改憲はポケットチーフ
憲法記念日。
岸井成格さんが大隈塾の演習「岸井ゼミ」を担当していたころ、
新聞各紙の社説の読み比べレポートが、
GW明けの宿題だった。
毎日新聞、朝日新聞、日本経済新聞、読売新聞、産経新聞。
ゼミ生たちは、読み慣れない新聞の、
めったにも読まない社説を読んで、レポートを書いていた。
どんなレポートを書いても、岸井さんの答えは決まっていた。
「憲法はぜっ、たいに変えちゃいかん!」
安倍総理は、ホントに憲法改正をするのか。
日経新聞の元政治部長は、
「安倍さんの憲法改正は、ポケットチーフだ」
という。
「見せてるだけで、使わない」
理由は、
「第1次政権ではすべてのことが性急すぎて潰れた」
「第2次政権では、最初に改正条項から変えようとして
『裏口入学』と批判されてやめた」
「そのあともそのまえも、憲法審査会を動かしてない」
「9条改正案も石破茂さんたちの方が筋が通ってる」
「そもそも、自民党が議論して決めた改正案を棚上げしてる」
『安倍三代』の著書がある青木理さんは、
「学生時代、若いころの安倍さんは、
憲法議論したことはなかった」
といった。
田原総一朗さんは、
「安倍さん本人が『アメリカがやいやい言ってこなくなった』
から、変えなくていいと思っている」
なぜアメリカが?
「集団的自衛権を認めた。あれで自衛隊をアメリカが動かせるようになった。
憲法改正のキモはそこにあった。もう改正の必要はない」
という。
けっきょく変えないのか。
それとも得意の珍妙奇襲なやり方で、
あっという間に憲法を変えてしまうのか。
たとえば、閣議決定で……。
どんな閣議だったのか、
そもそも記録はとらず、
大臣たちが承認した記録は捨てて、
記憶もなくしてしまう。
ただ、閣議決定で憲法を改正した事実だけが官報に載っている。
改正された憲法では、それでOKとなっている、とか。
「閣議で決定した後、すみやかに国会で審議し、国民投票を実施する」
とだけ書いてあって、
いつまでにやれ、という期限が書いてないからそれでOK、と。
やっちゃうな、きっとこれ。