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ラリー・コーエン監督の映画「空の大怪獣Q」レビュー「ええいチンピラはいいっ『Q』を映さんかっ…とアムロの酸素欠乏症の父親と化す映画ですね…」

NY某所を根城とする巨大有翼獣Q(ケツアルクァトル)の凶行と
狂信的な儀式殺人の関連を
シェパード刑事(デヴィッド・キャラダイン)が追えばいいものを…
ソコにうだつの上がらないチンピラ(マイケル・モリアーティ)の
人生模様が絡まり主役はチンピラに。

このチンピラが偶然「Q」の巣を発見し…
この情報をタネにNY市長に賓客待遇と多額の謝礼金を要求し…
「一生で一度だけ目立ちたい」という
欲求を満たして得意の絶頂に達する様を延々と描き…

思わず
「ええいチンピラはいい!Qを写さんかっ!」
と酸素欠乏症のアムロの父と化すこと必定。

しかもQは最後迄気を持たせる割に撃たれ弱い!
ラリィィィィィコォォォォォエン!
おのれは!
怪獣映画の文法を知らんのか!

そもそもこの映画,原題が
「Q:THE WINGD SERPENT」(翼の生えた蛇Q)
と言う気の抜けたコーラみたいなんだが,
このヘナチョコ原題に
ラドンにのみ許された「空の大怪獣」の称号を冠する事によって
全く未知の怪獣を生み出した本邦の広報担当者の勝ちだ。

「怪獣」の2文字が特撮少年を黙らせる事を熟知してる。

Qの特撮は大変健闘しており…
エンパイアステートビルでの
空中戦&銃撃戦は非常に迫力があります…。

だがね。
チンピラの人生模様を描かなきゃ,
もっと特撮が観られた筈なんだッ!

僕が面白いと思ったのは有翼獣Qによる殺害事件と
異教徒による儀式殺人が並行して描かれ…
両事件の関連を主張するシェパード刑事に…
警視総監が害獣による殺人と儀式殺人とは関連は無いと釘を刺し
「異教の神ケツアルクァトルを殺すより害獣を駆除する方が気楽だろ?」「いいか?「異教の神」に関与するな」
「オマエは殺人事件を解決すればそれでいいんだ」
と諭す場面。

「神殺し」にラリー・コーエンが非常に神経質になっており…
「害獣」として処理するコトを望み…
いつもニヤニヤ笑っているキャラダインが
ナチュラルに職権を侵害された
このトキだけは警視総監の物言いに
ガチギレして食ってかかる場面がとても良かったです…。

本ブルーレイのジャケットをデザインを担当されたのは開田裕治氏。
オフィシャルサイトで注文すれば同じ意匠のポストカードが貰えたんだが
ウッカリAmazonで購入してしまいポストカードを入手し損ねたのは
一生の不覚ですね。
もうとっくの昔に廃盤だから取り返しが付かないのである。


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