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ルチオ・フルチ監督の「マンハッタン・ベイビー」レビュー「フルチ版「エクソシスト」はイメージの羅列であって彼に整合性など求めてはいけないのだ。」


考古学者を父に持つ少女スージーは
エジプトの遺跡調査に同行し,盲目の女から奇妙な青い首飾りを貰う。
帰国後,彼女の住むマンションがエジプトと空間的に直結し,
家の床が砂漠化し母の同僚が遭難したり,サソリが這ったり,
エレベーターの底が抜けたり,次々を怪異が起こり始める。
怪しげな骨董品屋によると,彼女の持つ首飾りは「神の瞳」と呼ばれ,
蛇神ハブヌブノアの瞳を象っていて持ち主に憑りつき,
様々な怪異を起した挙句,生命力を吸い取って死に至らしめるという。
呪いは肩代わりが可能で,骨董品屋はスージーに降りかかった呪いの矛先が
自分に向く様,除霊を開始するのであった…。

「フルチ版エクソシスト」を
「何か途轍もない事が起こりそうな予感」を醸成しながら描く,
本作の魅力は,その点に尽きると言え,
「サンゲリア」や過去作の曲を流用しながら,
巧みに雰囲気を盛り上げ予感を視聴者に感じさせて行く。
論理的整合性は皆無で,犠牲者が出ても何事も無かったかの様に話が進む
不人情ぶりに憤慨する向きもあるだろうが,
フルチ映画は彼が感じ取ったイメージの羅列であって,
論理的整合性など最初から無いし,ひとつのイメージを描いたなら,
次の新たなイメージの映像化が最優先であって,
過去のイメージには全く拘らない。
それがフルチ作品の真骨頂なのだ。

まあね。
正直映画の「話」を尊ぶ人には何が何だかよく分からん映画なのです。

作品として評価する場合,僕は物語性,話の辻褄を優先するので
星3つ評価が精々だが,「フルチ映画」としては5つ星評価となる。

到底一般的評価とは言えんがね。

あのね。「思わぬ掘り出し物かも」とか思って手を出すと火傷します。
完璧!好事家向けであって絶対一般受けしません。
僕は警告したからね!

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