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【今日のnote】「腕一本で成り上がってやるんだ」というアングラ根性。


 どうも、狭井悠です。

 毎日更新のコラム、110日目。


 最近は、けっこうヒップホップをよく聴きます。今朝は、午前3時には起きて、テンション上げるためにLil Pumpを聴きながら仕事してました。

Gazzy Garcia(ガジィ・ガルシア)ことLil Pump(リル・パンプ)は、2000年8月17日生まれの現在18歳であり、マイアミ出身のラッパー。Chief Keef(チーフ・キーフ)やLil B(リルB)を聞いて育った彼がラップを始めたキッカケは、同じマイアミ出身の19歳のラッパーSmoke Purpp(スモーク・パープ)の影響からだそうで、音楽を始めたのは2016年頃からという事だ。自らを“Trapper Of The Century”と名乗り、とにかく同じ言葉を連呼するスタイルは中毒性を持つ。そして彼の名を最も広める出来事は2017年8月にリリースした「Gucci Gang」の大ヒットだろう、なんと2017年10月現在で全米シングルチャートにて32位を記録している。“Gucci Gang”が大ヒット中のラッパーLil Pump(リル・パンプ)とはどんな人物?


 もともと、僕は10代の頃、頭を剃りあげてハードコアバンドでギターを弾いていたような人間なので、聴く音楽はだいたいアンダーグラウンドミュージックばかりです。

 昔はヒップホップだと、2PACとか、Snoop Doggとか、西海岸(ウェストサイド)系のギャングスタラップを聴いていたんですが、最近は、いわゆるトラップ(Trap)ミュージックを好んで聴きますね。

トラップミュージックの「トラップ」は、アメリカ人の若者の間で流行している「Trap House」のトラップから来ています。トラップハウスとは、若者がマリファナを吸いながらパーティーをする為に利用する誰も住んでいない家(ゴーストハウス)のこと。若者たちが親の目を盗んでパーティーをする秘密基地のような場所です。トラップミュージックの歌詞の内容は、お金、Success(成功、野心)、ドラッグ、ライフスタイル(人生について)、パーティー、ファッション、Metaphor(ギャングなどのストリートライフ)、Vices(悪い習慣、非法行為)などについて。これらの内容をアグレッシブに表現しているのがトラップミュージックの特徴です。アメリカの若者に人気拡大中!トラップミュージック(ヒップホップ)とは【Trap Music, Hiphop】


 日本のトラップ系アーティストだと、圧倒的にお気に入りなのがKOHHです。わかりやすい日本語のリリックと、「楽しければいいじゃん」という根っからの明るさ、不遇な生活環境から体得した純粋な死生観、ラップやヒップホップというジャンルに囚われない姿勢が、なんとも素晴らしい。

 ちなみに、KOHHくんを知ったのは、宇多田ヒカルとのコラボレーション「忘却 featuring KOHH」がきっかけでした。こちらも素晴らしい名曲なので、興味のある方は、ぜひ以下のPVをチェックしてみてください。

 宇多田ヒカルは、KOHHくんの楽曲「結局地元」を聴いて個人的なファンだったらしく、宇多田ヒカル側から声をかけてコラボレーションが実現したのだとか。すごいサクセスストーリーですねえ。


 そんなこんなで、最近はひたすら、プライベートではヒップホップなどを聴きながら過ごしています。

 ヒップホップをはじめとするアンダーグラウンドミュージックは、もちろん聴いていてテンションがアガるというのは大前提としてあるのですが、それ以上に、僕は、彼らのハードコアな生き様やアティチュードが好きなんです。

 キツい環境で生まれ育った不良少年が、マイク1本で成り上がる。そういうストーリーに、青臭いですが勇気をもらったりするんですよね。


 そして、思うんですが、「腕一本で成り上がってやるんだ」というアングラ根性のアティチュードって、フリーランスで食っていくにおいても、大事なんじゃないかと個人的には考えています。

 社会のメインストリームである会社員生活から道を外れ、自分の腕一本でやっていくわけですから、フリーランスとは、まさにストリート的な働き方であり、アングラ根性もある程度は必要なんじゃないでしょうか。


 でも、こういうフリーランス=アングラな生き方であるという考え方って、意外と広まっていないような気がする。

 フリーランスって口にすると、なんだかちょっと今風な、耳障りの良い、スマートな働き方みたいな感じでブランディングされることって多いように思います。

 フリーランスライターの世界なんかは特にそうで、皆、一様にスタイリッシュな印象の発言をSNSで見せて、「自分らしく生きていこう」みたいな、どちらかといえば、汚れのない、優等生的な印象の発信をしている人が多いように感じるんですよね。

