あったかいおにぎりを食べたことがなかった
里親制度の説明会にいってきた。
完全に勘違いしていた。
里親は養子縁組みのことだと思っていた。
だから、そんな重たいことは、
わたしとは縁遠いもの、関係ないことだと。
里親には4つのタイプがある。
・養育里親:その子が家庭に戻るか、自立できるまで。
1年以内の短期もあれば、それ以上の長期もある。
・養子縁組里親:養子縁組みを結ぶことが前提。
・専門里親:虐待、非行、障害に対する専門知識を持っている。
・親族里親:扶養義務のある里親。震災遺児などケースがある。
これに、
・週末里親:週末や長期休暇のときだけ
を加えることもある。
実際、説明会にきて体験話をしてくれた山田町のJさんは、
高1女子を3ヶ月、小4男子を4日、中3男子を冬休み2日、夏休み2日、里親を務めた。
里子になるのは、要保護児童にカテゴライズされた子どもたち。
親が死亡する、病気になる、離婚、貧困による要因、
虐待を受けて保護される場合もある。
岩手県には、そうした要保護児童は355人いる。
そのうち、児童養護施設にいるのは270人、
里親といっしょに暮らしているのは65人、18%しかいない。
岩手県では、里親に委託する割合を、令和6年に36.6%、令和11年に48.4%に引き上げようと計画している。
宮古市のMさんは小1男子を預かり、いまその子は高2になった。
コンビニのおにぎりが大好きだった。
おいしいおいしいと食べた。
Mさんは、この子はねこ舌なのかと思っていた。
あるとき、「もしかして……」と思って、
結んだばかりのあったかいおにぎりをあげたら、
彼は目を丸くしておどろいた。
Mさんは農家でもあり、自分たちがつくった米で結んだおにぎりだと説明すると、
おいしいおいしいと食べた。
コンビニのおにぎりしか食べたことがなかっただけだった。
里親制度は、児童福祉法に基づいている。
戦後すぐに始まり、
当初の目的は戦災孤児などの保護と養育だった。
養子縁組みだけの里親から、
次第に種類を増やしていまのようになり、
平成28年の改正からは、
「保護と養育」の目的を変え、
「子どもの権利を尊重する」ための制度にした。
安全で安心できる家庭環境で育つ権利を、
里親家族だけでなく、社会で保障する。
すべての子どもたちを社会で育てる。
それが大人たちの、「未来への責任」でもある。