話でハッピーエンドで終わるのかと思ったが、まさかのどんでん返し。
なかなかゾクッとさせられた。
トロツコ
トロッコに興味を惹かれる少年の話。
あまりにも遠くに行き過ぎて、暗い中一人でひたすら帰る。
トロッコのレールがなけりゃ最悪だよなーと思いながら読んでた。
家に着いた時の安堵感は自分が過去にナビがうまく作動せず道に迷ってしまったときにようやく見覚えのある道に着いたときとリンクしたが、少年の年頃だったらその時の自分以上の不安があったんだと思う。
六の宮の姫君
スマホがあれば遠くに離れた人と簡単にやり取りができるから、姫君も辛い思いをしなくてすんだのではと思ってしまった。
ここに登場する丹波の男は最初クズ男と思ってたが、そうではないので安心した。
最後の姫君の結末はこういう風にしなくても良かったのではと思ってしまった。
全体的に
いうてやっと3分の2読破。
旧漢字やらで書いてるのもだいぶ慣れてきたように思う。
キリシタンの話や平安時代の話やら出てきて、芥川龍之介はいろんな分野のことを学んでる人だということを知った。
『地獄変』と『邪宗門』が繋がってるのを知ると、芥川龍之介について深く学べたような気になってなんかテンションあがる。
もちろん勘違いだろうが。
この『芥川龍之介ベストセレクション』はあと10作品あるので全部読みたいと思う。