映画「ヤング・フランケンシュタイン」レビュー「話は退屈だけど吹替は最高!」
米国の医大で教鞭を取る
フレデリック・フロンコンスティン教授(ジーン・ワイルダー)は,
かのフランケンシュタイン博士の孫だが物見高い学生達から祖父の事に
ついて聞かれる事に辟易し,死者の蘇生など祖父の世迷言と断じている。
そんなある日彼の元にトランシルヴァニアの
バニクク―(クロレス・リーチマン)なる女性から招待状が届く。
彼女はフランケンシュタイン博士の恋人であり,彼に博士の研究を
引き継いで貰いたくて
博士の地下研究所と大量の蔵書にさり気なく導いて行く。
博士の蔵書を読み耽る内にフロンコンスティン博士の
心中にも死者の蘇生に関する関心が俄かに湧いて来た。
バニククーはそうなると読んで,予めフランケンシュタイン博士の
異形の助手イゴールの孫アイゴール(マーティ・フェルドマン)と,
トランジスタグラマーな助手インガ(テリー・ガー)を雇っておく
手回しの良さを見せる。
フロンコンスティン博士は絞首刑となった大男の脳に聖人として知られた
科学者の脳を移植しようと考えるが,雷鳴に驚いたアイゴールは
科学者の脳を落として毀損してしまい,
叱責を恐れた彼は異常者の脳(ABNORMAL BRAIN)を博士に渡してしまう。
今まさにフランケンシュタイン博士の研究が,
孫であるフロンコンスティン博士の手によって引き継がれようとしている。
落雷によって息を吹き返した怪物(ピーター・ボイル)を見た
フロンコンスティン博士は祖父と同じ様にこう叫ぶのであった。
”It's alive! It's alive!“(生きてる!生きてるぞ!)と…。
基本的な話の流れは「フランケンシュタイン」を踏襲しているが,
メル・ブルックス監督的にフランケンシュタインの怪物を
愛し過ぎて殺人を犯させたくないし殺したくもない。
故に,その件は原作と異なっている。
広川太一郎氏が演じるフロンコンスティン博士の気障な感じに
ムーミンのスノークを感じるのは僕だけではないと思う。
現代の刺激的なホラー映画に慣らされた身の上には殺人も
村人による私刑も無くなった話に退屈する向きがあるかも知れないが,
僕は広川太一郎氏,アイゴールを演じる熊倉一雄氏,
警察署長役を演じる大平透氏,バニククーを演じる北原文枝氏の声の名演を
堪能出来ただけで感謝感激したい気持ちで一杯なのだ。
本商品の評価は昔懐かしい吹替文化を堪能出来た事に対し
星5つを進呈するものの,皆が皆が本作の話に退屈しないと言えば
噓になるので星ひとつ減じる次第である。