先生!わたしの指が折れます!
子育て支援員研修を受けているが、
基礎研修が終わって昨日は専門研修の「心肺蘇生法」だった。
心肺蘇生法とはごくごく簡単にいうと、
「死にかけている人を生き返らせる」。
演習はこれまで何度かやってきた。
たとえば心臓マッサージ(胸骨圧迫)のトレーニングは、
東京で消防団に所属していたときも、
釜石に来て防災士になるときもやった。
マネキン人形があって、その胸を腕に体重を思いっきりかけてベコベコ押す。
今回それらと違ったのは、使う人形が乳児(赤ちゃん)と幼児。
子育て支援員だから、そりゃそうだな、と思ったが、
もっと違ったのは、演習のガチ具合。
消防団でも防災士でも、「いちおう赤ちゃんもやっときましょか」程度だったが、
今回はそうじゃなく、
赤ちゃん人形の胸を、指2本でグイグイ押していくが、
基本は30回押して2回の人工呼吸。
30回押して2回の人工呼吸、の繰り返し。
人形もそれなりの強度を持っているから、
30回60回90回と押しているうちに、
指がめちゃくちゃ痛くなる。
なので適当にやってると、
笑いを取るのが非常にうまい女性インストラクターさんの指導が入る。
ヒジはここに置く、あごを持つのはこう、と。
「指が折れます〜〜〜」
というと、
「折れても押せーーー!!!!」
的なゲキが入る。
笑っていたが、でもそれはそうなのだ。
子どもの生命を守る、死の際から呼び戻すための蘇生行為。
呼び戻すためには指の1本や2本……。
心臓マッサージとは別に、食べ物などをのどにつまらせたときの対処の方法もトレーニングする。
食べ物を食道につまらせる誤飲ならまだいいが、
食べ物を気管につまらせる誤嚥(ごえん)はやっかいだ。
窒息は死に至る危険性が非常に高い。
0歳児の死亡の63%が窒息死だ。
(2020年厚生労働省)
20年以上前、娘が2歳ぐらいだったか。
食事中にキーウィフルーツを誤嚥したことがあった。
みるみる顔色が紫色に変わっていった。
思い出すといまでも怖くなるが、
どうやって彼女を助けたのか、ぼんやりとして覚えていない。
きっとひたすら背中を叩いたんだろう。
背中を叩く(背部叩打法)のもお腹を突き上げる(腹部突き上げ法)のにも、やり方に作法がある。
安全に、しかもしっかりと叩いたり突き上げないと、
息ができないまま時間が経っていけば当然そうなっていく……。
「強く、速く、絶え間なく」
は胸骨圧迫の基本。
これまでは呪文のようでしかなかったが、
子どもの生命がかかっている前提での演習の今回。
ガチでマジにならざるをえなかった。