映画「刑務所の中」レビュー「「自由」なんて幻想であって,そんな「絵に描いた餅」で腹は膨れないのだ。」
社会に仇名す犯罪を犯した者は刑務所に行く。
では刑務所では,どのような生活が待っているのだろうか。
毎日定時に起床して,
毎日定時に朝食を食べ,
毎日定時に就業し,
毎日定時に昼食を食べ,
毎日定時に就業し,
毎日定時に夕食を食べ,
毎日定時に就寝する。
ただ「自由」だけがない。
「就業」とは刑期を終えて
社会復帰する際の一助として職能を身につける作業のことを指す。
「就業」を「勉強」や「仕事」に置き換えれば
学生や社会人と「やっていること」に何ら変わりはないのだ。
むしろ通勤通学ラッシュや下校後の塾通い残業等とは一切無縁のうえ
完全週休2日制が徹底していて,ある意味娑婆より楽な生活なのだ。
だから刑期終了が近づくと指折り数えて喜びを噛みしめる服役囚より
情緒不安定になる服役囚の方が多いのだ。
娑婆に戻るのが怖い。
だがしかし仮に僕が何らかの犯罪を犯して刑務所に入ったとして
還暦間近の僕が坊主頭にされて,刑務官に毎日説教されて,
規則正しく生きる事を強要される日々が…要するに
「もう一度中学生に戻れ」と言われたら多分耐えられないと思う。
好きな時に好きな所に行けて好きな本が読めて好物を食べられて
好きな映画を観る…そうした「当たり前」を放棄出来ない。
僕はうつ病になって精神科病棟に1ヶ月世話になったけど,
「規則正しいが好きに出来ない生活」
に耐えられなかったから1ヶ月で退院したのだ。
「娑婆」と「精神科病棟」や「刑務所の中」とは「地続き」であり
何処にいても「自由」なんて下らねえモンをさっさと捨てて
規律に従う愚直さが求められることを本作品は教えてくれている。
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