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不便で不自由だけど、不幸ではない
釜石の市役所のあたりからクルマで30分、
釜石の最北部、栗林町・橋野町。
その地域を管轄する「栗橋地区生活応援センター」にヒアリングにいってきた。
生活応援センターは市役所の支所みたいなところ。
所長の二本松由美子さんにはあらかじめ、
・子育て支援
・センターで力を入れている活動
ということを聞きたいです、とメールしていた。
ニホンマツさんはガハハ的な人で、
なんでも笑いながらテキパキとこなしていく。
で、その日はずっとお年寄りの話をして、
なかなか子育てにテーマがいかない。
ヒアリングも10分ぐらい進んだあたりで、
「ところで子育てなんですが……」
と切り出すと、
「いないんですよ」(ニホンマツさん)
え?
「子どもが」(同)
あ!
橋野町と栗林町でちょうど1000人(2023年10月2日現在)。
65歳以上の老年人口は490人で49%。
15〜64歳の生産人口が444人、
0〜14歳の年少人口は66人、わずか6.6%しかいない。
しかも、両方の町から子どもたちが通う栗林小学校は、
32人しか児童がいない。
だから、この地域では子育ての問題というより、
お年寄りの問題がメインになる。
しかし、あまり問題になっていない、お年寄りたちは。
「元気でみんな、働いています」
それぞれの世帯が畑か田んぼを持っていて、
そこで自分たちが食べるものを育て、
野菜そのものを、あるいは、
加工しておもちやまんじゅうやクッキーにして、
産直で売るものをつくっている。
稲刈り後のわらを使って松飾りをつくって、
スーパーに卸している。
「小さな起業みたいなものです」
ちなみに、栗橋地区の産直「どんぐり広場」は、
安くて美味しくて新鮮なことで人気がある。
市中心部から離れていて、
鉄道も路線バスも通っていない。
冬になると積雪もある。
(釜石は沿岸地域なのでそれほど降雪量がない)
ニホンマツさんは住民が口にする言葉を教えてくれた。
不便で不自由だけど、不幸ではない。
どんなに不便でもここに住んでいたい、と。
自分で食べるものは自分でつくって、
野菜をたくさん食べて、手足も身体も動かして、
ウェルビーイングだ、と。
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