 そして、フリーランスならば、身体が弱い人や会社に適合できなかった人でもある程度やっていける、みたいな希望的観測も、だんだん強くなってきているような気がします。

 多様な生き方の間口として、フリーランスというライフスタイルは、まさに今、探求され、可能性を見出されている真っ最中なのかもしれません。


 もちろん、フリーランスという働き方が社会に広まるうえで、メリットが享受できるようになる人も、これからどんどん増えていくでしょう。

 僕自身も、身体を壊して会社を退職し、それでも働き続けられる手段としてフリーランスを選び、景気のトレンドに乗っかって、今日まで生き延びてきています。

 でも、僕は、個人的には「フリーランス万歳!」みたいな考え方って、あまり好きじゃありません。というか、フリーランスをやたら礼賛する現在の風潮は、ある種、危険であるとすら思っています。

 ちなみに、安易にフリーランスを志す人に対して警鐘を鳴らすメッセージは、以下のコラムでもはっきりと書きました。


 僕の考えるフリーランスは、ストリートから派生したような、もっと泥臭い、たたき上げの、アンダーグラウンドな仕事の仕方なんですよね。

 僕自身、過去に職場で過重労働を強いられたり、いじめ抜かれるような指導を受けたり、事業責任を一手に負ったり、けっこうな修羅場を潜ってきました。

 そうした経験上、社会という場所は本質的に、野蛮なジャングルのようなところだと僕は思っています。一歩踏み外せば、あらゆる場所で、搾取の罠が口を開けているわけです。

 そして、フリーランスともなれば、その野蛮さは、会社にいる時と形は変われど、より顕著になる傾向があるのではないでしょうか。

 不当な単価交渉や手数料の中抜き、見積もりを大幅に超えるような仕事、短すぎる納期、過度の修正や追加対応の依頼、未入金、などなど。

 フリーランスは、あらゆるイレギュラーな対応を、自分ひとりで判断して、最善を尽くさなければなりません。そして、何が起こっても、基本的に、誰も助けてはくれないんです。

 そんな危険と隣り合わせの仕事を、汚れを知らない、スレていない、純朴な感性で勤め上げていたら、あっという間に、野蛮な社会の強者たちの餌食になってしまうのは目に見えているでしょう。

 そして、フリーランスと称して飯を食い、SNS上で発信しているような人たちは、基本的に(恐れながら僕も含めて)、努力がたまたま実った、運が良かった人たちが多いんじゃないでしょうか。

 フリーランスになるためのノウハウみたいな文章も世の中には溢れてきていますが、実際のところ、食えるまでに至る道に、再現性なんて、ほとんどないのではないかと僕は思っています。

 しかも、フリーランスの仕事なんて、今日はあっても、明日にはどうなっているかなんて、誰にもわからない。

 一方、フリーランスになった後、運悪く社会の餌食になって消費されてしまった人たちは、SNS上で声も上げずに、人知れず退場している。

 そんな中、運が良かった人たちの発信だけを見ている人は、自分にもできるんじゃないかと、甘い算段で、次々にフリーランスへと参入していきます。


 僕の考えるフリーランスの実情は、こんな感じです。

 会社に守られることを捨てて、フリーランスとして社会に出るということは、野蛮なストリートで、身一つで生き残っていくことと同じ。

 だからこそ、フリーランスをするならば、「腕一本で成り上がってやるんだ」というアングラ根性を持って、時にはあらゆる理不尽に対して猛烈に交渉し、啖呵を切って戦い抜くくらいの渡世人の気質がなければ、やってられない仕事じゃないのかなあと、個人的には思っています。


 そして、ファイティングポーズを取るときに、ヒップホップをはじめとするハードコアでアンダーグラウンドな音楽は、僕にエネルギーを与えてくれます。

 野蛮な社会に負けず、「腕一本で生き残っていけ」という確固たる意志を後押ししてくれる、力強い音楽なんですよね。

 今の僕にとっては、ある種のお守りみたいなものです。

Fuck Swag 他人の目なんかより鏡を見ろ
人生の半分は惨敗 でも 今日はウルフギャングで乾杯 楽しまなきゃ 意味ない


 腕一本でフリーランスをやるからには、これからも、ますます良い仕事を重ねて、昨日の自分よりもさらに稼いで、成長して、いろんな人に出会って、稼ぎと経験を還元して、楽しく、強く、そして気高く、生き残っていきたいものです。

 会社員生活という堅気の暮らしから、道を外れた日陰者だからこそ、リアルなアングラ根性で、虎視眈々と、頑張ろう。



 ちなみに、今回のコラムの言説は、あくまでも、僕個人の主観の話です。フリーランスに対する考え方について、異論は多々あると思いますので、悪しからず。

 フリーランスという職業形態は今、多様化の真っ只中にあります。より良い働き方、間口の広い自由な生き方として、メインストリームとなる可能性も、今後はあり得るのかもしれません。

 ただ、僕自身はこれからも、あくまでも、優等生的な立ち振る舞いではなく、ストリート的な泥臭いスタンスで、フリーランスという生き方を、自分なりに探求し、切り拓いていくつもりです。


 今日もこうして、無事に文章を書くことができて良かったです。

 明日もまた、この場所でお会いしましょう。

 それでは。ぽんぽんぽん。

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