職場のジェンダー平等はどう達成する?
普段あまりテレビは見ないのですが、金曜日の朝、たまたまテレビをつけたら吉野家の生娘発言について取り上げられていました。
そして、職場でのジェンダー平等を達成するためにどのような取り組みがされているのかを紹介していました。
(画面を撮るなどしておらず、記憶に頼って書くので、正確性に欠けるところがあることをご容赦ください。)
ジェンダー意識を高める取り組みの一つは、女性ばかりの会議に男性が少数派として参加するというものでした。
そしてもう一つは、1ヶ月間の研修として、子育てをしながら働く女性の体験をするものでした。例えば、仕事中に子どもが熱を出したと電話があり、仕事を切り上げて迎えに行ったり、子育てのために定時で仕事を終わらせたりするようなことです。実際に何らかの形でそうした行動をするようです。
率直な感想としては、こんなことまで会社でしないといけないのか、という驚きが大きかったです。
学校でならまだしも、会社でも業務に直接は関わらない研修がされているんですね。
もちろん、取り組みがよい結果につながることもたくさんあると思いますが、ここでは少し批判的な視点で見てみたいと思います。
(今回紹介されていたのも研修のごく一部だと思うので、様々な研修について、今後もいろいろ勉強してみたいと思います)
1つ目の取り組みは、体験した後、どのような意識になるのでしょうか?
男性ばかりの会議で女性はこんな思いをしているのか、と思う人はどれくらいいるのでしょうか?
「少数派になると意見が言いづらいな、少数派になりたくないな」というような思いを強めるだけのような気もしますし、「自分は平気で意見が言えるけど」という人もいるかもしれません。
そして、「こんな思いをしているのか」と気づきがあったとして、「今後女性の意見をしっかり聞こう!」というのも少数派として会議に参加する身としてはなかなか気が重いような…。
たとえば会議に10人の参加者がいて、男性9人のうちの一人の意見と、女性一人の意見とは同じように扱われるでしょうか?
どうしても「女性の(代表)意見」として扱われがちです。
そして2つ目の取り組みですが、その体験でどのように思うのでしょうか?
体験をした人は、子育てをしながら働く人が急な迎えや休みをとったときに、仕事をカバーしたり業務負担が増える人達かな、と思います。
その人が負担をかける側の経験をしたとき、「もっと申し訳なさそうにしたらいいのに」とか、「仕事を抜けれていいな」とか思うかもしれません。
なんだかとても意地悪な見方ですよね…。もちろん多くの人は、こうした取り組みから相手の立場について気づきを得たり、状況を理解することに役立てたりすると思います。
しかし、人は楽なことのほうが好きだし、自分に都合のいいように考えやすいものです。
この2つの取り組みを改めて考えてみると、どうしても日本的な解決というか、人頼りな部分が大きいなあ、と思います。
こういう人がいるからこういう配慮をしましょう、というのもすぐに受け入れるのは難しいだろうし、だからといって、体験学習を通じて狙った考えを持たせるのも難しいのではないかと思います。
女性のエンパワーメント
じゃあどうすれば?という話ですが、『WORK DESIGN』では、私たちが無意識に持っているジェンダーに関するバイアスに対して、環境や条件などの「デザイン」を変えることを提案しています。
たとえば第4章の「ダイバーシティ研修の限界」では、職場での研修の取り組みとその効果について記されています。
ダイバーシティ研修については、これによってバイアスを取り除くのは難しいこと、そして、女性を支援するような取り組みが少ないことが指摘されています。
さらに、男女で同じようにメンター制度を取り入れたとしても、男性のほうが昇給率が高いという調査が紹介されています。
これは男性のほうが仕事の機会や昇進について、同性の上司による積極的で強力なサポートが得られやすいからだとされています。
日本の女性役員の割合は1割程度で、日本においても、よりよい仕事や昇格について、男性に比べてプッシュされにくい環境であることが考えられます。
2020年の調査では、女性の約7割が「女性が社会で働くには不利な点が多い」と回答しています。
「社会で働く」というのは、自分の就業先のことなのか、もっと大きな意味なのかわかりませんが、多くの女性が、女性が働くことに不利だと思い、4~6割の人が管理職の打診を「受けてみたくない」と回答しています。
安心して働き続けられるよう、誰が、どこにサポートを必要としているのか、適切に考えていく必要があるように思います。
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