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原作・脚本・監督クライヴ・バーカーの映画「ヘルレイザー」4Kリマスターブルーレイレビュー「『ヘルレイザー』の本質は…『痴話喧嘩』と覚えたり…」

母親が住んでいた古い屋敷へと越して来たラリーとジュリアの夫婦。
だが屋敷には最近人が住んだ痕跡があり残置物から
ラリーの弟フランクが住んでいたと判明。
だが肝心のフランクはいない。
あちこち放浪しながら好き勝手やって来たフランクのことだから
まだぞろ何処かに出ていったのだろうとラリーは高を括っているが
ジュリアは全く別のことを考えている…。

ジュリアは当時婚約者のラリーがありながら
フランクと肉体関係に陥り彼との肉欲の虜となっていたのだ…。

引っ越しの荷物を運びこむ際,釘で手の甲に怪我をした
ラリーの血液が屋根裏部屋の床に大量に滴る…。
その血液から異形が再生し骨と皮だけの魑魅魍魎は
ジュリアに
自分がフランクの成れの果てであり
「フランク完全体」となるには
男の血と肉が大量に必要であり
この家に男を引っ張り込んで殺すよう命ずる。

フランクは生前究極の快楽を追究する過程で
奇怪なパズルを入手しコレを解いたところ,
善悪の彼岸より「ゼノバイト」と呼ばれる4人の苦行僧が出現し
彼にゼノバイトが考える所の「究極の快楽」…。
即ち「究極の苦痛」を与え始めた為,彼は善悪の彼岸から逃亡し
現世で肉体の復活を目論んでいたのだ。

フランクは異形の奴ばらと化しても依然としてジュリアの情夫であって
善良なだけが取り柄の夫ラリーの目を盗んでジュリアに男を引っ張り込ませ金槌で頭をカチ割らせ男の血と肉を吸収して
「元の姿」に近付いて行くのだった…。

ホラー小説を映画化しても小説家の満足の行く映画になるコトは稀であると
スティーヴン・キングを見てよおく知っていた
ホラー小説家クライヴ・バーカーは考えた。

原作者と脚本家と監督との間で「見解の相違」が生じるのは
3者が別人であるからで原作者=脚本家=監督であれば
苦労は3倍になるものの見解の相違は絶対に生じないし
原作者である自分が完全完璧に映画製作を制御出来る…。

こうして原作・脚本・監督を全てクライヴ・バーカーが担当する
映画「ヘルレイザー」が製作されたのである。

本作は人を疑うコトを知らない善良なだけが取り柄の夫
夫の自由奔放な弟と肉体関係に陥り
肉欲の虜となって行く妻が
夫の弟の求めに応じて家に次々と間男を引っ張り込む…という
メロドラマの文法で物語が進行し
夫の弟と妻が抱き合っている最中に急に夫が帰宅して
妻が慌てふためく一幕などは本作がホラー映画であるコトを忘れる程だ。

ジュリアはラリーの後妻であり
先妻の娘クリスティンが本作の良心として描かれ
ジュリアが家に間男を引っ張り込むのを目撃したクリスティンは
「あんのアバズレがあッ!」
と激昂し
「『浮気現場』を押さえてやるッ」
と部屋に乗り込んだら
ジュリアのアバズレと浮気してたのは
パパの弟の「フランクおじさん」で
そのフランクにクリスティンが押し倒される場面で
何故かカーネーションが開花するイメージ動画が挿入され

「ひょっとして…クライヴ君は…「破瓜」を表現しようとしてる…?」

と困ってしまってワンワンワワンという謎演出の悪ノリ迷走ぶりである。

要するにい
「痴話喧嘩=男女の情事のイザコザ」なんですよ「ヘルレイザー」って!

ピンヘッド様たちゼノバイトはクリスティンから
「フランクに正しい裁きを!」
と訴えられる裁判官の役割を演じさせられ…。
この世の法で裁けないフランクを「善悪の彼岸」の法で裁く為に
フランクの前に雷光と共にバーンと出現するので「カッコイイ」んですよ!

流石は僕のピン様!

ピン様たちが余りにも「カッコイイ」ので
「ヘルレイザー」はつごう4作作られました。

でも原作者が完全完璧に制御してるのはこの第1作のみ。
特撮も物凄く気合いが入っていて僕はスキです。

クリスティン「『裁いて』もらうがいいわッ!フランクッ!」
フランク「ド…ドコに…?」 「ワタシは…ドコに連れて行かれるんだ…?」
クリスティン「さあ…?」 「でも…」
「『安心』なんてないトコロよ…」 「少なくとも…」
フランク「うわああああああああ」

第1作目は1990年にテレビ放映もされ吹替が搭載されてます。
吹替音源がカバーしてないのは1箇所だけで
ホームレスがコオロギを食って
クリスティンが「Oh God…(なんてこと…)」って言う場面ですね。
クリスティンの声の出演は深見梨加さん。
セーラーヴィーナスですね。

4Kリマスター画質はOP/EDのテロップの
ハッキリクッキリ感で最も顕著に感じられ
本編の特撮や血と肉の生々しさにも大きく貢献してます。

一言で言えば「とてもキレイ」と言うコトです。

第2作目以降の感想がどうなるか…。
僕自身楽しみです。



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