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【ショートショート】足りない料理店【#完成された物語】

お題
・「足りない料理店」のお話(ショートショート)
・なにが足りないか等、お題の解釈はおまかせします
・タイトルは「足りない料理店」でなくともOKです

「お待たせしました。きのこのオムライスです」

ウェイトレスのお姉さんが僕の目の前に美味しそうなオムライスを置いた。

オムライス、のみだ。

皿には乗っていない。

出来立てほやほやのオムライスからは湯気が立っている。

お姉さんはそれを両手で抱えて持ってきた。

熱いのだろう。目には涙を浮かべている。

「こちらがセットのサラダでございます」

別のお姉さんがサラダを持ってきた。

皿には乗っていない。

オムライスの横にサラダを置くとお姉さんは手についたドレッシングを舐めた。

「ひぐうぅぅ! こちら……セットの……スープですぅぅ……!」

別のお姉さんがスープを持ってきた。

器には入っていない。

両手ですくうようにしているあの手の中にスープが入っているのだろう。

ここは『洋食屋OKIKU』。

なんでもオーナーがそそっかしくお皿が足りないことが多いらしく、通称『皿屋敷』と呼ばれる。

僕はもうすぐ目の前にぶちまけられるであろう熱々のスープを見てそっと目を閉じた。

(410文字)

✒あとがき

読んで下さってありがとうございました!

☝こちらの企画に参加させていただきました!

お題を見て、「お皿が一枚足りな~い……って全然足りてないやないかーい!」という謎のフレーズが浮かんだのでその勢いで書きました。

オーナーのお菊はドジっ娘の幽霊ですが支えてくれる優しい旦那さんと一緒に料理店をはじめ、彼女を慕う人たちがそこで働いている――という裏設定までできてしまいましたが今後書くかどうかは未定です。笑

楽しいお題ありがとうございました!

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